夕暮れの君と共に歩む

「お疲れ様二人とも」


「「お疲れ様でした」」


幸紀と花園は、司書の先生に挨拶をし

図書室をでる。


「花園さんは、このまま帰る?」


「うん…君は帰らないの?」


「帰るよ、だから駐輪場まで一緒に行ってもいいかな?」


俺は、バス通学の為

駐輪場に本当は行かなくていいのだが

一秒でも長く花園さんと一緒に居たくて

誘ってみる。


「…ごめんね今日は、親が迎えにくるの」


「えっああそうなの?

 …ハハそれじゃ」


くぅ…勇気を出して言って見たのに、

…仕方ない。


幸紀は、諦めて別れを告げようとすると

制服の裾を掴まれ

「…だけど」と花園さんが声を出す。


「もう少し予定の時間まであるから

 その…お話し出来ない?…くん」


「!?」


幸紀は、突然名前を呼ばれ驚く。


「えっいま…」


「それで…どう?」


「そっそれは…よろしくお願いします。」


「…うん」






「ここで花園さんいいかな?」


「…うん」


二人は、靴に履き替え

校門に近くそれでいて

人目のつかないベンチに座る。


「それで花園さんは、何を話したかったの?」


まぁ話したいとは、言っても何を話していいのかわからなかった為

花園さんに聞いてみる。


「…何か話す事がないとダメなの?」


「いっいやそんな事はないよ

 そうだな……それじゃさっき

 俺のことを名前で呼んでくれたよね」


「…うん、嫌だった?」


「いや!!嬉しかったよ

 花園「だったら」さん?」


「私の事も…名前で…お願いします」


「なま…え?」


「…もしかして、わからないの?」


花園さんが目に涙を溜める。


「いやいや知ってるよ

 さん」


(って呼んじゃった!!)


幸紀は、心の中で歓喜する。

まさか名前を呼べる日が来るとは!!


「…はい、幸紀くん」


花園さん…じゃなくて秋菜さんは、

嬉しそうに微笑む。


「よかった」


「え?」


「もしかしたら嫌がるんじゃないかって」


「そんな訳ないです!!

 俺が秋菜さんのこと拒絶することなんてありません」


「そう?…ありがとう」


放課後の夕暮れ時

夕日の柔らかな光が彼女を当たり

秋菜さんの笑顔は光り輝いていた。


孝介は、それを見て一目惚れした時の

事を思い出す。


「あ…」


「ん?どうしたの?」


「…えっいや綺麗だなって」


「綺麗?何が?」


「秋菜さんが」


「わっ私!!…えっあ…ありがとう」


秋菜は、ある顔を真っ赤にしてうつむく。


「いいえ」


(うわっつい本音が)

その後お互い気まずかなり

会話もぎこちなくなり

その後の時間

ただ無言で肩を並べて座っていた。



プルルル

「あっ……時間だ」


そんな時間を過ごしていると

秋菜さんのスマホに電話がかかる。


「…ごめんね、私から誘ったのに」


彼女が申し訳なさそうにこちらを見る。


「いえ、俺が変なこと言ったから」


「それは…そうだね幸紀くんダメだよ

 あんな言葉簡単に言ったら

 …勘違いしちゃうから」


「勘違いしてもいいですよ俺は」


幸紀は、真剣な表情で秋菜を見る。


そうだ勘違いでもいい秋菜さんが

こちらを見てくれるなら…


「それって…」


秋菜さんは、俺が言っている意味が伝わったのだろう

彼女は、顔を赤らめあっうっと

言葉にならない音をだしていた。


幸紀は、立ち上がり空を見る。

今こそ気持ちを伝えるタイミングじゃないのか…そう思い自分の気持ちを言葉に出そうと

考える。


「あっ」


幸紀は、その時夕暮れの空に光る月が見える。

そうだあの言葉を伝えよう

読書好きな彼女ならわかるはずだから。


「秋菜さん」


「ひゃっはい!!」


「月が……綺麗ですね」


(言った!!言ってやったぞ)


幸紀は、勇気を振り絞り言葉にする。

どうか伝わってくれ…頼む!!


「あっ…あっ…」


えっ理解はしてくれたようだが

その反応は、どっちなんだ?


幸紀は、固唾を飲んで彼女の返事を待つ。


「…幸紀くん…


「!?、そっそれって」


秋菜の返事を受け幸紀とは、

ゆっくりと彼女に近づき肩に手を置く。


秋菜は、ビクッとしながらも何かを決意して

目を瞑ろうか瞑らないか悩み中途半端な

薄目になる。


そんな彼女に、


「秋菜さん」


幸紀は…


「死ぬほど嫌ってことですか!!」


と叫んだ。


「………へっ?」


「いやっ断られるかもしれないって

 覚悟は、しましたけど

 いやそこまでですか!!」


「いっいえ…違うそうじゃない」


「違う?あっ死んでもいいわ…だから

 俺が死ねってことです?」


「違っ!!」


幸紀は、ここまで予想外の返答を

されるとは思わなくて混乱する。


どうしよう恥ずかしいし

悲しすぎる!!


「違う!!馬鹿!!」


バシン

「グフッ!!」


急に秋菜さんからビンタをくらう。


「えっ?」


彼女の方を見ると顔を真っ赤に染めて

見るからに怒っているのがわかる。


「馬鹿…馬鹿馬鹿馬鹿!!

 私がそんな酷いこと言う訳ない

 …本当信じられない

 その言葉使うなら返事の事も調べなさい」


「えっ?返事?」


あれ?もしかして俺何かやっちゃいました?

…待て待て待てもしかして今さっきの

何か意味のある返事だったんじゃ。


「そこ!!スマホ触らない!!

 調べるなら帰ってから!!」


「あっはい!!ごめんなさい」


幸紀は、指摘されスマホがあるポケットから手を外し立ち上がる。


「本当…馬鹿」


秋菜は、そう言って幸紀の腕に抱きつく。


「えっ?なっ何を」


「私じゃなかったら

 百年の恋もなくなるとこだよ」


「そっそんなに!?ごめんなさい」


「うん…まぁ許す…ただ」


「ただ?」


「後日、改めてお願い…ね?」


「それって」


「行くよ幸紀くん

 私、親を待たせてるんだから

 一緒に謝って」


彼女は、言葉を無視して俺の腕を引っ張りながら歩く。


「幸紀くん?…返事は?」


「ああ…わかったよ」


「うん…それでよし」


そうして二人は、夕日の光に導かれながら

共に歩んで行った。



〜完〜






こんにちは、ここまで呼んで下さってありがとうございます。

この話は、ここで終わりになります。

正直言います……短編難しいッ!!


どんどん話が膨らんでいって、

これ…短編で終わるのかと思いながら書いていました。

(正直考えていたプロットの四分の一程度しか進んでいません)


正直無理矢理終わらせた感もありますが

それでも結構満足したので良かったです。


今回の事を良い経験として、

他の作品に生かしていきたいと思います。


最後にここまで呼んで頂いてありがとうございました。

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夕暮れの君に恋をした〜放課後の教室で君に一目惚れ〜 雪見桜 @kannko12

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