図書室

A「私、告白された」

 他に生徒のいない放課後の図書室。その静寂は、一人の声によって破られた。

B「……はい?」

 突如として破られた静寂に、一歩遅れて疑問が返る。

A「さっきね。校舎裏に呼び出されて……」

B「そう……じゃあ、ここで勉強するのはこれで最後かもね」

 Bの声はどこか寂し気で、とても悲しい音をしていた。

A「そう……なるのかな」

B「そりゃあそうだよ。少なくとも僕が告白した側なら、僕みたいな人は邪魔だと思うし」

A「そっか。じゃあ断らないとね」

B「……へ?」

 また、今度ははじめとは違う理由で、一歩遅れて疑問が返る。

A「私はこの時間気に入ってるんだ。これを捨てなきゃならないなら、恋人なんていらない」

B「じゃあ……この時間を捨てなくてもいいとしたら。告白を受けるの?」

 期待。あるいは切望。そんな感情が、二人にはあった。

A「どうかな……もし相手がここの時間を受け入れてくれたとしても、私が遠慮しちゃうかもしれない」

B「じゃあ、僕なら?僕が君の恋人になりたいって言ったら。受け入れてくれる?」

A「それは……」

  その瞬間。図書室には美しい夕日が差し込んでいた。

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