第4話

「……ここならいいか」


二人がたどり着いた場所は、エリシアがいた建物、その地下階層だった。

そこには様々な大きさの機械があり、それらは時折生き物のように呻きつつ稼働していた。

男は、さらに奥へ進む。

エリシアは途中駆け足になりつつも、なんとかついて行く。

やがて、椅子や机、パソコンなどが大量に置かれている部屋に着く。

男は部屋の電気をつけ、近くの適当な椅子に座った。

エリシアは上から降る光に目を細めつつ、男の隣の椅子に座った。


「……………………」

「………………………………」


二人の間に沈黙が漂う。

男は眠そうな顔で煙草に火をつけ、口に咥え


「なぁ」

エリシアに話しかける。

エリシアは動きを止め、男はそのまま問う。


「お前、どこから来た?」

「……ここじゃないところ」

「……ま、そうだよなぁ……」


男が息を吐く。

煙草の空気も上にただよい、消えていった。


「……ねぇ」

尋ねたのはエリシアだった。


「わたしが元いたところにかえ」

「無理だよ」


エリシアの問いを、男はあっさり切り捨てる。


「そこそこ来るんだよ。

お前みたいにこの世界に来る奴がな。

大抵の奴は知らない間にいなくなってるから、もしかしたら帰れるのかもしれんが、

俺はその方法は知らん」


その言葉には、とてつもない程の『諦め』の感情が込められていた。


「……いつから、ここにいるの?」

「……もう覚えてないな。結構前からここにいたことしか覚えてねぇ」


男は手に煙草を持ちながら、たそがれるように上を見上げる。

エリシアは考え込み……意を決して訊いた。


「わたしに、このセカイのことを教えて

って、言ったら……?」



◆◇◆

よろしければレビュー&評価お願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る