第4話 仲間入り

「おっはよー!」


「テンション高くねーか?希美」と、蒼介。


「えっ?普通だし」

「男に告られたか?」

「全然」

「だろうなー。性格悪そうだし!」




ベシッ

蒼介の腕を打つ。



「ってーな!」

「えー、どうせ悪いですよーだ!」

「認めたで?」

「悪いか!」



「そういえば…南波さん色々な不良グループに声かけてるらしいよ〜」


「だろうな」

「あんた達は不良グループじゃないの?」

「俺達は真面目寄りの不良だし」

「あーやっぱ、不良なんだ」



「つーか…お前も俺達とつるんでるんだし、そう見られてもおかしくねーぞ」


「女不良だね」

「開き直ってやがる!」

「そうもなるよ…結構やりあっていたから私」


「そういえば女の子にしてみれば生傷多かったもんね〜小さい頃から」


「そうなんだよねー……ってあれ?どうして優人君知ってるの?以前は、なんか…孫娘とか言ってなかった?」


「気付いてたんだ〜」


「うん。気のせいかな?と思ってスルーしてたけど」





そして、優人君と私の関係を話してくれた。




「じゃあ、優人君も家の祖父の生徒だったんだね」

「そういう事〜」


「あー、だから知ってるって、転入して来た時、言ってたのか?」


「そうだよ〜」




「つーか、お前ら二人って違う意味で最強コンビじゃねーか?」


「優ちゃん怒らせると怖いからなーー」

「そういう希美もヤバイとか?」

「さあ?自分の姿、見た事ないし」


「やり合ったという野郎集めて話を聞けばいいんじゃね?」


「冗談じゃないし!」




そんなこんなで今日の1日が始まる。




そして、その日の学校帰り――――




「負けた奴、ジュースおごり!」と、蒼介。




私達のカーバトルゲームが始まる。




そして――――




「希美、圧勝かよ!」と、蒼介。


「それよりもさ、言い出した蒼介がボロ負けってありえないし!」


「うるせーっ!」




私達が騒いでる中、優人君は何かを察知していた。




「優ちゃん、さっきからどないしたん?」

「えっ?…あ…いや…ちょっと…」



「………………」



私達4人は集まる。



「…早目に場所移動しようか?」



明らかに何かを感じている優人君。





そして――――




グイッと誰かが私の両手を掴む。




ビクッ



「えっ!?ちょ、ちょっと!何!?」


「希美ちゃん!」

「希美!」



「彼女を傷付けたくなかったら俺達に付き合いな!」




気付けば複数の男の人達に囲まれていた。




「もし、付き合わなかったら?」


「彼女は返す事は出来ねーし、下手すりゃ…みんなの相手に…なりかねないんじゃないか?」


「…みんな…私に構わなくて良いから。みんな逃げて!」


「いやいや、そりゃ無理やわーー」

「当たり前だろう?」

「付き合うから解放してあげてくれないかな〜?」


「目的地に着いたらな!」



3人は薄々気付いていた。


彼等は南波了が絡んでいる事を――――




そして、目的地に到着し――――



「連れて来ました」

「ああ、わりーな」

「…やっぱりか…」

「バレてたのか?」

「気付かない方がおかしいと思いますよ〜南波さん」



「つーか…どうしてコイツまで連れて来る必要あるんですか?」


蒼介が尋ねた。



「人質だ」


「人質ぃっ!?じゃあ、3人が来なかったら私はコイツらに好き勝手されてはたわけ!?」


「だろうな?」



クスクス笑う南波了。



「最低ーーーっ!!」


「男を甘く見ると痛い目に遭うの頭に入れておけ!まだ高校生の子供(ガキ)なんだからな」


「未成年のあんたに、ガキ(子供)呼ばわりされたくないしっ!つーか、こんな事する方が、余程、ガキ(子供)だよ!」


「なっ!」


「てめー、南波さんに…」


と、襲いかかってくる相手に、つい蹴りを入れてしまった。



ドサーッ



「あーあ、やってもうた…」

