第3話

明日から雪乃が来るので、今日はまだ一人での仕事だ。やはり、店は繁盛しており、一人では切り盛りするのはだいぶきつい。

客足が落ち着いたと思っていたら、カランとと甲高い音がドアから鳴った。

「いらっしゃいませー」

「お!後輩君じゃ~ん。あ、元後輩君か」

「はあ…先輩か…あ。元先輩か」

「いや、私の真似すんのやめて」

この元先輩は、天羽咲来(あもうさくら)雪乃とと同じ銀髪だが雪乃よりは少し髪が長めで、ハーフアップにしているからか少し大人っぽさを感じさせる。

(いつの間にか雪乃と比較して…)

「それで、後輩君に聞きたいんだけど、私の妹の雪乃がきたでしょ?」

「やっぱり…妹だったんですね」

「お!さすが後輩君」

「それで?何の用ですか」

「もうわかってると思うけど、あの子警戒心強くてさ。しかも最近いろいろあってもっとひどくなっちゃってさ」

いろいろとは何なのか気になるが家庭のことに他人が首を突っ込むわけにはいかない。

「まあ、一応私この店に戻ってくるから、例の面接を頼んだよ」

「例のとは…?」

「いや~。聞いたよ!あの後輩君が面接をするんだからどんな面接かと思ったら、予想通り面白い面接だったそうじゃん?」

「もういいです。先輩は面接なしで」

「それって大丈夫?店的に」

「店長の執事が何とかやってくれるさ」

「そこは店長に頼んでよ?」

「あ。そっか先輩は知らないんですね。店長はこの店辞めました。その代わり自分の執事に全部任せたようです」

「あの店長ならやりかねない…ってか、執事ってあの執事のことか?」

「どういうことですか?」

(何か面識があるのだろうか?)

「まあ、やってみた方が早いね」

「執事~!」

と、大声で呼ぶと、いつの間にか隣に例の執事が現れた。

「おお~ひさしぶり!」

「久しぶりです。天羽様。相変わらずですね」

いや、当然のように話してるけど、どこから来たの!?この執事ただもんじゃないぞ!?

と周峯は動揺を隠せないが咲来は当然のように話を続ける。

「大丈夫なんですか?執事さん。仕事、押し付けられていますけど」

「それが私の仕事ですから」

「そんな仕事だったの」

「それで、用件は何でしょう?」

「私さ、またこの店はいるからよろしく~ってこと」

「手続きは、すべて完了させましたので、明日から始められますよ」

にこっと優しく笑うが、その完璧さにまたも周峯は驚きを隠せない。

「それでは。」

と、だけ残し執事は消えていった。

「なんか手元に紙が…」

「シフトの時間が表にまとめられてあるね」

「どこまで完璧なんだ…」

「雪乃も明日からだっけ?」

「はい。それでは、明日は3人そろうってことですか」

「あーごめん。私、明日はいけないや」

「何でですか?いや、別にいいですけど」

「彼ぴとデート☆」

咲来は、ばちっと瞬きをし、決め顔を作る。

「…そんな理由なら、明日来れますよね…?」

「いや、本当に明日だけは許して!」

「はあ…今回だけですからね」

「まあ、雪乃ちゃんと楽しくやってくれよ~?」

強引に決められ、周峯は「はあ…」と肩を落とした。

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無表情な後輩ちゃんを笑わせたい! さーお @aoao3ka

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