第2章 山翔海高等学校転校編

11話 転校

月日は流れ、2年生の始業式。

部屋には大量のダンボール。昨日届いた。

学校終わったら荷物片付けないとなぁ……


そう思いながら、身支度をする。

この学校の制服はブレザー。

前の学校と同じか。


武良、神崎、宮橋さん、

東坂さんも……鈴森さんもいない……

担任の小松先生優しかったなー

いい先生だった……


寂しい気持ちも少しはあるが、頑張るしかない……


この学校で、野球を続けて……

甲子園出場に貢献できるよう、頑張らないとな……


両親にも伝えたんだ……


まだ、野球が続けられることに感謝。

俺は、甲子園に行けるよう、頑張るよ。


ってね。両親の墓に手を合わせて、伝えたんだ。


試合中いつも付けている両親の遺骨が入ったペンダントも……


この部屋に……大切に保管してある……



一色は様々な思いを抱えながら、

朝食を食べ、歯磨き、顔を洗い、

制服に着替え、準備する。

この学校の制服はブレザーなんだな。

明乃森高等学校と一緒だな。

一色はネクタイをしめる。


今日は始業式だから……教科書類は今日配布ってとこかな……


いかんいかん……上履き忘れないようにしないと……


一色は少しバタバタしていたものの、学校に行く支度を済ませると、

靴を履き、ドアを開けた。


いや~~~高いな~~


一色は寮の外を見て思う。


俺の部屋は五階にあるからな~~俺、一応、風花と凪の3人で松島に住んでいた

時、マンション住まいだったんだけど、三階の部屋だったからな~~


三階と五階……二階しか違わないけど……思ってた以上に高く感じるな~


一色は階段を降りて、学校へと向かった。


学校の中に入り、職員室で要件を伝えると、進路指導室に案内され、

待つように言われる。


待つこと数分。

進路指導室で一色が待っていると、

ノックの音がし、進路指導室のドアが開く。

「お待たせしてごめんね。行こうか」

と2年G組担任の太田先生がやってきたので、

一緒に2年G組の教室に向かうことにした。


「私、2年G組担任の太田綾と言います。よろしくね」

と太田先生は笑顔で言う。太田先生はボブカット巨乳の若い女の先生だった。

正直、めっちゃ可愛い。


「どう?学校の雰囲気とかは? 馴染めそう?」と太田先生は話しかけてくる。

一色は「多分」とそっけない感じで返す。


そっけない……実を言うと、一色は、


ヤバい、可愛すぎてニヤニヤしそう……


と内心、ニヤニヤをこらえるのに必死だった。


2年G組……G組は最低ランクなんだよな……


自分は最低ランクのG級だけど、教師はS級だなと

超くだらないことを、一色は考えていた。


そうこうしているうちに、2年G組の教室の前までやってきた。


心の中でふざけるのもここまでにして、少し息を吸う。


太田先生に教室の外で待つよう言われ、待機していた。


教室の中は……どうやら、HRの真っ先中のようだ……


2年G組……

一体、どんなクラスなんだろうか。

クラスメイトと仲良くやれるのだろうか。


一色はそういう気持ちを抱えていると、


太田先生が教室の中へと入るよう言われる。


よし、入るか……教室……


一色は期待を不安が入り混じりながら、教室に入る。


みんなが俺に注目している……


いや~~これ、試合中より緊張するな~~

と一色は思っていると、


自己紹介するよう、太田先生からそう指示されたので、

黒板に自分の名前を書くと、

「一色颯佑です。『いっしょく』じゃなくて、『いっしき』です。

硬式野球部に所属予定です。よろしくお願いします」

とはっきり言った。


パチパチパチと拍手の音は聞こえるのだが……

クラスメイトの顔をみてみると……

なんか……困惑しているようにも見えるな……

俺の自意識過剰かもしれないが……

ってか、この自己紹介……上手くいったってことでいいのか……

そういや……本来……転校生って……この学校じゃ認められていないらしいんだけど……俺の転校は……特例とかって……山口先生が言っていたような……

だからか? だから転校生がきて、困惑しているとかなのか?


