After 10 years~Spring

ここは4つの国で一番の都会シダレカ。春が近づいて今日は虫が出てきそうなポカポカ陽気だった

都会から離れた町中。そこの一軒家に女性としてはあまりにもでかすぎる種族、エイリアンがいた

…リリ・ポテプ。彼女は家の大きい窓際に外を眺めるように立って見ていた。192センチなので本当にでかい女性だ

旦那のエイリアンも2メートルあるので一家揃ってでかい家族だった。それゆえ身長に合わせて家だって大きい

春の陽気を見てリリは思っていた。まずはネネのこと。ネネはクリスタルウィンター大学を卒業後、国際宇宙ステーションへ行った

本当ならこの国で働こうとは思ってたらしいが宇宙が好きなネネ。だから更に離れてサフィーラへと向かっていった

ネネは別に家族が嫌になったわけではない。あくまでももっと自分自身を成長したいがために別の国へと行ったのだ

自分自身に厳しいネネ。だからクリスタルウィンター大学で飛び級をして卒業をして違う場所へと…

リリは目をつぶり、ネネのことを考えていた。私より、とても頭が良くて、そして巣離れした、そんなネネ…

しかしネネの考えていたら玄関のドアが開いた。リリは玄関へ行く

リリ「ララ!おかえり」

ララ「ただいまお母さん!」

リリは元気そうに学校へ行ってたララを迎えていた

ララ…彼女はリリの娘である。ネネの妹でもある。まだ9歳だ。実は轢沙子が天に行ったとき、リリはお腹に命を宿していた

そのことを言おうとしたら轢沙子は天に行ってしまった。悲痛な思いの中、リリは命を守り…そしてララが生まれた

そんなララだった。まだ9歳なのでお母さんに甘えたい時期でもある

ララ「今日ね。友達のエイリアンがいて!その子とたくさん遊んだんだよ!」

ララは笑顔で今日の事を言う

リリ「良かったわね。きっとお姉ちゃんもララのことを思って仕事してるわよ」

ララ「うん!またネネお姉ちゃんと遊びたい!」

そう言うとララは自室へと向かう

リリ「…ネネ」

ネネは果たして今の段階で戻ってくるだろうか?サフィーラに行くときに一旦家に戻ってきて別れの挨拶をしてた

別にリリと旦那はネネがサフィーラに行くことに反対は全く無かった。だが、そのかわり必ず戻ってほしいという約束はした

…という約束はしたものの、現在は国際宇宙ステーションにいてしばらくは戻ることは無さそうだ

国際宇宙ステーションからネネの様子を見ることができたが、艦長と艦長補佐が良い人でしばらくは心配はいらないとは言われた

だが、リリの感だがあの艦長あたりはどうも怪しい。ネネに何かしでかしてないか、心配はいらないというか心配だ

おまえにネネはリリの身長を超えている子供。こき使われてないかそれも心配の種でもあった

健康的な子供、ネネ。貴女はいつ、戻ってくるのぉ…?少しながら重い気持ちになってたリリだった

玄関で考え事してたらドアのインターホンが鳴る。おや、誰だろう。リリはすぐにドアを開けた

リリ「まぁ…由美子、カイ!」

そこにいたのはリリの友人の2人、由美子とカイだった

由美子「よぉ、リリ!」

カイ「やっほーリリ!」

由美子もカイも彼女にとっては親友であった。リリは嬉しそうにした

リリ「貴女達ぃ!何か用があるのぉ?あがってほしいわぁ!」

リリはいつも使う口調で2人をリビングへと移動させた

由美子、カイはリビングのテーブルの椅子に座ると対面でリリが座った。ララは宿題があるらしくそれをしていた

カイ「ララちゃん元気そうだね?」

リリ「ええ!とっても元気よぉ!あまり風邪もひかないしぃ!」

由美子「良かった。ネネがいないから現段階で大切な子供だしな」

