第15話 ひとつに……

「希美」

「何?」

「…俺…」

「うん…」

「お前を俺だけの女にしたい」



「えっ?もうなってるよ」


「まだだ。例え、関係持ったとしても、お前はみんなの女なの!」


「なんで?」


「可愛いから」




ドキン…



「アイツらお前に、すぐちょっかい出してくるし」




子供のように拗ねる顔が


さっきの時とまた違うように見える




子供みたいに拗ねてみたり


大人の男を見せたり


ドキドキしっぱなしだ




だけどイジケて拗ねる姿は


愛おしくも可愛く見えてしまう





「クスクス…可愛い…」

「だから、男に可愛いーは、おかしいし!」

「だって子供のように拗ねてるから」


「仕方ねーだろ?男は、そういう部分沢山持ってるもんだし!」


「そういうもの?」


「そういうもの!……希美…ちょっと我慢しろ!」



「えっ…?」




《つまり…それって…》



「ま、ま、待って…!」


「…悪い…無理!…俺…限界寸前…!」


「えっ…?」




両肩にグッと力が込められ、

私の身体の中にゆっくりと熱が貫いていく。



ゆっくりと身体全身に痛みが広がる中、

一瞬力が入るも



「…希美…良く頑張ったな」



そう言うと、

私に深いキスをしながらも、何度も熱が貫く。




一瞬の出来事だった。



私の身体の中に熱が貫く度に

恥ずかしいくらいの吐息混じりの声が洩れる。


私は恥ずかしくなり、

顔が赤くなり両手で顔を覆った。



「女になった感想は?」

「馬鹿…」



顔を覆った両手を外され、両手の指を絡め、私はぎゅうと南波さんの手を握り締めた。



「好きな相手だからこそ色々な部分を見たいんだ」




「………………」



「俺に全て魅せろ!希美。お前にも俺の全てを見て欲しいからな」


「…南…波…さん……」


「お互いの色々な部分を見て、嫌な部分、良い部分ひっくるめて恋愛はすべきだと思う」



「……………」



私は抱きついた。



「…可愛い奴…身体…大丈夫か?」

「…う…ん…」





私の身体の中に



熱が貫かれる度に



自分じゃない



もうひとりの自分が出てくる





キスをされ



大人のキスをされ



私は素直に応える




ひとつ ひとつの



動作や仕草が



私の心を



戸惑わせる中




彼の優しさに



身体全身が



大人の世界に



引き摺り込ませる






――――――ひとつなるって




           こういう事―――――?






―――――愛するって




         こういう事――――――?





―――――愛されるって




         こういう事―――――?
























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