第8話 ソウルショップ

 アニメーションから始まった。まず真っ黒の背景に白ゴシックの文字で

『タマシイ(@o@)Collectors』と書かれていた。この顔文字は何を意味しているのだろうか?


 そして、数秒間待ち、アニメーションが終わるとサイトが表示された。

『魂コレクターズ』

 と、書かれている。何のサイトなのかは全く分からない。

 なぜって、そのサイトは背景真っ黒にリンクという文字しかないメニューバー。そして、リンクと書かれたボタンがずらずら並んでいる。ヘッダーの方にはログインボタンがあった。

「何のサイトなんよ。まるで分らないじゃん」


 パイロットは取り合えず、リンクボタンを押してみることにした。

 一番上のリンクボタンを押すと、出てきたのはこれだった。

「チキチキンの魂」


 チキチキンといえば、パイロットがかなりのファンだった人気配信者で、この前原因不明の死亡事件があった人物である。


 その中で、このサイトに奇妙なのは写真だった。写真には遺影のような枠が付けられているチキチキンの写真と、ビンの中の火の玉のような写真、この二つ。

 文章は何もない。

 だが、このサイトがどんなサイトなのかを決定づける要素が見つかった。

「購入はコチラから」

 つまり、このサイトはショッピングサイトなのだろう。

「ところで、魂ってどういうことよ」

 魂とは・・・・・。右にもう一つのタブを開けて、魂と検索してみる。


 1.身体に宿って心の働きをつかさどるとされるもの。古来、肉体から独立したものと考えられた。

 2.精神。気力。「―をこめる」

 3.たましい。霊魂。


 売っているものが2というのは多分ないだろう。なら、1か2のどちらかだ。どちらにしろ、チキチキンのものが販売されているということだろうか。

「ちょっと、このサイト怖い。通報しよう」

 パイロットは冷静を保って、意外な方向へ出た。

 このサイトには「このサイトを通報」のボタンがない。なら、かけよう。怪しいサイトを見つけましたと。


 インターネット警察というものがあるらしく、まずはする前に調べてみた。すると、警察庁のサイトにアクセスしたが、どうやら交番に相談した方がいいらしい。だが、いちいち出向くのは少しあれだから、電話をすることにした。


 スマホを取り出し、9110に掛ける。

 9110は、全国のどこからでも、その掛けたところの管轄の警察本部などにつながる、相談専用電話である。

 パイロットのことで何かトラブルがあったらこれを使いなさい、と指導されていたから知っていた。


 トゥルルルルル・・・・・。

「はい、もしもし。○○警察本部、相談員の山北です。お電話ありがとうございます。ご用件は何でしょうか?」

「わざわざすみません。怪しいサイトを見つけたので、見てもらおうと思って」

「そうでございましたか。そのサイトのURLを教えてもらえますでしょうか?」

「ええっと、どうしましょう。LINEで送りましょうか?」

「いえ、コチラのパソコンで対応いたしますので、そのままURLを読んでもらえると嬉しいです」

「分かりました。『https://www.Soul-shop.biz』です」

 今考えると、ソウルショップは魂の店という意味ではないか。なぜ気づけなかったのだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る