第24話 先輩、近達と駆け付けるも、羽村の悪あがき






【このお話を読むにあたってのご注意】


後半の★以降、羽村が蘭の弱みを握る為に、蘭に『とある要求』をします。


行為自体ではないのですが、読まれる方が気分を害されないように、ここに前置きさせていただきました。


・ラノベ的展開が苦手な方

・性的な表現が苦手な方

・キャラクターが弱みを握られて、不利になる展開がお好きでない方

・暴力表現が苦手な方


は★以降もしくは飛ばしていただけましたら。


マ猫の作品にお立ち寄りくださり、ありがとうございます( *´艸`)

いろんなジャンルのチャレンジ中でごめんなさい(ノД`)・゜・。










 弓道場から逃げようとして出口に殺到する羽村側の生徒達と、羽村を逃がす為に雪崩れ込んできた


 弓道場は大混乱の様相を呈していた。



くーずっくずー、くっずやっろうー♪」


 ばきぃ!


!真面目にやりなさいっ!」


 どん!


なっか那佳なかー、まっめむっいたー♪」

「また訳のわからない事を!」


 妙な節回しで唄いながら、殴りかかってきた男をナックルでぶっ叩く笹の葉。

 木刀を振る女生徒を容赦なく床にたたきつける那佳。


 那佳はまたもや夜の運動会お豆いじりが暴露されている事に気付いていない。


「私、お手柄。感謝のハグからの、ぐっちゅぐっちゅ!も見込める」

「……!!ず、ずるい……はっ?!貴方達、全員逃がしません!」


 敵をあしらいつつ、颯太を探す二人。


 颯太との楽しい話題作りの為、颯太が今ハマっているものや興味を持つものを知るべく、ちかの命で時折そっと颯太について行っていた那佳と笹の葉。


 そして、笹の葉の番の今日。


 颯太が弓道場に連れ込まれたのを見た笹の葉が、急ぎ皆に連絡を取った結果、皆が弓道場に駆け付けたのだ。



「羽村、どこだ!……おい!羽村を探して連れ出せ!まだ半金しか貰ってねえんだぞ?!それに大事な金蔓かねづる……何だテメエは!ぶっ殺すぞ、どけ!」

「どけ、と言われても無理」

「この野郎!吠えづらかくんじゃねえぞ!」


 制服を着たに呆れ顔で相対する和樹。

 勢いをつけようと腕を後方に振りかぶった男の顔が、二度揺れた。

 和樹のワン・ツーによって意識を刈り取られた男が崩れ落ちる。


(生徒が結構絡んでるのかな。敷地内でこんなに行動できるのもおかしい。……そもそも、この人達珍妙なコスプレにしか見えないし気持ち悪い)


 横たわる男をジト目で見つめる和樹。

 そこに、別の男が襲い掛かった。


「てめえ、何かやってやがんな?!俺に勝てると思うなよ!うらぁ!」


 男が突き出した腕にフックを被せてカウンターを入れた和樹。

 白目を向いてしゃがみ込んだ男を見て、溜め息をついた。


「ふう。颯太はどこに?」

「死ねや!」


 またもや襲い掛かってきた別の生徒を殴り倒し、和樹は颯太を探す。



 裏口の傍まで到達した生徒達が、近に向かって懇願する。


「た、頼む!逃がしてくれ!俺た……俺は羽村に脅されて仕方なく!……隙を見て久世院を助けるつもりだったんだ!信じてくれよ!」

「あ、あたしも!仲間につかなきゃひどい目にあわすって!」

「あらら~それは災難だったね♪でもでも、だよ?だったら逃げる必要あるのかな?私達に加勢してもいいんだよ?仲間が増えたら助かっちゃうな~」


 床に落ちていた特殊警棒を拾い、にこにこふわふわと語り掛ける近。

 強そうに見えない近を見た二人が顔を見合わせ。


「おらあ!」

「や!」


 近に向かって殺到した。


「あは♪」


 楽しげに笑う近。


 ガガン!

 ドガガア!


