第16話 あなたの隣で…〜 私達は永遠に 〜

次の日―――――




既に南波さんの姿はなかった……




「…南波さん…」


淋しく感じた。



その時だ。




「…希美ちゃ〜ん、いる〜?」



ビクッ



「希美ーー?」




ビクッ




「わわ…」




聞き馴染んだ声から名前を呼ばれ、私は驚くのと慌てふためく。


まだ生まれた姿になっているからだ。


いわゆる……裸だ……。




女の子から、1つ階段をのぼる。


女になった瞬間でもある。




私は自分の体を見る。




「わ……や、やだ…こ、これって…キ、キ、キスマーク!?」




《私…本当にHしちゃったんだよね?》




拉致られ制服があった事が不幸中の幸いだ。


本当なら制服なんて手元にないもの。




私は制服に着替えながらも昨夜の事が脳裏に過る。


身だしなみをチェックするも、下半身に違和感がある。



《…痛い…》

《何?この違和感…》



何か引き裂かれた感覚。


つまりそれって…南波さんと関係持ったから?


あの痛みが蘇る瞬間でもある。





私は、みんなの元に行く。





「おはよう」

「おはよう、希美ちゃん」

「おう!」

「よー!」




3人は笑顔で迎えるも見つめる。



「な、何?」


「…いや…女って…初Hした後って雰囲気変わんだなーと思って」


「えっ…!?」


「…なんちゅうか…綺麗になったっちゅうか…」




いつも私と言い合ってる二人が、妙によそよそしく、何か照れてるようにも見える。




「…そ、そう…なんだ…自分では…分からないや…」



「一歩前進して大人になった証拠だよね〜。体、大丈夫?」


「えっ…?あ、うん…」



とは言ったものの、本当の事は言えない。



「無理しないでいいからね」




頭をポンとした。






「南波さんがいない間、淋しいかもしれないけど〜」

「何でも言えよ!希美!」

「そうやで!とことん付きおうたるからな!」

「ありがとう!」



みんなの優しさが凄く嬉しかった。





「それで…すっげぇ気になんだけど…」

「何?」


「…その…つまり…女って…初Hは…やっぱり痛かったりしたのか?」


「…えっ…!?」




「………………」



「ストレート過ぎやしっ!」


「だって、ストレートが手っ取り早く聞けんじゃん!つーか…どう言っていいのか…聞くべきか…分かんねーのが正直な所だけど…」


「ま〜ね〜。それで、どうなの〜?」




「……………………」




「ご、ご想像にお任せします!」



私は足早にアジトを出る。




「あっ!」

「逃げたで!」

「待って〜」




3人が後を追う。





正直な所


痛いのは事実だ


自分の中で


きちんと歩けてるのかな?



そんな事が


脳裏に過る


身体の一部に


違和感がある





「………………」





そんな私の1日の学校が始まるのだった。








そして―――――




「おかえりなさい」


「南波さん、おかえりなさい」




みんなで南波さんを迎えに行った。





「何だよ、みんなして、お出迎えか?」

「だって、彼女一人じゃ危険でしょう?」

「そうそう」


「だって、俺達、南波さんの大事な彼女のボディーガードですから〜」


「ボディーガードって……」


「大事な彼女に何かあったら、南波さんから怒られるし」


「そうそう」




笑う南波さん。




「希美、来い!」




私は3人から背中を押され南波さんの元へゆっくりと向かう。


もう少しの所で、グイッと引き寄せ抱きしめた。




「ただいま」

「おかえり……了」

「名前か…いいな。すっげぇ嬉しいんだけど」




私達はキスをした。





「見せ付けんなよな!」

「二人の世界だからね~」

「めっちゃ羨ましいわ!」




私の肩を抱き寄せ、私は彼氏である、了と肩を並べて歩く。




「南波さん、希美ちゃん泣かしたら駄目ですよ〜」

「泣かせねーし!」

「希美、何かあったら、いつでも連絡してこいよ」


「何もねーし!むしろ、俺がお前らに連絡してくるかもしれないぞ!」


「何でですか?」

   


「希美が可愛いから、お前ら何かしら、ちょっかいを出すだろう?」


「出たで!ノロケや!彼女が可愛いって言うたで!?」


「ち、ちげーし!ノロケじゃねーよ!」



私は隣でクスクス笑う。



「お前ら、俺の女、イジメんなよ!」


「イジメるのは、むしろ、南波さんでしょ〜?」

「なっ!!優人っ!テメー!」

「希美、からかい甲斐あるしな!」

「蒼介っ!」

「可愛いから、ついなぁー」

「勇真っ!」




3人は、逃げる。




「お前ら待ちやがれ!」

「嫌ですよ!」

「捕まったらアウトやしな?」

「そうだよね〜」





こういう光景が見られるなんて

思わなかった


最初はみんなも距離を

おいていたけど


本当の彼を知り

距離が縮まり


気付けばみんなといる時間が

増えていった


多分これからも

こういう光景とか


時間が

見られるんだろうな……





そんな事を思いつつ―――――




「希美」

「ん?な…に…っ!」




キスをされた。


そしてグイッと腰を引き寄せられる




「お前は俺の首に手を回す」

「えっ?」




私は言われるまま従う。




「……!!!」



体の密着、至近距離。




《こ、これって…》





『お前、あんな事出来るか?』

『私には無理かなぁ』



そういう会話をした記憶が蘇る。


私は赤くなった。





「思い出したっていう顔してっぞ!」

「だって…っ!」




そして、キスをされ唇の中に熱が割って入ってくる。





「……!!!」




一瞬戸惑うも


私はそれに応えた


恥ずかしい半面


でもこうして触れられる


本当の恋が始まるんだ




そういう思いを胸の内に秘め――――



今日から二人の時間が増えていくんだ―――と……





その時だ。




遠くの方から声がしてきた。





「すみませーーーん!」



ビクッ

私達は慌てて離れた。




「2人に手錠して下さーーーい!場所変えて欲しいんですけど〜〜〜」



「一層の事、2人を何処かに拉致って下さーーーい!ちゅうか牢獄にお願いしまーーーす!路チューは目のやり場あらへんでーー」


「2人きりの時にたくさんしてもらって良いですか~~か?」




私は赤面し、顔を隠す中、隣では、3人に向かって――





「うるせーーーな!」と言う了。



3人はからかいつつ笑顔だ。




「全く!なあ?」



了は私に振ってきた。



「わ、私に振らないでよ!」




クスクス笑う了。




「はいはい、それ所じゃありません的な感じだもんな?行くぞ!」




手を差し出す了。


私は迷わず、その手を掴む。



「希美、これからもよろしくな」

「う、うん…」

「今日は帰さねーからな!」



ドキッ



「えっ…?あ、うん…」

「うんと言ったからには覚悟してんだろう?」


「いや…してるとかしてないとか…また…あの時の感覚が…」


「最初みたいに痛みはないはずだ!まあ、無理はしないから安心しろ」


恋人繋ぎして私達はみんなの元へと行った。







〜 The Fin 〜





ご愛読ありがとうございました。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転校先は不良(ヤンキー)校!? ―特別編― 〜南波 了〜 ハル @haru4649

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