ブラジル怪異集

第18話 【隠された黄金都市】シダージ・エンカンターダ(A Cidade Encantada)

　シダージ・エンカンターダは、直訳すると「魅惑（みわく）の都市」という意味である。そこは、金銀財宝の溢（あふ）れる豊かな都市で、そこへ行くには秘密の洞窟（どうくつ）を通らなければならないという。

　その洞窟（どうくつ）は、セアラ (Ceará) 州のジェリコアコアラ (Jericoacoara) にあるといわれているが、洞窟（どうくつ）の入り口は隠されていて、容易に見つけることができない。一説によると、それは海の中にあり、潮（しお）が引いたときにだけ現われるともいわれている。また、洞窟（どうくつ）の奥には、侵入者を妨げる鉄でできた大きな門があるという。開門するためには自らを傷つけ、その血を一滴（いってき）ばかり門に捧（ささ）げなくてはならない。そうすれば、隠された黄金都市と蛇の王女が姿を現すのだという。

　蛇の王女というのは、もともと人間だったが、魔法によって頭と足以外を金色の大蛇にさせられたのである。この都市の財宝を手にするには、彼女と結婚しなければならないとされている。いくら財産のある王女とはいえ、蛇の姿の女性と結婚することに抵抗があるかもしれない。そんなあなたのために、王女にかけられた魔法を解く方法が用意されている。王女の背中に、あなたの血で十字架を描けば、彼女の魔法は解け、もとの美しい人間の姫に戻るということだ。