第2話会社に現れる、アイドル

そして仕事が終わって帰る4人。


「ねぇ、帰りどっか寄って帰る?」


「そうする?」


と言いながら会社の外に出ると

マスクに帽子、サングラス姿の男が

立っていた。


「何、あれ?」


「変質者?」


「え~恐いよ!」


「離れて歩いて帰ろう!」


そして4人は、その男の横を静かに

通り過ぎようとした。

その時


「おい、上谷さん!」


と声を掛けられた。

未来は、物怖じせず


「どちら様ですか?」


と聞く。


「俺だよ!俺!」


「俺さんですね?知りません、

じゃあ」


「おい、おい、peaceの桜庭恭介

だよ!」


「あっ!それなら最初から、ちゃんと

名乗るべきですよ」


「普通、気が付くだろう?」


「それにしても、あなた!その

格好は良く無いですね?」


「ファンの人に見つかると、大変

だから、堂々と歩けないだろう?」


「どうしてですか?信長様は何時も

堂々としてましたよ?」


「出た!信長様、今と時代が違う

だろう?俺、堂々と歩いたら

ファンの人達に、捕まって大変

だよ!」


「捕まるって、あなた、よほど

悪い事でも、したんですか?」


「なぁ、みんな、やっぱりこの子

変?」


首肯く3人。


「私は決して変じゃ、ありません、

じゃあ、みんなで食事に行くので」


「なぁ、俺も行っていい?」


「あなた、仕事は?」


「今日は早く終わって、スケジュール

が空いたんだ!」


3人が


「是非、行きましょう!」


と誘う。

未来は、どうでも良かった。

食事をしながら恭介が聞く。


「ねぇ、信長のどこが、そんなに

好きなの?」


すると未来が


「あなた、どうして呼び捨てに

するんですか?信長様でしょ!

あの男らしい生き方にホレない

女性なんて、いませんよ!」


みんなは


(いや、未来だけだと思う!)


と思ったが口には、しなかった。


「信長様、秀吉様、家康様が生きて

いて、あなた達みたいにグループを

組んだら、きっと無敵のはずです!」


誰にも想像が、つかない。


「あ~そうだね!」


と、みんな未来に合わせておいた。

食事も、済んだので帰る事にした。

恭介が


「上谷さん又ご飯、一緒に

食べよう!」


と言った。

未来は


「私が、どうして、あなたと、ごは

......」


と言いかけた所、みんなに口を

ふさがれた。


「それじゃ!」


と恭介は帰って行った。


「みんな、どうして口をふさぐの?」


「未来が又、何か言いそうで!」


「又とは失礼な!だって私が、

あの人とご飯を食べる理由が

無いでしょ!」


「未来、相手は人気のアイドル

だよ?一緒に、ご飯食べたいって

思ってる人は沢山居るんだよ?」


「それが?」


「それがって、そんな人に、ご飯

誘われたら行くでしょう?普通は」


「そうかな?信長様なら行く

けどね!」


3人は、もう空いた口がふさがらない。

毎日、恭介は会社に電話をして

来る。


「いい加減に、してください!

私、仕事中ですよ!切りますよ!」


「じゃあ、携帯の番号教えて?

そしたら会社に電話しないから!」


未来は五月の番号を教えた。


「五月、桜庭さん、しつこいから

五月の携帯番号教えたから」


「えっ、何で?未来のを聞いて

来たんでしょう?私、困るよ!」


「ごめん」


そして、やっぱり五月の携帯が

鳴った。


「上谷さん?」


「違います、私同僚の光山五月

です。未来が私の番号を教えた

みたいで、すみません」


「いや、光山さんが謝らなくても。

上谷さんて未来って言うんだ。

名前と反対だね。過去の人が

大好きなのに」


と恭介は笑っていた。

五月も笑った。


「ねぇ、未来ちゃんの携帯番号を

教えて!」


「勝手に教えると、あ~いう子なんで

本人に確認して連絡します」


「頼むね~よろしく!」


そして五月は未来の所に行った。


「未来、電話掛かって来たよ!もう

未来の番号教えるからね!」


「いいよ、私、出ないから」


「出なさいよ!失礼でしょ!」


「だから、どうして?さぁ、仕事

しよう!」


その頃、恭介は


「本当に変わった子でさぁ~

変わり過ぎてて、面白いよ!

笑えるね」


「そんなに?」


「うん、俺達ってさあ、何時も

ファンの人に支えられてキャ~

キャ~言われるのに慣れてしまって

るけど、あの子は俺に全然興味が

無いみたいで、そこがまた、

面白いんだよね!」


「おい、恭介、大丈夫か?

のめり込むなよ!」


「大丈夫だよ!」


「ちょっと桜庭さん、いいですか?」


とマネージャーがやって来た。


「何?」


「あの、ドラマのオファーが来て

まして」


「どんなドラマ?恋愛?アクション?]


[いえ、時代劇です」


「え~時代劇?」


「ちなみに織田信長の役なんですが」


「えっ!織田信長?やる、やるよ!」


と引き受ける恭介だった。

そして恭介は五月から未来の

携帯の番号を教えて貰った。


「光山さん、ごめんね」


「いえ、いえ、こんな事しか出来なくて

未来、本当に変わってるんで、あまり

気にしないでください」


「ありがとう」


それから恭介は何度も連絡を

するが未来は携帯に出ない。


(なんで出ないんだよ!

あいつ、わざとだな!そうだ

ラインを送ろう!)


それにも返信は来ない。


(よーし、その気なら会社に

行くぞ!待ってろよ!おたく歴史女!)


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