第24話 魔術師と王

「レアくん、すまないが娘と二人で話をさせてくれないか?」

「あぁ…はい、分かりました」


確かに久しぶりに実家に帰って来たんだし話したいことの一つや二つあるだろうな


でも今はそれより…


「なぁ、なんでそんなに直ぐ分かったんだ?」

「えぇ〜?そりゃ師匠は女たらしですから?セイルさんからの提案で実家に挨拶に来たんでしょう?」


くっ…女たらし以外の予測が全てが当たっている…


「だけどそれと娘をよろしくは関係ないだろ!?」

「ありますよ?それ娘との交際を認める、ってことですからね?」


えっ…


「そうなの!?」

「あぁ…それが分からなかったんですか、それでギスギスしてる理由ですか?簡単です、交際を認めさせた直後に浮気したからですよ」


た、たしかにそれが交際になるならアレは浮気になるだろうけどそんなつもり無かったし…


そもそもアレはあいつが操ったからだし…

セイル悪くないから…


「まぁ、とりあえず待ちましょう、師匠はセイルさんを許したんですから、大丈夫なはずです」

「わ、分かった…」


大丈夫かなセイル、不安だなぁ…


ーーー


レアとアリスに見送られながら扉を閉める

ここからは私がなんとかして父上を説得しなければならない


「セイル、何故戻って来た?」

「レアの目的の為に」


我ながら卑怯な言い方だと思う、しかし私が、一度レアを裏切った私が父上を説得するためにはこれくらいはしなければならない


「…レアの目的?」


とりあえずは話を聞いてもらえるようになった

しかし私の話が信用されるのか…?


いや!弱気になってどうするレアの為に私がなんとかして父上を説得せねば!


「レアは枢機卿から聖女を開放することが目的ですそのために父上に陛下との面会を与えて頂たい」


とにかくレアの目的を伝えた、これで駄目ならもう私が陛下に直談判するしか…


「…なるほどそれが本当なら協力してもいい」


「…!なら!」

「だが…お前が嘘をついていない証拠が一体どこにある?」


…当然だ、私はそう言われるに相応しい事をした

しかし、それでもレアの為に、諦めるわけにはいかない


「分かりました、私をここで殺してくれても構いません、でもレアに協力はしてください…!」

「………」


父上は口を開かない、私も頭を下げ続ける

そんな沈黙が数秒続いた後…


父上が、その沈黙を破った


「…学園に人を操る魔術を使った男が居たらしいなセイル、何故…私に説明しなかった」

「アレは私の油断が招いた事です、故にアレは紛れもなく私の責任でしょう」


「…そうか、レアが陛下に謁見できるように頼んでみよう」

「…!ありがとうございます父上!」


ーーー


「セイル!大丈夫だったか!?」


お前が浮気の冤罪を掛けられたって聞いてから気が気じゃない無かったぞ俺は!


「レア…、あっ、無事父上は説得できたぞ!」

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最強の魔術師は寝取られ気質である 龍百 @ryu_100

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