第7話

 お義母様やお義姉様、そして義妹は捕まりました。

「うわぁ、王家の馬車に乗れるわ」

 義妹がそんなことを言うと、お義姉様にゲンコツされて、二人はいがみあい、お義母様は絶望しながら、王家の馬車に乗って行きました。私もですが、彼女たちも王家の馬車に乗るのは今日で最初で最後でしょう。

 そうして、私の家はようやく再び私の家になりました。

 私はお義母様たちが雇った使用人の中で、私に良くしてくれた使用人にお願いして、お父様やお母様の時に家に入ってくれた使用人を呼び戻して欲しいとお願いすると、その使用人はすぐに喜んで動いてくれました。そして、私の行動を監視していたような使用人たちは後ろめたかったのか、お義母様が捕まるのを見て、一目散に逃げてしまったようでした。都合は良かったですけれど、復讐するとでも思ったのでしょうか。

 

 使用人がすぐに動いてくれたのもありましたが、お父様やお母様に仕えた多くの使用人たちは、私のことを陰ながら心配してくださっていたようで、近くに住んでおりすぐに会いに来てくださいました。皆は自分のことのように私の無事を喜んでください、私は皆の愛がとても嬉しかった。


 人生で一番晴れやかになったその日。

 それだけで十分だったけれど、まだサプライズがあった。


「キミは今日で十六歳になったっていうのは本当かい?」

 王子が破り捨てた偽りの婚約書の一部を手に持ち、私に尋ねた。私は「そうです」と言って頷くと、急に王子が片膝をついて、右手を自分の左胸に添えて、私を見上げた。

「僕と結婚してほしい」

 そう言って、王子は左手を差し出してきた。

「・・・・・・はい」

 私はその王子の大きな手を取った。

 使用人たちは大きな拍手で私たちを祝福してくれた。

「間に合うかな? 誰か、馬を一頭用意してくれないか?」

 王子は日の高さを気にしながら、馬を所望した。使用人が馬を連れてくると、華麗に馬にまたがり、私に手を伸ばす。馬に乗ったことがない私だったけれど、全幅の信頼を置いている王子の手を拒む理由が無かった。

「きゃっ」

 どうなったのか、わからない。

 でも、いつの間にか、乗馬する王子にお姫様抱っこされていた。そして、そのまま馬が走りだすと、私は怖くて王子をぎゅっと抱きしめる。王子は私が抱きしめても動じず、優しい顔で私を見守ってくれたので、徐々に怖さはなくなっていった。町は私が外出しないうちにずいぶんと変わってしまっていて、周りの景色も気になったけれど、私はずーっと王子の顔を見ていたかった。

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