敵役

●〈巨大な悪心〉の手先

 敵役は〈巨大な悪心〉の干渉を受けた者が変身する。その条件は悪心が良心を上回っていることである。この条件は悪心が1%でも上回っていれば成立するため、そのため、周囲かららは普通の人と思われる人物でも、敵役に変身してしまう可能性を持っている。

 敵役は悪事は窃盗から国家転覆まで、およそ悪事といえる行いは何でもするが、この怪人の恐ろしさは悪事の内容自体ではなく、その精神性である。


 敵役が悪事を行う動機は欲望ではなく義務感である。悪事を行うこと自体が自らの使命であり、強烈な情熱を持って行動する。

 世の聖人が、それが正しいという理由のみで見返りを求めずに善行を行うのなら、敵役はその完全な真逆であり、一切の利益や快楽を求めずに悪事を行うのだ。

 このような価値観を持つため、敵役は時に「人が永遠に悪事を行えるため」に、「世界の滅亡から人を救う」ことすらやってのける。


●敵役の能力

〈巨大な悪心〉によって敵役に変身した者は、内包するフォースエナジーがブラックフォースへと変質する。

 ブラックフォースは悪事に関わる事象を発生するのに極めて高い効果を発揮するため、多くの敵役は暴力を振るうのに優れている。

 これによって敵役は、たとえば魔法が使われていない並行世界であっても魔法で悪事を行える。


 また敵役は同時に複数存在しない。敵役は並行世界一つにつき一人のみ存在する。その並行世界で敵役が倒された場合、次の代の敵役が現れる。新しい敵役が現れるまでの時間は、最短で3時間、最長で約1000年となっている。


●敵役の対処法

 敵役はその並行世界に人(ここで人とは知性存在全てを指す)がいる限り、何度でも発生する。根本的な対処法は存在せず、発生した敵役をその都度倒すほかない。

 直接的な発生原因である〈巨大な悪心〉を消滅させれば、敵役の発生を防げる。

 ただし、〈巨大な悪心〉は人の悪心の集合無意識であるため、消滅させるには樹上多次元世界全体から、全ての知性ある存在を抹殺しなければならない。

 

 それを実現するには、まず第1並行世界へ到達し、そこの人を全て抹殺する必要がある。樹上多次元世界の根源である第1並行世界から人が消滅すれば、彼らの想像力から発生した後続の並行世界は全て消滅し、悪心の集合無意識たる〈巨大な悪心〉も消滅する。 

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