第18話

前回までのあらすじ。

私の一方的な活躍により、友人である日向葵は。彼に想いを寄せる当大学の王子様こと旭陽太に、夏休み前に控えるテストの勉強を見て貰うイベント――もとい、約束を取り付けることに成功したのだが……。


「あー……私は帰るよ」

「なんで? 真壁、今日はバイトも無いって言ってただろ?」


授業終わり後、日向は私までも。旭君との勉強会に参加させようとしていたのだ。


(この神イベに、不純物(私)は要らないんじゃイイイイイイ!!!!)


全く……日向も腐男子なら、その辺は察してくれないものかね?

ボーイズラブに、女子なんて邪魔なだけだよ?


「ほら……私、日向ほど旭君と授業被ってないし! 邪魔になるって」

「けど、俺と結構授業被ってんじゃん」

「日向、私にも勉強手伝って貰おうとしてる?」

「まあ、俺と真壁の仲だろ?」

「オイ、ふざけんな」


等と、不毛な言い合いをしていると。


「日向、場所。自習室で良いか?」


旭君が、日向を迎えにやって来た。


(好きな子を迎えに来るなんて、旭君は本当に王子様やで!!)


私はとりあえず、そのシチュエーションに歓喜し興奮しておいた。


(って、今はゆっくり萌えに浸ってる場合じゃなかった……早く受け(日向)から邪魔者(私)を引き剥がす方法を考えなければ!!)


旭君が夢にまでみているであろうと勝手に設定している、日向とのドキッ❤二人っきりのお勉強会! 作戦が台無しに……。


「ヤッホー! ヒナちゃん、真壁ちゃん!」


なんか余分なの居るぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!

旭君と共に、まさかの空井君まで付いて来てしまうなんて……クっソおぅっ!!


「空井も一緒に勉強すんの?」

「あっ、俺は陽太とヒナちゃんとあんまし授業被ってないから。ただ、途中まで引っ付いて来ただけ」


友人Aナイスっっっ!!

ならば……問題は私だけか。


「別に気にしねーで一緒にやってけば良いじゃん。真壁も居るし」


オイ、日向。私まだ一切了承してねーぞ。


「真壁ちゃんも、陽太とヒナちゃんとテス勉すんの?」

「いや……私、旭君と全然授業被ってないから良いって言ってるんだけど……」


空井君の質問に、私はおずおずと告げる。


「あっ、じゃあさ! 真壁ちゃんは、俺と勉強する?」

「えっ?」

「ほら! 確か、真壁ちゃんとは割と俺。授業被ってんじゃん! 先生違っても、基本の内容一緒のもあった気がするし。多分、教えっこ出来んじゃね? って!」


これは好機! 空井君と勉強をするとなれば、私は日向と旭君の邪魔をせずに自然と二人の前からフェードアウトすることが出来るではないか!


「確かに! もし空井君が良ければ、お願いても良いかな?」


こうして、神イベの危機は回避された……のだが。

私は後悔することとなる。この選択を後先考えずに、軽率に受諾してしまったことを――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る