2 自首なのか

 すっかりスズメに飽きたらしい猫は、神経をすり減らしてゲッソリしている俺の膝の上でくつろぎ始めた。


 そのマイペースさがうらやましい。


「っていうかどこの猫なの、君」


 首輪ついてないけど、これもし他所んちのコだったら? 誘拐……いや、窃盗になるのか?


 入り口全部閉まってたし、俺がここに連れてきたんだよな。あー、昨日の夜の記憶がなーい!


「どうしよう……」


 交番に行くか?

 猫を連れて帰りましたって?


 なんだそりゃ。


 いや、犬や猫は拾得物扱いだって聞いたことあるから間違ってはない。でも、どこから連れて来たかもわからないのに、なにをどう説明するんだ?


 もしイエネコだったら、俺犯罪者では?


「身に覚えのない罪で自首するのか……」


 あいにく俺は人間小さいもんで、さっきから堂々巡りだ。ガンガン痛む頭を抱えていると、猫がもぞもぞと動いて、お尻をこちらに向けてきた。


「んー? 撫でてほしいんだな? よしよ……おふっ!?」


 不躾にお尻を撫でたら、ヒメタケみたいな尻尾でビンタされた。


「え? 違うのか? ちょっと待って……」


 スマートフォンの検索窓から、


 知らない猫 連れ帰った どうする


 のワードを消して、新たに打ち込む。


 全国の飼い主様がたのアドバイス通り、しっぽの付け根を優しく叩くと、猫は満足げに喉を鳴らし始めた。


「あ。君、オスなんだね……」


 可愛いけど、人間どころか女の子ですらなかった……。

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