「クスクス…希美ちゃん反射神経半端ないな〜」

「大人しくしとけよな!バカ、希美」


「ごめん…つい…ははは…」



自分の行動に呆れ、恥ずかしさに笑う。



「この女!」


他の仲間が私に襲いかかってくる。



「辞めとけっ!誰が喧嘩しろっつった?勝手な行動取ってんじゃねぇっ!」


「す、すみません!」


「おいっ!女!」

「何?」

「お前…程々にしねーと知らねーぞ!」



「言われなくても知ってます!…そんな事…今迄なかったわけじゃないし……」


「…希美…ちゃん…」

「希美…」

「あんたに言われなくったって…分かってるよ…!」



「………………」



「…そういう事あったって事か…?それで?ヤられたのか?」


「なっ…!」




かあぁぁぁぁっ…

赤面する私。




「ヤ、ヤられてません!!」


「すっげー、真っ赤なんだけど?」と、蒼介。

「希美、案外、純なんや」と、勇真。

「ス、ストレートに…そ、そんな…ヤ、ヤったとか…」



そして、私の前に来る南波了。



「な、何?」

「お前、案外、可愛い所あるんだな?」

「…えっ…?か、可愛い!?」



再び顔を赤くする私。




「クスクス…」



「な、何で笑うわけ?」

「素直な反応や表情が新鮮なだけだ」



ポン

頭に手を乗せる南波了。



ドキッ




「まあ、性格は何とも言えねーけど…。顔は悪くねーし。それよりも、お前らを仲間に入れたい。それが、ここに連れて来た理由だ」


「…仲間?」

「…希美ちゃんは?」


「彼女は…勧めねーな。つーか、女は認めねぇ。危険過ぎる!一緒につるんでいるからって仲間にしようとは思わない」



チラッと見て、3人を見る。



「………………」



「その前に出入りしていたら、逆にヤバイと思うが?不良は山程いるが、裏社会と繫がっているのも中には存在する」



「………………」



「…それは…」

「まあ、強制はしねーけどな」

「私が男装するとか?」



「男装ぉぉぉっ!?」



みんなが一斉に大声で言った。



「うわっ!な、何!?ハモったし!!シンクロしたぁっ!どんだけ息ピッタリなわけ?」


「いやいや、そんな事より顔とかバレるし!」


蒼介が言った。



「眼鏡かけた所でも、どうこうじゃなく確実にバレるから〜。希美ちゃん」と、優人君。


「お前は大人しくしている方がええんちゃうん?」



「………………」



「じゃあ、みんなは仲間入りして犯罪犯すんだ!へえー…そう…」




「………………」



「じゃあ、ご勝手にどうぞ!!帰る!!」



そう言うと私は帰って行く。



「ちょ、希美っ!」

「希美ちゃん!」

「待つんや!単独はアカンで!」



3人は私の後を追う。



「南波さんアイツら仲間に入れるんですか?」


「アイツら次第だろう?ただ、忠告しておくが、アイツらは遥かに、お前らよりも腕は良いと思うが?」


「えっ!?マジっすかぁっ!?」


「ああ」





そして、結局、蒼介達は仲間に入る事はなかった。



あんな事件さえ巻き込まれなければ―――





とある別の所では。



「兄貴ーー、南波了、脱獄したらしいですよ」


「へえー、アイツがねーー?面白そうじゃん?アイツの仲間とか全て調べ尽くせ!ゲームの始まりだ。南波了…俺の女を傷付けやがったんだしな?」


「なぁに?どうしたのぉ?」


「いや…面白いゲームが始まると思ってな」



「へえー、なぁに?」

「アイツ、脱獄したんだとよ」

「アイツ」

「南波了」

「えっ…?ちょっと!何考えてんの!?」



「お前は気にするな」

「気にするも何も、変な真似は辞めて」

「大丈夫。そんなヘマはしないから」


「…そうかもしれないけど…気を付けなきゃ、あなたも捕まるわよ?」


「大丈夫だよ」



「………………」

















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