 近が、手首の返しで二人の急所を打ち据える。

 それぞれにヤクザキックのオマケをつけて、転がした。


「馬鹿って馬鹿だよね~♪……お前ら、どうダマくらかすつもりだったんだよ」


 吐き捨てる近がすぐに表情を曇らせながら歩を進める。


「そーた君……どこにいるの?」



 蘭は生徒のコスプレをした女と男子生徒二人に相対していた。

 その御付きの芹は、蘭の後方で敵を捌いている。


「何なの!羽村はどこなのよ!こんなカッコしてきた意味あんの?!ガッコで羽村と『金の生る木』を回収する楽な仕事じゃなかったの?!それにお前、邪魔よ!」

「戯言は止めろ。終わりだ」


 金切り声で叫ぶ年嵩としかさの金髪の女を、竹刀を手に青眼の構えで見据える蘭。


 女と並んだ男子生徒の声が飛んだ。


「アンナさん気をつけてください!コイツ……由布院は剣道の有段者です!」

「馬鹿じゃないの?!そんなの、三人でいけばいいじゃないのよ!!」


 その言葉に顔を見合わせた男子生徒二人がそれぞれに、拳を構え、木刀を振りかぶった。


 が、既に遅く。

 蘭はいち早く、触刃の間合の中に踏み込んでいた。


 一度、二度、三度。


 打ち据える鈍い音と共に、羽村側の三人が物も言わずに崩れ落ちる。


「芹」

「はっ!」


 冷ややかな目をした蘭の一言で、芹が三人を後ろ手で拘束していく。


 そして、蘭が次の敵につかつかと歩み寄っていった瞬間。


「青空君!!」


 加賀獅かがしの悲痛な声が響き渡った。


 そこには。


 ブレザーの右肩を真っ赤に染めて朦朧もうろうとしている颯太の首にナイフを当てて、膝をついた羽村が肩で息をしながら叫び散らしていた。













★(ここから












「動くな……テメエら!俺の計画を滅茶苦茶にしやがって……!だが、これで逆転だあ~。おい、由布院。獲物を捨てろ。由布院の手下ども、お前らもだよ!」

「……皆、こいつの指図に従ってくれ」


 ごとり。


 ごとり、ごとり。


 蘭を手始めに、床に武器が落とされる音が続いた。


 ギリッ。


 歯ぎしりをした蘭が、怒りのままに吐き捨てる。


「貴様、颯太を離せ。何をしても無駄だ、逃げられん。逃がさん。颯太に傷ひとつつけてみろ。絶対に許さん……!!」


 怒りに燃える蘭の言葉を聞いた羽村が目をいて、そして。


「はっは~ん?こりゃあいい!俺はついてる!ついてるぜ!まさかこのガキが、お前の知り合いだったとはなあ、由布院よお!さあ、どうすっかなあ~♪」

「……貴様!!」

「くっそ、時間さえありゃあ……こいつらをぐっちゃんぐっちゃんにして甚振りまくって、荒稼ぎ……そうだ」


 下卑た笑いを浮かべた羽村。


「おい、由布院。脱げ」

「……何だと?」

「早く脱げって言ってんだ!このクソガキがどうなってもいいのかよ!……テメエらの恥ずかしい写真をよ?い~事に使わせてもらうんだからよ。おら!このガキがどうなってもいいのか!」


 血まみれの颯太の肩を掴んだ羽村。

 颯太の顔が苦痛に歪む。


「そーた君を離せ!殺すぞ!由布院様、いけません!」

「羽村……キサマ!」

「お嬢様!」

「蘭姉ぇ!ダメだ!」


 近、加賀獅、芹、和樹が叫ぶ。

 が、それを手で制した蘭が。


 ばさり。


 赤いブレザーを躊躇いもなく脱ぎ捨てた。

 次いで、制服のスカートホックに手をかける。


「由布院様!」


 近の絶叫が響き渡った。


 するり、と落ちたスカート。


 ブラウスの裾からは、艷やかな太腿と白い下着が顔を覗かせている。

 次いで、袖のボタンを外した蘭がブラウスを床に落とした。


 はち切れんばかりに盛り上がるバストと、引き締まった腰のくびれに、思わずゴクリと生唾を飲む羽村。


「おほほー!たまんねえな!……ちっ。惜しいが、今は画像だけでいい。後で何とでもできるしな」


 自分の身体を穴が開くほどに見る羽村に、ここに来て初めて嫌そうに顔をしかめる蘭。


 すると。


「な~にのんびりしてやがんだ由布院!全部脱いで座れ!股を大きく広げてな!」

「何……?」

「由布院家のお嬢様の顔出しパックリ写真、さていくらで売れるかなあ~?」

「この、痴れ者が!お嬢様!お下がりください!手の打ちようはあります!」

「外道が!なますのように切り刻んでやらあ!!」


 激高した芹と近達が詰め寄ろうとする。


 が。


 羽村が颯太の首筋にナイフをつう、と這わせた。

 ぷくり、と浮いた血が零れ落ちる。


「動くんじゃねえ!おい、いつまでヨタついてやがる!由布院の手下、しっかり抑えとけ!……由布院、何してんだ!早く脱げよ!」

「……ああ、わかった。だから、颯太にそれ以上傷をつけるな」

「うっひょー!泣かせるねえ!こいつの事好きなのかよ!俺もそういうの、嫌いじゃないぜ?そんな男と女を踏み散らかすのがよ!おい、もう下だけでいいからとっとと脱げ!股を開いたらパックリ行けよ」


 その言葉に蘭が、腰に手を当てて下着の脇に指を通した。

 羽村はごくり、とまた唾を呑みつつ、ハアハアと蘭を動画で撮影し始める。


 すす、と蘭が下着を下ろし始めた。


 怒号、悲鳴が織りなす空間の中。







 めきり。


 颯太の両腕が、羽村の腕を捉えた。


「いてえ!て、テメエ、離しやがれ!や、やめ、ぎゃああああああ!!」


 ボキッ!

 ボキボキボキ!


 道場に、骨が折れていく音が響き渡る。


 両腕を折られた激痛に、ゴロゴロと転がり身悶えする羽村。


 ゆらり。


 颯太が、立ち上がった。

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