ネネ…暗くなりそうな名前だが、今は明るくしないと。とは心で思ったリリ

リリ「貴女達ぃ、何か用事あるのぉ?」

そう言うと由美子とカイはちょっとだけ顔を見合わせてリリのほうに顔を向ける

由美子「実はアタシ達、ここから離れて都会のほうへ引っ越すことになったんだ」

引っ越し?リリは真顔になる

リリ「国をぉ…離れるのぉ…?」

おっとリリが悲しい言葉を言ってしまった。修正しようとカイが説明する

カイ「違うわ!カイ達ね、都会にある駄菓子屋さんの近くに引っ越しするのよ」

駄菓子屋…そう言えば由美子は駄菓子屋の店員だった。由美子が説明する

由美子「そこにある駄菓子屋がね、後継者不足で店じまいしようとしてたんだ。だがアタシが行くから店じまいは止めてくれ!って、

そう言って話し合いした結果そこに勤めることに決定したんだ。国を離れるわけじゃないから安心しな」

ほっ…リリは少し安心した。ネネの件もあってか引っ越しが若干ながら心配するような思考になってしまっている

リリ「そうだったのぉ…けど、ここから都会はあまり距離はないわねぇ?」

カイ「そうよ。だから心配しなくていいわ。カイ達、落ち着いたらまたリリの家に来るから!」

そう言うとカイは笑顔の表情を作った

リリ「嬉しいわぁ!由美子とカイ、変に喧嘩せずに幸せにねぇ!」

由美子とカイ。9年前に結婚をした2人であった。結婚式にはめんどくさいヌクギも来たらしくめんどくさかったらしい…

しかし幸せそうにいる2人。都会に引っ越しても大丈夫だろう。リリは安心の表情を見せる

由美子「ありがとうリリ。やっぱり持つべきものは友だな!」

カイ「ええ!だから…心配しないでね」

リリ「うん!」

3人は笑顔で話していた


由美子とカイが出ていった後、リリはそろそろ夕飯だと思って食事の支度をする。旦那も帰ってくるだろう

エプロンを付けて準備をする。しかし、ふと思い出したことがありリリの手が止まった

リリ「…轢沙子…」

…人見轢沙子。彼女は10年前に天界へ行ってしまった。そのことがいつまでもリリの脳内に離れず、思い出す

今でもあの悲痛な思いを叫んだことが忘れられない。そして、ありがとうと言うかすかな言葉も忘れてなかった

リリ「轢沙子…轢沙子…」

何度も、何度も彼女の名前を言う。親友であった轢沙子。忘れるわけが無い。共にすごした期間もあった

あの時轢沙子がうずくまってるところをリリは話しかけ一緒に生活していた。すぐに親友同士になった

そして彼女は仕事をして、安心して今の旦那と結婚できるようになった。そんな轢沙子だ。一生忘れないだろう

リリ「…ううん…もう轢沙子はいないわぁ…だって…天界へ行ったものぉ…」

半分諦めて、半分はもう一度出会うことができたら…10年間も顔を見ていない。そして今でも思い出す、轢沙子の顔を

リリ「でも…轢沙子はまた来てくれるからぁ…」

旦那「ただいまリリ」

その言葉ではっとする。旦那が帰ってきた。相変わらずでかい姿でリビングに来た

リリ「あっ!おかえりぃあなた!」

旦那「ああただいま。…何か考え事でもしてたか?」

そう言われるとリリは慌てて違うことを言う

リリ「いや!ネネは安心してるかなぁって思っただけ!」

旦那「なんだネネのこと心配してたのか。安心していいと思うぞ。ネネは真面目だから、仕事もしっかりしてるぞ」

リリ「そうよねぇ!あはは!」

轢沙子のことを思ったがいつもどおりのリリを演じていた

旦那「俺、もう風呂に入るからな」

リリ「ええ!」


一家団欒のとき。リリ、旦那、ララは食事をしていた。ララはいつもリリの食事を美味しそうに食べていた

旦那「ママが作った料理、美味しいよな」

