あとがき(裏のネタバラシ)

 こんにちは。作者の沖田おきたはじめです。あとがき、というかネタバラシをこの場を借りてしようと思います。


・作品名「Hardenbergial voices」

 第5話の冒頭詩がだいたい説明をしています。Hardenbergia violacea (ハーデンベルキア)の花言葉は「運命的な出会い」。まさにふたりの出会いを言い表した花ですね。Hardenbergia を形容詞形にするためにHardenbergial にして、「二人の声」という意味で「voices」です。Hardenbergia violacea の violacea がvoices と(たまたま)似ているのもお気に入りのポイントです。


雪中せつなかここの

 彼の名前も、実は花言葉から来ています。

 「雪中」はスイセンから。スイセンの和名の「雪中花せっちゅうか」からとっています。スイセンの花言葉は「自己愛」。雪中の自身の声を愛する姿を表しています。「せつなか」ではなくて「ゆきなか」の方が苗字としてはありそうな読みですが、「ゆきなか」にしてしまうと「佐野」と出席番号順(五十音順)で近くにならないという事情があり、「せつなか」になりました。

 「心」はブーゲンビリアから。ブーゲンビリアの和名の「九重葛ここのえかつら」からとっています。ブーゲンビリアの花言葉は「あなたしか見えない」。雪中が佐野の歌声に飲み込まれる様子を表しています。


佐野さのかおり

 彼女の名前も、花言葉からです。

 「佐野」はクサノオウからとっています。クサノオウの花言葉は「私を見つけて」。作品中で佐野自身がこのような感情を抱いている描写はありませんが、雪中と出会い、話せるようになった彼女の人生から見れば、そこそこ相応しい花なのではないでしょうか。最初はクサノオウから3文字取れる「草野くさの」の方がいいかなと思っていましたが、そうするとどうしても「雪中」と出席番号順が近くならないので、致し方なく「佐野」になりました。

 「薫」はラベンダーから。ラベンダーの和名の「薫衣草くぬえそう」からとっています。ラベンダーの花言葉は「沈黙」。彼女の雪中に出会うまでの人生を言い表しています。




 こうした「花言葉からいろいろ名付ける」というのは完全に私の趣味です。これまでのいくつかの作品でもこうした名付けをしています(カクヨムではネタバラシはまだしていないです。今回が初!)。


 登場人物にそぐう花言葉から花を調べ、それをなんとかして人名っぽくするのは、人物の名前をどうするか悩まなくていいので楽です。どんな花言葉が相応しいのかを考えるのは面倒ですが楽しいです。そして何より直接人名を考えるより何倍も楽です。おまけに、あとからネタバラシをした際にインスタントな”深み”が出る(と思い込んでいる)ので、とってもお得です。


 こんな最後の最後までお読みくださった方、ありがとうございます。


 それでは、またどこかで。

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Hardenbergial voices 沖田一 @okita_ga_okita

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