第3話振り回される、アイドル

恭介は会社の外で待つ。


(あっ!出て来た!)


「おい、未来!」


「あなた、どうして私の名前を?

それに、どうして呼び捨てですか?」


「あっ悪い、いい名前だったから」


「そうですか、ありがとうございます」


「今日は、もう仕事終わりだろう?

ご飯食べに行こうよ!」


「何時も言いますが、どうして私が...」


「行きましょう、行きましょう!」


と五月達に引っ張って行かれる

未来。


「嫌だ~」


「うるさい~」


お店に着いた。


「さぁ、みんな好きな物、頼んで

ご馳走するよ!」


気前の良い恭介だった。


「何にする?」


「じゃあ色々頼んで、みんなで

シェアする?」


未来は、しゃべらない。


「未来、好きな物は?」


「織田信長様」


「じゃ無くて、食べ物!」


「プリン!」


みんな、慣れてるので、スルーする。


「じゃあ、やっぱりシェアしよう!」


「そうだね!」


料理が届いた。

みんな、アイドルが居るので

はしゃいでる。


(私だって信長様が居れば!)


未来も食べている。


「未来は、この中で何が好き?」


「.......」


黙っている未来。


「あのさ~未来ちゃん、俺、今度ドラマで

織田信長様役をするんだ!」


「えっ!信長様を?」


珍しく未来が、食いついて来た。


(恐るべし⁉️信長様効果!)


「どんな風に演じれば、いいと思う?」


「それは信長様は凛々しく、勇ましく

何時も堂々と、しているわ!貫禄が

必要ね貫禄が!」


と言って恭介を見る。


「あなた、貫禄が足りないわね!」


(ガ~ン、やっぱり何か言うとは

思っていたけど!)


「でも俺、未来ちゃんの為にも頑張るよ!」


「どうして、私?」


「だって、織田信長が、いや、

織田信長様が好きなんだろう?」


「もちろん!」


「じゃあ頑張るよ!」


2人の会話を聞いていた3人は


(この人、本当に桜庭恭介!?

未来に振り回されてるじゃん!)


(テレビの時と印象が違うな?)


と思っていた。

食事も終わって帰るみんな。

恭介も


「じゃあ!」


と言って帰って行った。

家に帰った恭介。

台本を何度も何度も読みイメージ

トレーニングをしていた。

アイドルとはいえ陰では努力して

いるのだった。

スタジオ

メンバー全員が居る。


「恭介、織田信長やるの?」


「やるよ!」


「お前、普段、時代劇断るのに

どうして?」


「未来ちゃんが織田信長の、いや、

織田信長様のファンなんだよ!」


「あのOLかぁ?信長様って

なんだよ?」


「信長って呼び捨てにすると

怒るんだよ!だから信長様」


「恭介、お前アイドルだぞ?

何やってるの?」


「俺も分からない、でも、

やりたいんだ!ちょっと本屋に

行って来る!」


そう言って本屋に行く恭介。

そして織田信長を書いている

小説を全部、買った。

家に帰って、その小説を読みながら

恭介なりの織田信長像を描いていた。

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