第23話 聖女と敵

「いや、付き人さん達は真面目だし監視付きとはいえ会うのを許してくれる優しい人達なんだけど…」


みんな過密スケジュールなリーナの事を心配してたし、リーナに少しでも寄り添おうとしてたからな


「…けど?」

「リーナに話を聞く限りリーナを聖女に仕立て上げて命令してる枢機卿はクソヤバいクズだった」


だって聖女の日程を超過密スケジュールに調整してる張本人だし、それに報酬も無しだからな…


名声も全て自分の物として扱ってるみたいだし、聖女関連の寄付金は全部懐に入れてるっぽい


「そんなになのか…?」

「あぁ…聖女の日程を過密スケジュールにしてるし報酬も無し、それにセクハラとかもしてるっぽい」


「本当にヤバいじゃないですか!?早く助けに行きましょうよ!」

「いや、それはそうなんだが今回はかなりの権力者が相手だからな、動かぬ証拠が必要だ」


あの枢機卿警戒心が強そうだしこれが中々難しそうなんだよな…


「ふむ…そうなってくると我々に出来ることは二つそいつの屋敷に忍び込んで証拠を見つけるか…」

「え?それ以外に方法あるんですか?」


え?俺もそれしか無いと思ってたけど…違うの?

出来るだけ早く助けなきゃ駄目だよ?


「あるぞ?レアが王や教皇などのより大きな権利に頼んで聖女周りを色々確認するのだ」

「えぇ…?それ行けるの?」


教皇とか絶対俺の言うこと聞かないしそもそも俺は会えないんだけど?


「いや…師匠は今やどの国も欲しがる大天才ですから、王様にこの国への滞在を条件に聖女関連の正式な調査許可位なら貰えますよ?」

「マジで…?」


俺そんなに凄い人だったの…?

ってか俺がそのレベルならお前もセイルもリーナもかなり国に必要とされてる人材なのでは…?


「じゃあそれで行こう、どうせこの国を出る予定なんて無かったんだし丁度良いわ」

「ふむ…それなら父様にお願いして王と面会できるようにしてもらおう」


わーいやったぁ!


「それで?いつ出立する?」

「え?そりゃあ…今から」


だって転移できるんだから…

そりゃ今すぐ行くよね!


「へ?ちょっ…待っ…!」


ーーー


「セイル、戻って来たのか…レアくんと一緒に」

「…申し訳ありません、父上」


あの…なんでこんなに空気重いんですか?

前はもっと和気あいあいとしてましたよね?


「…やっぱりこうなりましたか」

「え?アリスは何か知ってるのか?」


まるでこうなるのが分かってたみたいな言いようだけど…俺には全く予想できなかったんだが?


「いやだって…ねぇ?どうせここでセイルをよろしくとか言われてたんでしょ?」

「えっ?なんでそれを…?」


そのことはアリスには伝えてないはずなんだけど…

何で知ってるの?怖いよ…


「セイルさんの実家に来たことがあるってのは聞かされてましたからね、予想くらい付きますよ」

「な、なんで…?」


どうしてその情報だけでそこまで分かるの…?

知ったかだよね?…だよね!?

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