第40話

「美冬」


肩を叩かれてハッと我に帰った。


振り返ると夏希が立っていた。


「タイマー、なってるよ?」


気がつけば、手元のタイマーがピピッ、ピピッとけたたましくなっていた。


「どうしたの?」

心配そうな顔をする夏希に私は笑いかけた。

「どうもしないよ。ちょっと、ぼぉっとしてただけ」


そう答えて、私は心の中で苦笑する。

なんだ、私も嘘つきじゃないか。 


しかし、夏喜は簡単に騙されてくれなかった。

なおも不安そうな顔で私を見る。

私は一際明るい声を出した。


「ほら、チキンラーメンは鮮度が命だよ!早く食べるよ!」



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