第19話 告白



テーブルにはカップが3つ並んでいる。

隣には詩織、目の前には美女が腰掛けている。


「アタシの名はドロシー、魔女だ。」


そう言うとドロシーはカップに口をつけ、飲み物を飲む。

魔女、、、。

物語の世界でしか見たことのない存在。

信じられないが、ついさっき僕は空を飛んだし、服は一瞬で乾いた。

魔法でも使えなきゃ説明のつかないことが起きている。


「お前が蒼だね。

詩織から話は聞いてるよ。」


ドロシーは僕の頭から爪先までをジーッと見た。

体が強張る。


「時空の歪みに詩織の魔力が絡まってる。

魔法を掛けたってのは本当らしい。」


時空の歪み?詩織の魔力?

理解できない言葉が並ぶ。


「あのね、蒼。

この人私のおばあちゃんなの。

私ね、魔女の血が流れていて魔法が使えるの。」


「、、、おばあちゃん?

詩織も、、、魔女だったの?」


僕の言葉聞いて詩織が右手でぎゅっと左手首を握っていた。

詩織が勇気を出す時の癖だ。


「そうみたい。

ずっと言えなくて本当にごめんなさい。

蒼が迷子になっちゃうのは、、、私が蒼に魔法を掛けてしまったからなの、、、。」


詩織の目から溢れた涙がポタポタと彼女の手の甲に落ちていた。

僕は詩織から目を離すことが出来なかった。

僕は制服のズボンのポケットにハンカチを入れていなかったことを後悔した。






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