いや、そもそも、転校生がこの学校で認められていないって知っている人がどれぐらいいるのかよって話なのだが……


太田先生は、後ろに空いている席がある、そこに座るように指示されたので、

一色は荷物を置いて座る。


そして、座った直後、

「よし。一色くんも揃ったってことで、席替え、しよっか?」

と太田先生は笑顔で言った。


急な話だな。


座ってすぐじゃないか。


席替えが始まり……俺の本当の席が決まった。


俺の席は1番後ろの左側の窓際……ではなく、


その右隣の隣。

横4列縦5列の計20。

一番後ろの廊下側から2番目の席だった。


両隣とも女子が座っていた。


右隣の席の女子が

「よろしくね。一色くん」

と声をかけてきたので、

「あぁよろしく」

と返した。


左隣の女の子は話しかけてこなかった。


HRが終わると、早々に始業式が始まった。

どうやら、この学校、始業式は中継らしい。


テレビで始業式の様子が映し出されるとのこと。


ってことはわざわざ体育館に行かなくていいってことだな。教室で座ってるだけでいいっことだな。最高。


そんなこんなで始業式が終わり、学級委員長も決まり、書類諸々、

教科書諸々配布され、

時間はあっという間に過ぎていき、お昼休みの時間帯になっていた。


いや〜お昼かー。

学食だっけ?何を食べようかな?


そう思っていると、

「おい、一色。飯食いに行くぞ」

とまさかの穂村が誘ってきた。

一色は意外だなぁと思いながらもOKと了承した。

「僕も一緒にいいかな?」

と陸上部の島野幸史郎も話しに乗ってきた。

さらには

「俺も一緒に行くぜ!」

とソフトテニス部の岡崎大地も乗ってくる。

クラスメイトの人達、優しかった。

一色はホッとした気持ちになった。

いや~~マジでボッチ飯になったらどうしようかと……

あの静まり返ってた雰囲気は緊張してたからなのかな?


ともかく、話しかけてきてくれて嬉しかった。


岡崎、島野、穂村と一色は学食に向かって歩いていた。


しかし、気になることがある。

なんか……俺の隣に女の子がいるんだが。

そう、一色が座っていた右隣の女の子である。一緒についてきていた。


なぜ俺たちについてきたのだろうか……

一緒にお昼を食べたいのだろうか……

まぁいいや……


一色はその女の子に話しかけてみることにした。

「君も俺たちと一緒にお昼食べるの?」

「ええ、そうするつもりよ」

と一色の問いをサバサバした口調で

返してくる。


「……そういえば、名前なんて言うの?」

「……私は水森葵。女子ハンドボール部に所属しているわ」

「へぇ……ハンドボール……」

と一色は関心していた。ハンドボール部ねぇ……

明乃森にもあったわ……ハンドボール部。


「水森は元D組だね」

と岡崎が一色に伝える。

「つまり、俺と同じ降格勢ってことだな」

と穂村は嫌そうな顔で言う。

「あ、ちなみに、俺と島野は1年に引き続き同じクラスで同じG組だな」

「へぇ……そうなのか」


そうこうしているうちに、学食に着いた一色達は、席に座り、昼食を食べていた。


一色はカレーを頼んで、黙々と食べていると、岡崎が話を切り出す。


「これから、2年G組のクラスメイト全員を紹介していく!」

「おお……」

と岡崎のノリに一色はタジタジになっていた。

水森は岡崎のノリにはガン無視でハンバーグ定食を食べていた。


「まずは男子!!」

「まずは俺!! ソフトテニス部期待のエース!! リア充をぶっ壊す!!よろしくな!!」

「まず何で期待のエースがG級に甘んじているんだよ」

と岡崎の自己紹介に穂村がツッコむ。

「クラスメイトの男子については以上だ!!」

「いや俺たちは??」

と島野と穂村は自己紹介がカットされたことに驚いていた。

穂村のツッコミも完全無視状態の岡崎だ。


「続いては、2年G組のクラスメイトの女子についてだ!!」


「まずは、あそこでひとりで自作の手作り弁当を食べてるショートカットメガネ女子は高川陽菜ちゃん!

