第21話 杖は必要?



「まさか杖を手に入れるだけでこんなに大変だなんて思わなくて、蒼ごめんね、、、。」


ツバメに一通り話し終えた詩織が僕に謝ってくれた。


「第一の試練は台風にさえ気をつければそんなに大変じゃないよな?」


「そうね、私たちの時はそんなに大変じゃなかったわね。」


ノアくんとレアちゃんがコソコソ話しているのが耳に入ってくる。

僕も台風の対処法さえ知っていれば、、、。


「あれ?そういえばドロシーさんは杖が無くても魔法使えてましたよね?」


僕がそう言うとツバメが肩に飛んできて、翼で芸人さんのようにツッコミを入れる。


「いや、大魔法使い様だからだよ!!!」


頬に翼が当たって悶絶している僕を見て、笑っていたノアくんが説明してくれる。


「料理で火を使うときにはコンロを使うだろ?

水を使うときには、、、あれ?何て言った?クルクル回すやつ!」


「蛇口ね!蛇口を使うでしょう?」


レアちゃんが補足してくれる。


「火をそのまま使って料理するのは難しいわよね?

火加減も出来ないし、熱いし。

魔法も同じなのよ、杖を使ってコントロールしやすくしてるの。」


二人の説明はすごくわかりやすかった。

僕らの世界に合わせた話、手振り、身振りでよりわかりやすくしてくれたようだった。


「お師匠様はね、大魔法使いって言ってこの世に3人しか居ない偉大な方だ。

ほとんどの魔法使えるし、杖なしでコントロールすることが出来る。

世の中で凄い!と言われてる魔法使いも適性が合ってる魔法以外はほとんど使えないんだぜ!!!」


大興奮で話すノアくん。

本当にドロシーを尊敬していることがこちらに伝わってくる。


「適性って何ですか?」


詩織が疑問に思ったことをドロシーに聞いていた。


「人間にも料理が得意だとか、スポーツが得意だとか、勉強が得意だとか、色々あるだろう?

魔法にも水魔法、火魔法とか得意な魔法がそれぞれあるんだよ。」


これはすごくわかりやすかった。


「詩織は時空に関する魔法に適性があるようだ。

まあ、詩織が杖なしで魔法を使おうとすれば数十年は掛かるかもしれないね。

数十年掛けても出来ないかもしれない。

そもそも出来るやつのほうが珍しいんだ。」


もしかして、、、ドロシーってめちゃめちゃ凄い魔女なのでは?

彼女が更に異様に見えてきた。


「嬢ちゃんには杖が必要やってことはわかったな?

よし!じゃあ第二の試練行こか!!!」





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