第11話

 俺はいつものようにボロボロの机に向かい教室を眺めていた。

 しかし、今日はいつもより早く来た。

 それは皆川の態度の変化に対して、他の連中がどう反応するかを知りたいからだ。

 ちなみに皆川は洗脳済み。

 洗脳内容は、皆川は俺のことを愛している。俺のことなら何でも聞く。川内をに対しては何の感情もない(これはもともと)。

 ごく普通の洗脳だ。

 ここまで早く来たのは明菜の対応がめんどくさかったのもある。

 数分待っていると最初の1人がやってきた。

 俺に目を向けると少し驚いたような反応を見せるがそのまま自分の席に向かい文庫本を取り出した。

 一人で俺をいじめる奴なんて川内グループの連中だけだ。

 で、その空気に乗って俺をいじめるのが大多数。

 しょうがないとも思うが、そいつらも全員復讐対象。

 人生終わらせるくらいしないと気が済まない。

 また一人、また一人、と教室に入ってくるが、俺をいじめる気配はない。

 会話が始まりだんだんとうるさくなる。

 それでもまだ俺へのいじめは始まらない。

 また数分待つと、川内が教室にやってきた。


「なぁ、なんで今日真里菜いなかったんだろうな。ついでに正輝も」

「おいおいなんだ。振られちゃった?」


 後ろを向いて、2人の女子と話しながら入ってくる川内に聞こえるように声を出した。


「あ?」


 俺の方に顔を向ける。


「よう。今日は俺が見つけられなくて寂しかったか?」

「ちっ」


川内が2人を連れて俺の方へやってくる。


「やっぱり寂しかったのかぁ。この甘えん坊め」

「………」

「ほーらポチ。こっちだよ」

「うらぁ!」

「なんだなんだ、ポチ。急に殴りかかってきて」

「なに避けてんだよっ!」


 川内が何度も何度も俺に殴りかかってくるがすべてよける。


「ごちゃごちゃと」

「何なのあんた。こんなことしていいと思ってるわけ?」


 後ろのやつらも突っかかってきた。

 俺はそいつらを無視して、


「おはよう、皆川」

「おはよう、正輝君」


 今登校してきた皆川真里菜に俺が出せる一番嫌味ったらしい声であいさつをした。

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