幕間 オタク

「ちょっと、復活したならうちのみふこもなんとかしなさい」


 浅利が席までやってきた。深山の方を見ると相変わらずぐでーっと机に突っ伏して落ち込んでいる。


「やっぱ俺が悪いよな?」


「いや基本的にあのバカが悪い」


「辛辣……」


「あの子が悪くてもそれでも何とかしてあげてって話」


「なんとかって言われても何すればいいのやら」


「ファンなんてちょろいんだから何しても喜ぶ」


「んなこと言われても」


「普段使ってるシャーペンとかシャンプーとかベルトとか歯磨き粉とか香水とかあげればいいのよ」


「ラインナップがしっかりキモい」


 お詫びに歯磨き粉渡す男いたら通報すべきだろ。


「それは一理ある。じゃあシチュエーションボイスとか写真とか」


「こないだはごめん。これお詫びに俺の目覚ましボイスのデータ。おまけに写真もつけとくぜ」


「こいつ5発までなら殴っても合法」


「全部浅利が言ってるんだけどな」


「三次元難しいわ……」


「オタク難しいわ……」


「とにかく、オタクは推しのプライベートの些細な情報を得られると解像度が上がって幸せになる」


「熱愛報道とかは解像度上がるんじゃ?」


「上がりすぎて脳の処理が追いつかなくて焼き切れる」


「度し難い」


「ハマってるものとかでいいってこと」



ハマってるものねぇ。

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