第31話 シイタケ貿易と、サービス品と、夏野菜焼きそば

 シイタケでおすそ分けスタンピードを起こせるようになった。

 今日から貿易だ。


「うむ、これが一つで都市一つ分の魔力を秘めているのか」


 エイザークが感慨深げにシイタケを摘まんだ。


「魔力が沢山ある食べ物は健康にもよろしいと思います」


 とアルカナが言う。


「このキノコはどう調理したら美味い?」

「網で焼いて醤油を掛けたのなんか美味いぞ。キュウリのステックを入れた醤油を持って来たから試してみると良い。他は油で炒めて醤油と七味はないから、スパイスかハーブを入れると美味い。あと天ぷらなんかも」

「キノコはこの辺りではよく食しておる。ここは山だからな。馴染みがある食材でよいな。家臣に下賜する事もできよう」


 さっそく、簡単なかまどが作られ、串に刺したシイタケが炙られる。

 火が通りシイタケの汁が垂れ始める。


 俺は醤油を垂らした。

 醤油の焦げる良い匂いが謁見の間に漂った。


「いまさらだけど、ここで料理してもいいのか?」

「構わん。酒宴を開く事など度々ある。ここで豚を丸焼きした事もな」


 なら、構わないか。

 エイザークがシイタケを齧る。


「美味い」


 そして、エールをくびっと飲んだ。

 俺も焼きシイタケをつまみにエールを飲んだ。

 くぅ、冷えたエールが美味い。

 氷の魔石は貴重だとか言っていたけど、冷蔵庫を作ったんだな。


 酒宴が終わり、貿易品である松ぼっくりに魔法を掛ける事になった。

 俺は境界で松ぼっくりを突き出した。


「ではまずわしが。【身体強化魔法】。本当に5でいいのか?」

「1割も強くなったら、問題なんだよ」


「皆の者、これも訓練だ。馬鹿にせず、心して掛かるように」


 そうエイザークが戦士に話し掛けた。


「おう」


 戦士が次々に松ぼっくりに魔法を掛ける。

 すぐに300個は終わった。


 病気で体力がなくなった人も一日でいいから、少しでも元気を取り戻せたら良い。



 10時になったので量販店に掲示板の書き込みに行く。


【朗報】心霊治療開催11【気軽に来てね】

268

場所は○○神社の横手の森。時間は午前11時から、午前12時まで。

一回一万円。

痛み止めは千円。

元気が出る松ぼっくりをサービス。

※声を掛けられても驚かないように。


269

おっ、サービス品があるのか

もらいに行こう


270

乞食乙


271

ただなら貰う

それがジャスティス


 馬鹿な奴らだな。

 治療目的でないと迷うようになっているのに。

 俺は準備をして、神社に向かった。


 治療の様子はいつもと変わりない。

 俺は帰りに掲示板が気になって量販店を覗いた。


【朗報】心霊治療開催11【気軽に来てね】


350

思いっ糞迷った


351

ざまぁ

俺は頭痛を止めてもらって

もらったぜ


352

スレ主には血も涙もないのか


353

あるわけないだろ

人間かどうかすら怪しい


354

警察が本格的に動き出すらしい


355

ソースは?


356

それは言えないな


 警察が動くのか。

 どうするのかな。

 神社を封鎖されたら、別の神社に行くだけだ。

 神社なら自転車で行ける所に10ヶ所はある。

 別にお寺でも良い。


 でも気をつけるようにしないと。

 さあ、昼飯は何を食おう。

 そうだ、焼きそばにしよう。

 ナスとキュウリが旬だから、それに冷蔵後にあるキャベツを入れてと。

 肉は豚で良いや。


 プライパンで野菜を炒める。

 麺と肉を入れしばらく炒めたら。

 焼きそばに付いている粉末ソースを入れて、ちょっぴりコショウを入れて、皿に盛りつける。

 生姜の粉と青のりを掛けたら完成だ。

 生姜の粉は自分で作った。

 大量に生姜を貰った事があったんだ。

 腐らせても勿体ないので、薄くスライスして乾燥して、ミキサーで粉にした。


 生姜の粉を掛けるとカップ焼きそばのチープ感が出る。

 アクセント的にも良いので掛けるようにしている。


 辺りにソースの良い匂いが漂う。

 プシュっと缶ビールを開け、焼きそばを食ってビールを飲む。

 幸せだな。


 さあ、午後の畑仕事をするぞ。

 セミが鳴いていて、暑さが増す。

 オークの畑の指導もしないといけない。

 やる事は沢山ある。

 一仕事したら、冷たいシャワーを浴びて、何かつまみを作って、ビールをまた1缶飲もう。

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