「あんたの言う通り、こいつを引き取って、俺も学園に通ってやるよ」


「それじゃあ!」


「ただし……」


 シキはアリスを抱え上げ、左肩に載せると、


「あんたが、お金が払えない場合と、こいつが使えないものなら俺の奴隷として、一生働いてもらうから」


「なんでよ!」


 アリスが怒る。


「ふふふ……。面白い子ね。いいわ。その条件、呑みましょう」


「お姉ちゃん!」


 イリーナは返答し、アリスは姉に裏切られる。


「決まりだな。じゃあ、帰るぞ。後、お前はその怪我を治せよな。雑用係なんだから」


「私は雑用係じゃないわよ!」


「ピーピー、うるさい女だな。決まったんだから素直に受け入れろよ」


「嫌よ! ちょっと、変なところ、触らないでよ!」


「ああ? 触ってねーよ」


「触ってるわよ!」


 二人はギャアギャア、言いながら地下水路を歩く。


 その後ろを歩くイリーナは、ニコニコ、としていた。


「何笑ってんだよ……」


「別に、何でもないわよ」


 三人は、その後、地下から地上に上がった。




 これは、まだ、少年の物語の始まりに過ぎない。


 セイブン国——


 この国は、魔法の国。人種はおろか、様々な種族が、行き交う国である。

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