第7話

「なぁ、また母さんから謝りたいって連絡が・・・」


「そう」


 私はその件に関しては一切無視すると決めていた。

 新の話では、養母さんは同じババ友に私の文句を言ったらしいのだけれど、同じように孫を持った人たちからそれは養母が悪いと言われて批判されたそうだ。だけど、昔ながらの養母は今どきの若者が軟弱だから、孫も軟弱なのだと反論して意見が対立して、友達が減って孤独になっているらしい。


 わずかに残ったババ友との会話でもほとんどが孫の話になり、一切孫に会えない養母さんは話についていけないらしく、「隣町に住んでいるのに会えないなんて可哀想」と同情されて、ようやく私の気持ちがわかったと言ってるらしい。でも・・・・・・


「ねぇ、湊、明日香、凛。新のおばあちゃんに会いたい?」


「嫌だ」


「嫌」


「ウェーーーーン」


 高齢出産だったけれど、その後も二人の子どもを授かった私と新。三人の可愛い息子と娘がいる。新が時々テレビ電話で養母さんと私の子どもたちを会話させようとするのだけれど、養母さんは反省していると言いながらも、孫に対して口うるさいことを無意識に言ってしまい、またその言い方がネチネチしていて三人とも養母さんに会いたくないし、電話もしたくないと言っている次第だ。私はそのテレビ電話には一切出ないが、そんな様子を見ていれば、絶対に会いたくないし、会わせる気もなくなる。


「「「ママー」」」


「はいはいっ」


 三人が私のところに駆け寄って来て抱き着いてくる。


「ほんとうにあなた達は可愛いわね」


「ママ、僕はそろそろカッコイイって言われたい」


「ふふふっ、湊。湊はカッコイイわよ、でも、可愛いの」


 小さかった湊はすくすくと育ち、高学年で身長はクラスでも真ん中より少し高くなった。早生まれと言うことで低学年までは少し勉強や運動も苦労した部分はあったけれど、努力する癖がついたので、今では勉強も満点ばかりだし、運動もスポーツ少年クラブでサッカーを選び、エースストライカー。その上、とても可愛らしい彼女もいる。


 だから、私は湊のテストを見るのも、授業参観も楽しいし、サッカーの試合観戦も楽しませてもらっている。彼女については少し寂しい気もするけど、ちゃんと私のことも大事にしてくれる。ただ、今はママなんて呼んでいるけれど、マザコンにならないように教育をしないと思っている。


「ママー、私は可愛い?」


「わたし、も」


「ええ、二人とも可愛いに決まってるじゃない」


 明日香と凛も可愛い。私の幼い頃よりもっと可愛い。


「じゃあ、俺は?」


「カッコイイわよ」


 私がそう言うと新が嬉しそうに笑う。

 新は優しくて、カッコイイ。養母さんの前で以外は。


 私は新を不孝にしてしまったかもしれない。

 でも、私は新も子どもたちも不幸にはしない。


 私と新は今日も子どもの成長を感じ、子どもたちは私たちの愛を感じる。

 だから、養母さん。私たち家族は幸せです。これを見たら養母さんは嫉妬して、私たちが帰って独りになった時、不幸に感じると思います。そんな養母さんかわい・・・・・・過ぎ・・・・・・おっと、口は禍の元でしたね。

 だから、私は電話が来ても何もいいません。お互いの幸せのためにこのままでいましょう。


 お終い


 

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『未熟児』と呼ぶ養母。あなたに会わせると可哀想だから孫を会わせません。 西東友一 @sanadayoshitune

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