第8話 S級冒険者
キンキン。
ガキンガキン。
「今日も励まれておりますな、殿下。」
「クマゴロウか、この1週間で騎士団の訓練にも慣れた。騎士団の若手連中はぼくを倒そうと全力で剣を振るってくる。おかげで身体能力も向上した。」
「騎士団の連中にもよい刺激になっています。本来は護衛対象である殿下に負けては面目が立たないと目の色が違いますぞ。」
違うのよね~、目的が。
騎士団って女に飢えてるのかしら、私に勝つと筋肉アホみたいに娼館に連れて行ってくれると本気で思ってるの。筋肉アホがあの日から生き生きしてるからよ。
なんでも獣人女性の素晴らしさを恍惚とした顔で話したみたいよ。
ランニングはもう私の圧勝よ、誰にも負けないわ。
なんせ身体強化がレベルアップしたし、風魔法を使ってスピードの変化も上達したわ。今や私は騎士団最速の剣士よ。
【名前】フューネル王太子(元レイアーズ公爵令嬢)
【レベル】18→27
【体力】38→108
【魔力】126→130
【スキル】剣技2→3
【魔法】風属性1→2 身体強化2→3
【加護】精霊王の加護
【称号】逃げ足の速い剣姫 エロ坊主頭
ステータスもちょっとあがったわ。【称号】は気に食わないけど、これからの努力次第ね。まだまだ筋肉が足らないわ。
「全員集合、今日は最近鍛錬に熱心な諸君の為、スペシャルゲストをお迎えした。王都でも有名な方達だ。それでは一言挨拶をどうぞ。」
「王都の冒険者ギルドを中心に活動しているS級冒険者パーティーリーダーで魔法剣士のシンです。今日は一日皆さんのお相手をします。よろしくお願いします。」
「同じパティーメンバーのバルンララ、見ての通りエルフで精霊魔法使い。」
「同じく神官のキュボンです。よろしお願いしましゅ。」
「最後はうちだね、狼獣人でシーフのグラマールで~す。」
「黒龍だ。」
「バルンバルンのエルフさん。」
「ボンキュッボンの神官様。」
「グラマラスな狼ちゃん。」
「ハーレム野郎、許すまじ。」
ほ~、あれが黒龍か。黒龍を討伐したS級冒険者パーティーだな。
黒龍を討伐した功績が陛下に認められて、1代限りの名誉子爵に任命されたらしいわね、初めて見たわ。しかし、本当にハーレムパーティーだな、元の私には劣るけど女性全員が顔よし・体よしだな。
「謁見の時以来、ごぶさたしています、殿下。」
「あ・・ああ、久しぶりだな、黒髪キザハーレム野郎。」
危っぶね~、この体では初対面だから気をつけないと。
「この前みたいに自分のパーティーメンバーを側室にするなんて言わないで下さいよ。自分は彼女ら3人全員を心から愛していますから。」
「婚約破棄で懲りたよ、結婚はしばらくいい。」
♦
「今日こそ殿下に勝って、ダンデライオンに俺は行くんだ。」
「タマちゃん、ハアハア。」
「お前ら、邪念が多すぎだぞ。おかげで剣筋が読みやすい。ぼくのスピードにはついて来れまい、ハハハ、そんな腕では遊びには連れていけんな。」
グアッ。
ベシャッ。
ドゴーン。
フフフ、このスピードスターには勝てまい。ただし、まともに打ち合うと筋力ではまだ負けるわね。剣の受け流しや、風魔法の精度も上げないと。隊長クラスにも負けないけど、決め手に欠けるわね。
「殿下、自分と一勝負どうですか?」
「黒キザか、いいだろう。」
「だいぶ強くなられたようですが、手加減はしますよ。」
このキザ野郎、でも勝てるとは思えないから避けまくろう。【称号】逃げ足の速い剣姫はダテではない所を見せてやる。
「勝負、始め。」
「行きますよ、殿下。」
身体強化最大、風魔法で脚力をブースト。
「へ~、意外にやりますね~。」
「うるさい、無駄口をたたくな。」
シュッシュツ。
パシュン。
「さっきから逃げてばっかりじゃないですか。攻撃しないと勝てませんよ。」
「これは戦略だ。お前のスキを見て攻撃する。」
正面からはダメだ。スピードに強弱をつけて背後か側面に回り込む。身体強化はそのままで、レベルの上がった風魔法を操作すれば、できる。
今だ!
シュッ、シュ~ン、シュ。
背後を取った、もらった。
ガキッ、ギギギ。
くそっ、受けられた、押し負ける。
「今のは良かったですよ。腕力があれば自分から1本取れたかもしれませんよ。」
「おのれ~黒髪キザハーレム野郎。」
ギギギ。
「殿下、自分からの提案です。自分が勝ったら今日、騎士団で噂の夜の遊びに自分も参加させてください。」
「は?お前にはハーレムメンバーが3人もいるだろうが。」
「それはその~、愛してると夜の相手をさせるのは別で~。」
「童貞か、童貞なのか?」
「どどどっ、童貞ちゃうわー。ちゃうわー。」
キ~ン、ドサッ。
「うぐ~、バカ力出しやがって。」
「すみません殿下、気が動転して力を入れすぎました。」
「手加減されるよりよい。」
黒髪キザハーレム野郎は童貞ね。しかし、いいことを聞いたわ。腐ってもS級冒険者、こいつも遊び仲間に加えて利用しよう。
「殿下、提案の件、どうですか?」
「いいだろう。今日の16時に王城門の前に集合だ。ただし、ハーレムメンバーは連れて来るなよ。」
「はい、喜んで。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます