雨男は龍を送る

日本社会が魔法によって成り立って40年以上が過ぎた。
箒は空を飛び、手のひらに炎が踊る。
あらゆるものが魔法と魔力によって賄われるようになり、人々は豊かになった。
それでも人は完全であるとは言えず——。

強力な〈雨男〉の体質をもつ智樹（トモキ）は入学した大学で民俗学教授の貘白楽（バク ハクラク）と出会う。〈妖憑き〉であり、有能な魔法使いである貘に協力を仰ぎ、智樹は〈雨男〉の体質をなんとかしようと動き出す。
なんでも「魔法」で動く社会で、自分の知らない「魔法」の世界を見せられ、困惑する智樹。最後に彼が出会ったのは、先祖と関わりを持つ〈龍〉だった。

（※この作品の一部にはいじめ、洪水の描写があります）