なんとJK2年にしてEカップのスタイル抜群の巨乳女子だ!卓球部所属!」


「次にあの席で仲良くお昼ごはん食べてる女子3人組について紹介!」


「あの黒髪ショートカット女子は坂町誉ちゃん!我がクラスが誇る2年連続の学級委員長!! 空手部所属のおっぱいは控えめのBカップだ!!」


「次に紹介するのはポニテヘアが特徴の古賀鶴音ちゃんだ!! 弓道部に所属のおっぱいはさらに控えめのAカップだ!」


「そしてロングヘアーが特徴の剣道女子!羽矢冬乃ちゃんだ!!凛としてて美しく、男女共に人気の高い!! 

おっぱいは3人組の中で1番大きいCカップだ!!」


なんか……おっぱいのカップ数まで話してるよこの人。

怒られない?大丈夫?

「なぁ……堂々とカップ数話して大丈夫なのか……止めた方が……」

「大丈夫だ!!安心しろ!!警察は民事に介入できない!!」

一色が警告したが、岡崎は自己紹介を止めようとしない。


安心できる理由が意味不明すぎる……


「続いてはあの席でお昼を食べてる女子4組!!」


「あの赤髪ボブカットの少女は音神天ちゃん!!ギターと歌、めっちゃ上手いんだぜ!

軽音楽部のBカップ!!」


「あの美味しそうにご飯を食べてる茶髪のロングヘアー女子は湯瀬未来ちゃん!!アウトドア部に所属のCカップ!!」


「あの談笑してる短髪黒髪の少女は水泳部に所属!!スタイル抜群のDカップが特徴の浜辺紗羅!!」


「同じく談笑しているあの茶髪の女の子は

イラスト部所属の白岩華ちゃん!!おっぱいは控えめのAカップだ!!」


「そして、新たにG組に加入した青髪が特徴の水森葵ちゃん!!女子ハンドボール所属のBカップだ!!」


「ちょっと!!! 私はCカップよ!!

勝手に小さくしないでもらえます??」


「変なところで張り合うな……ってか、もう一度言うけど、公然の前で胸のサイズの話をするn……」

と一色が言いかけたところで口を閉じた。

口を閉じると、ある3人組の鬼の形相を見て、一色は、震えた。

その3人組とは、2年G組が誇る武道女子3人組のことだ。

な岡崎の後ろで鬼の形相をしている武道女子3人組が腕を組んで構えている。


こえ……こえーよ……


ちょっと待て、口を閉じて震えている場合じゃない!!

鬼の形相になっている武道女子3人組に気づいていない岡崎に伝えないと……

「ちょっと……岡崎まずいって……」

一色は岡崎に再度警告するが、岡崎、完全に無視状態。

「ということで以上!! これが2年G組のクラスメイトだ!!」

岡崎は堂々と言った。

ヤバい。睨んでる。怖すぎる。

一色だけでない……島野と穂村も目を逸らす。


「おい、どうしたんだ? 3人とも、なんか気まずそうな顔をして……」

「へぇ……よく調べましたね」

坂町の声がして、岡崎はビクッとした。後ろを振り向くと坂町と古賀と佐倉が睨みつける。

「あ……お、俺はこれで……」

「逃げれると思った?」

佐倉がとびっきりの笑顔をかまして岡崎の逃げ道を塞ぐ。


「言い訳しても無駄よ」

「さぁ、どうしばき倒してやろうか」

「ウフフフフフフ」

「おい、誰か……誰か!!一色!!助けてくれええて!!!!」

こうして、岡崎は武道女子3人組に連れて行かれたのだった。

一色はハハハと苦笑いするしかなかった。


ありがとう、岡崎

ありがとう、岡崎


君のことは……忘れないよ……


アーメン。


その後は島野、穂村と仲良くお昼を過ごしていた。

水森は……誰とも喋らず、1人で食べていた。


一色はカレーを黙々と食べていると、


「ふざけんじゃねぇぞ!!!」

いきなり食堂中に罵声が響き渡っていた。

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