第8話 勇者苦戦する

 カワゴエの村の宿屋に泊まって、朝をむかえた。

 俺は体力、マジックパワー共に、全回復。

 ちなみに宿屋代は20円だった。

 この辺のチビデブの魔物は、倒したら11円から15円落とす。

 連続で狩れるのは五匹が限界だが、二匹倒せば宿屋に泊まれる。

 ここら一帯でチビデブ狩りをするのも、悪くないかもしれない。


 俺は早速、カワゴエの村の探索にのりだした。

 道具屋で売ってるものは、カスカベの街と同じラインナップだった。

 だけど武器屋は違った。


 銅の剣  180円

 鉄の斧  500円

 鎖かたびら 350円

 うろこの盾 200円


 今の所持金は204円。

 とりあえずうろこの盾を買って、装備を整えた。

 これでチビデブの魔物との戦いも、楽になるはず。

 また転移の翼を買う金が無くなった。


 このカワゴエの村で聞けた情報は、以下の通りだった。


「この村の礎を築いた吟遊詩人ユーズルは偉大でした。」

「この村のどこかに、ユーズルの墓があるらしい。」

「橋の向こうにいる魔物は、別格の強さ。橋の向こうには、絶対行くなよ。」

「イワツキの村が東の遠方にあるんだけど、もう行ったかな。」

「ローザ姫は、どこかの洞窟に捕らえられてるらしい。」


 魔法の扉で区切られた建物については、誰も教えてくれなかった。

 カワゴエの村に着く前、南の方で橋を見たが、その向こうの魔物は強いのか。

 ならば東にあると言うイワツキの村を目指すか。

 ってその前に、装備を整えたい。

 この村で売ってる鉄の斧と鎖かたびらを買ってから、イワツキの村を目指そう。

 チビデブの魔物を80体も倒せば、買えるし。


 俺は早速カワゴエの村の外に出た。

 チビデブの魔物を倒し続けていたら、レベルがふたつ上がった。

 攻撃呪文も覚えた。

 チビデブの魔物が使う、ぴかってヤツだ。

 そして今の所持金は478円。

 鎖かたびらは買えるが、鉄の斧は買えない。

 俺はふたつを同時に購入するつもりなんで、武器屋には行かずに、宿屋に行った。


 翌朝から、チビデブの魔物退治。

 このチビデブも、一撃で倒せるようになった俺は、ふと思う。

 橋の向こうの魔物も、倒せるんじゃないか?

 俺はそんな軽い気持ちで、橋を渡る。

 橋の周りには草原地帯が広がっていたが、少し歩くと乾いた大地になった。


 ここで新種の魔物出現!

 全身骨の骨格標本みたいな魔物だった。

 俺は早速、銅の剣で攻撃。

 がいこつの魔物には表情が無いため、この攻撃が効いてるのかは分からない。

 そしてがいこつの反撃。


 ぐどっ。


 な、なんだこの攻撃。

 すげー痛い。

 筋肉もない骨だけ野郎のくせに、どこにこんな力があるんだ。

 俺の体力の4分の1が持っていかれた。


「ぴか。」


 俺は呪文を唱えた。

 ぴかの呪文攻撃は、通常攻撃の1.5倍の威力がある。

 だけどがいこつは倒せない。


 がいこつの攻撃!

 俺の体力は半分になった。


「ぴか。」


 もう一度呪文で攻撃。

 まだがいこつは倒せない。


 がいこつの攻撃!

 俺の体力は、残り4分の1。

 目の前が赤く濁る。


「ぴか。」


 もう一度呪文で攻撃。

 しかしがいこつは倒せない。


 がいこつの攻撃!

 俺の体力は、残りわずか。

 やばいぞ、次の攻撃で倒せなかったら、俺は死ぬ。

 回復呪文ややくそうで回復しても、こいつから受けるダメージをカバーしきれない。

 そしてマジックパワーも尽きている。


 俺は銅の剣で攻撃するしかなかった。


 ズザン!


 なんかいつもの攻撃よりも、強力な一撃を放てた。


 がいこつを倒した。

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