第7話 勇者村に着く

 オオミヤ城の玉座の間を後にした俺だが、なぜかすれ違うヤツ等は皆、ニヤついている。

 おいおい、勇者なのに死んだ事が、そんなにおかしいのかよ!

 俺は居心地の悪さを感じ、とっととオオミヤ城を後にした。


 俺は早速カスカベの街へ向かう。

 転移の翼を買うためだ。

 これさえあれば、瀕死の重傷状態でも城へ帰れる。

 そこからカスカベの街まで三時間歩く事になるのだが、ここの魔物からは、最早ダメージを受ける事もない。

 カスカベの街の宿屋に泊まれば、翌朝には全回復している。

 ほんと、どんな仕組みなんだろか。


 カスカベの街の道具屋で、異変に気づく。

 転移の翼を買おうとしたら、持ち金が足りなかった。

 確か、転移の翼を買えるくらいは貯まってたはず。

 なのに、68円しかない。

 どこかに落としたのだろうか?

 チビデブの魔物との戦いで意識失って、王様の目の前で気がつくまでの間に、落としたのだろうか。

 それを確認するスベはない。


 とりあえずやくそうを買った。

 持てる上限の八枚になった。


 俺は再びカワゴエの村を目指す。

 東方の方にも興味はあったが、やはり当初の目的を達成しないとな。


 途中、チビデブの魔物と遭遇する。

 こいつも魔法攻撃は厄介だ。

 三発くらえば、俺は死ぬ。

 それほどのダメージ量なのだ。

 俺はやくそうを使おうとして、思い出した。

 そう言えば、回復の呪文を覚えてたんだっけ。

 マジックパワーがからっ欠で、使いそびれた回復呪文。

 今はマジックパワーはマックスだ。

 俺は回復呪文を使ってみる事にした。


「ヒーリング!」


 体力が回復した。

 回復量は、やくそうのそれよりも多かった。

 だけどマジックパワーの消費も激しく、四回使えばマジックパワーは尽きる。

 だけどマジックパワーが尽きる前に宿屋に泊まれば、問題ない。

 これでは、やくそうを買い足したのが無駄になる。

 やくそうを買わずに、防具類を買うべきだったのでは、と思わなくもない。


 チビデブの魔物を数体倒してるうちに、カワゴエの村に着いた。

 村と言うだけあって、カスカベの街よりも狭く、活気もない。

 だけどカワゴエの村にも、宿屋と武器屋と道具屋はあった。

 魔法の鍵を売る店は無かったが、魔法の鍵で開ける魔法の扉で閉ざされた建物があった。

 見た感じ、その建物は村の北半分を覆ってるみたいだった。


 俺は村の探索の前に、宿屋に泊まる事にした。

 実の所、チビデブの魔物との連戦で、死にかけている。

 回復の呪文は三回唱えたら、マジックパワーが尽きた。

 いや、尽きてはいないが、呪文に必要な分のマジックパワーはなかった。

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