ララ「うん!お母さん料理とってもうまいよ!」

そう言われるとリリは笑顔になるしかなかった

リリ「あらぁ!元々うまいのよ私ぃ!」

旦那「そうだよな。パパもこんな料理のうまいママをめとってよかったよ」

リリ「んもぉあなたったらぁ!」

プルルル…

リリのスマホから着信音が鳴る。誰だろう?リリは見ると悪魔協会のバフォメットからの連絡だった。リリは着信ボタンを押す

リリ「バフォメット!」

そう言うとバフォメットはいつもの明るい声で言う

バフォメット「こんばんは~☆アタイだよ~。元気にしてたかしら~?」

リリ「ええ!とっても元気よぉ!デュラハンはいるのぉ?」

リリとバフォメット。10年前から仲良しの2人である。仲良しの理由はある程度性格が合っているからである

バフォメット「デュラハン君ね、今となりにいるのよ~☆」

リリ「…ってことはまだ悪魔協会にいるのねぇ?」

バフォメット「そうだよ~☆そういえばリリちゃん、ネネちゃん居なくなって寂しい思いしてないかしら?」

リリ「大丈夫よぉ!ネネ、とても仕事熱心だしたまに連絡してくれるからちっとも寂しくないわぁ!」

バフォメット「そうなんだ~!よかった!ならリリちゃん平気だね!」

リリ「私はいつでも平気な人生送っているわぁ!バフォメットも元気そうで嬉しいわぁ!」

バフォメット「うふふ~☆最近デュラハン君がなんだかアタイに近寄ってねえ~」

リリ「まあ、そうなのぉ?」

リリが言うと電話越しから何かを取る音が聞こえて違う人が出てきた。デュラハンである

デュラハン「もしもしリリ!?僕だよ!さっき言ったバフォメットの発言は違うからね!?」

リリ「あはは!そんな慌ててどうしたのぉ?図星ってやつかしらぁ?」

デュラハン「ちがーう!修正しようと僕が出たんだよ!」

そう言うと再びバフォメットにチェンジになった

バフォメット「…ということでアタイ達元気だからリリちゃんも元気でね~☆」

リリ「ええ!当然よぉ!」

バフォメット「じゃあね~」

プツン…

通話終了。相変わらずデュラハンとバフォメットがコントのように元気にしてるのは何よりも嬉しい

旦那「声でわかったが、デュラハンとバフォメットか?」

リリ「ええ。あの2人元気にしててよかったわぁ」

ララ「デュラハンさんとバフォメットさん良い人だしね!」

リリ「そうよぉ!」

そう言いながら3人は再び食事をしていた


食事を終えて皿を片付け、そろそろ就寝時間。リリは家事を終えて旦那がいる寝室へ

旦那はまた明日も仕事があるためすぐに休んだ。その隣のベッドでリリは横になる

リリは思ったが今日はなんだか色々な人に会ったり電話をした。たくさんの人と会話するのはなんだか久しぶりだ

仰向けになり、リリはゆっくりと目をつぶる。そしてふと、親友の名前を言った

リリ「轢沙子…」

そう言うと静かに眠った

…ここはどこだろう?リリは不思議な空間にいた。着てる服はパジャマで、地面はふわふわな雲。空はキレイな夜空

これは夢?にしてははっきりしている。悪夢でも無さそうだ。そんなことを考えていた

リリ「ここはいったい…?」

?「リリ。私よ」

そう言われるとリリは後ろを振り向いた。リリは驚愕した。そこにいたのは親友、轢沙子であった

リリより身長が低いがそれでも女性としては大きく、褐色で、ショートヘアの暗い緑色。着てる服はローブ姿だった

リリはわかると一気に目が潤んだ。本当に会いたかった、親友がそこにいた。リリは全速力で轢沙子に駆け寄った

リリ「轢沙子ぉぉぉぉーーーー!!」

大声を出し轢沙子に抱きつく。轢沙子は嬉しそうな表情をしていた

リリ「戻ってきてよ…轢沙子…!」

