第9話 ローズ

「侍女筆頭ネール、今日もに行ってくる。6時間ほど散歩して来るからネールと3人のメイドは、その間特別休暇だ。金貨3枚ずつは日頃の苦労への感謝の気持ちだ。王都で遊んで来い。」


「「「殿下、ありがとうございます。」」」


これは決して、口封じのためじゃないわよ。


   ♦


パッカパッカ。


「筋肉アホと影に紹介しておこう。こいつは今日から遊び仲間になる、S級冒険者で黒髪キザハーレム野郎のシンだ。ハーレムなのに童貞のヘタレでもある。」

「童貞ちゃうわー。」


前回は筋肉アホが料金を支払ったから、今回はわたしが全部出すわ。


「いらっしゃませ。ご予約のお名前を聞かせてくださいませ。」

「騎士団のフューだ、本日は4名で予約してあるはずだ。」

「お名前確認しました、控室へどうぞ。」


「失礼します。こちらが本日出勤の者の概要と時間ごとの料金となります。他にも何かお好み等がございましたらお聞きしますが?」


「オレは今日も獣人で頼む、できれば狐獣人がいいな。料金は度外視で4時間だ。」

「ではこちらのキュウビはどうでしょうか?めったに店には出勤しない子です。」

「フム、ではそれで。」

また獣人かよ、今回は狐、獣人コンプリートする気なのかしら。


「影、お前が気に入ったという子は誰だ、指名してよいぞ。」

それがしは、エリザベス様でお願いします。同じく4時間で。」


「エリザベスです、さあ来なさい。この豚野郎が。」

「はい、エリザベス様。」

「誰が名前を呼んでいいと言ったの、お嬢様と呼びなさい。」


なるほど、影は特殊性癖ね。女の子に踏まれたり、罵倒されたりするのが好きなようね。これからは影ではなく、M男と呼ぶことにするわ。影は暗部で性的な訓練や拷問に耐える訓練を受けているはず。そこで目覚めたのよ、きっと。

しかし、さすが高級娼館。女王様呼びは不敬になるからお嬢様ね。


「黒キザは?」

「自分は、貧乳のサキュバスが好みです。」


ギャハハハ、どんだけ溜まってんのよ。巨乳の美女3人に毎日囲まれて、自分がヘタレのせいでお預けくらってるから、反動で貧乳がいいのね。

まあ、ヘタレの童貞にはサキュバスは正解ね。搾り取ってもらいなさい。


「ぼくは、今回もローズで頼む。」

「はい、ローズもフュー様の来店を心待ちにしておりました。」

ふう、断られたらどうしようと思ったわ。今回は目的が違うけどね。


「1週間ぶりフューちゃん、また来ると思ってたわよ。始めましょうか?」

さすがローズは賢いわね。私の雰囲気で察したわね。


「まあ、あせる必要もない。今回はダンデライオンの店主ローズに話がある。」

「何でしょうか、王太子殿下。」

「ハハハハ。」

「ウフフフ。」

高級娼館の情報網もハンパないわ~、情報収集能力は影とどっちが上かしら。


「気に入った。単刀直入に言う、ローズ、ぼくのものになれ!」

「心と体どっち?」

「心と体、それに店もだ。」

「強欲ねえ、私のメリットは?」

「ぼくの心と体、それに娼館ギルドのキルド長の座だ。」


王太子として今私が差し出せる全部よ。これでダメなら諦めるしかないわ。だって頭のよさと体に惚れたんだもの。


「いいわ、でも最終テストよ。今日これからたくさん愛して。」

「任せろ、今回はローズは何もしなくていい。」


さあ、やるわよ。

まずは、私の魂の女の部分を使うわよ、女の弱点は女しか分からないのよ。

ブチュ、レロレロ。

「あ~ん。」

チュパ、チュ~。

「あっ。」

ローズの性感帯は、背中と足の指とお尻ね、集中攻撃してあげるわ。

「~っ。」

「~っ。」


次は、私の体の男の部分を使うわよ、愛してるわローズ。

ズチャッ、ズチャッ。

「あ~っ。」

パンパンパン。

「いぃぃぃ~。」

ズンズンズン。

「らめぇ~~~。」


この表情は合格だわ。

おやすみ、ローズ。


   ♥


今回も前回と同じ酒場の個室で感想交流会をするわよ。こうした場が男同士の結束を深めるって、誰かに聞いた気がするわ。


「乾杯。」


ゴクゴク。

ゴクゴク。

ゴクゴク。


「手短に感想を述べよ。まずは筋肉アホ。」

「やっぱり獣人っス。狐獣人はレアっス。コンコン言わせたっス。」


「次に、M男。お前は服を脱げ。」

お~、激しくヤラれたね~。ロウソクの火傷と、ムチかな。ロープで縛られた跡もくっきり残ってるね~。ボールタイプの口枷もか、でも血は出てないな。プロだわ。

「よかったな。」

「・・・・。」


「黒キザは?」

「うれしいです。殿下、ありがとうございました。」

「泣くな!」

ずっと犬が餌を目の前にしてからの『待て』状態だったからね。これからパーティーメンバーに手を出すのかしら。

「パーティーメンバーはどうするんだ?」

「あの3人はハーレムでもいいけど、結婚するまでダメって言うんです。」


か~、こいつバカだねぇ~。女はそう言うに決まってるわよ。無理矢理にでも押し倒してヤルのよ。貴族令嬢じゃあるまいし。でも面白いから教えてあげない。


「諸君、ローズはぼくの女だ、もう誰にも抱かせん。あの店もぼくのものだ。これから4人で手始めに王都の東地区を開発し、最終的には王都を改革するのだ。」


「さすが殿下。」

「我が主に従います。」

「兄貴と呼ばせてください。」

「この会の名称は、つるぎの会とする。」


まだよ、私はスタート地点に立っただけよ。

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