黒い糸

　左手の小指から伸びる運命の赤い糸。それを目で見て、触れることができる高校生、羽嶋菜緒は小指から糸を引っ張って伸ばすことが癖だった。
　しかしある日、自分の糸が伸びなくなった為、糸が切れてしまったか、相手が死んでしまったのだと悟る。
　菜緒が先端まで糸をたどっていくと、とある病院にたどり着き、そこで菜緒が片思いをしている同級生の鈴木京平に会う。彼の糸が切れていることに気がつくと、菜緒は鈴木が運命の相手だと信じるようになる。
　鈴木に誘われ、その病院に入院しているもう一人の同級生のところへ見舞いに行き、そこで菜緒は田宮悠斗と出会う。
　その後、菜緒は田宮からもう一つの糸について話を聞くことになる。
　それは人の生と死の運命を決める黒い糸。
　赤い糸のように体から出ているのではなく、右手の小指の…続きを読む