リリが抱きつきながら思いを伝えた。しかし、轢沙子は首を横に振った

轢沙子「ううん。私はもう天界の人だから。もう戻ることはできないわ」

リリ「なんでぇ!?」

リリは10年前のように悲痛な叫びに近い言葉を言った。轢沙子は決して何も感じない顔をしていた

轢沙子「リリの夢に介入したのは、私が天に行って10年経ったからよ」

…。リリは轢沙子の言葉を抱きつきながら黙って聞いていた

轢沙子「だからね。10年の節目に、貴女に会いたかったの。親友の、貴女を」

そう言われるとリリから涙が流れた。こんな素敵な女性が天に行くなんて…

リリ「ぐすっ…轢沙子ぉ…私、子供産まれて…立派に成長して…ネネだって…今すごい活躍してるのよぉ…貴女に会わせてほしいほどよぉ…」

リリの目には涙が止まらない。轢沙子は笑顔でリリの側にいた

轢沙子「そうなの。でもネネなら大丈夫。あの子はたくましい子よ。そして新しい子供も…きっとたくましい子になるわ」

轢沙子が言うとリリは抱きつくを止めて真正面に向き、更に悲痛な思いで言う

リリ「でもぉ!貴女がいないのは!!私悲しいのよぉ!!親友の貴女をぉ!!失って!!だから…だからぁ…!!ううう…うわああん!!」

リリは大声で泣いた。涙が止まらない。轢沙子はそんなリリを見ていた

リリ「わああああん!!轢沙子ぉ!!」

轢沙子は黙ってリリを泣いている姿を見ていた。そして、轢沙子の赤い瞳からつーっと涙が流れた

轢沙子「…リリ。貴女に会えて、そして一緒に語り合って、仲良くしてくれたこと。本当にありがとう。私は天界にいても貴女をずっと忘れない」

泣いているリリを横目に暗い場所が明るくなった。もうそろそろ時間だ

轢沙子「リリ…」

リリは言われて轢沙子の目を見る。そして轢沙子は言う

轢沙子「私のいない道の上にいても…決して悲しまないでね…」

轢沙子も涙が止まらない。親友との再びの別れ。轢沙子はすーっと姿が消えていった

リリ「轢沙子ぉ!!行かないでよぉ!!」

最後に轢沙子は満開の笑顔で言う

轢沙子「大好きよ。リリ」

轢沙子の姿が消えた。リリはまた絶望した。親友が、大好きと言い消えたことを

リリ「轢沙子おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!」


リリ「轢沙子…うっうっ…轢沙子ぉ…」

明け方、リリが泣きながらベッドにいたことを旦那は気づく。慌てて旦那は言う

旦那「どうしたリリ!?なぜ泣いてるんだ!?」

リリ「轢沙子がぁ…轢沙子ぉ…!!」

旦那はリリを抱きつきながら泣くのが終わるまで黙っていた

旦那「轢沙子…」


天界…そこに巫女と轢沙子がいた。轢沙子はリリの夢に巫女の力で介入して現世にちょっとだけいた。轢沙子が夢を終えていた

轢沙子「うっ…ぐすっ…リリ…ごめんね…」

轢沙子が泣いている。その姿を見ていた天界にいる人が言う

トウコ「轢沙子…悲しむな…挨拶できたんだから…泣くなよ…」

アユ「…轢沙子…貴女…リリのこと、とても好きだったのね…」

デス「轢沙子さんのその思い、私にも伝わります…」

夢を介入した巫女達は悲しむかのように。その横にいたデスはつらそうに轢沙子を見ていた



10年後の未来の国の話

シダレカ、アマリリス、ユキノウエ、ヒダンゲはまた終わりを迎える




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4Season4Legacy 読み切り 緑樹ユグ @yugu1120

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