都内の神社仏閣

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護国寺:地下鉄有楽町線「護国寺」駅下車

 *近況ノート(https://kakuyomu.jp/users/gonnozui0123/news/16817139556522258472)に画像があります。


 本日、護国寺に出かけてきました。


 文京区とはいっても西の外れ、池袋に近いエリアです。

 ここでは恒例の骨董市が開かれているのですが、最近のコロナ事情もあってなかなか来れずにいたところ、今日ならば、と馳せ参じた次第です。


 護国寺の由来を言えば、五代将軍徳川綱吉公が、母である桂昌院の願いを受けて開山したお寺でございます。護国寺HPによりますと、関東大震災や東京大空襲に遭っても消失せず、元禄時代そのままの建築が今も残っているとのことです。


 まあ、でっかいやね!( ゚ω゚)


 江戸名所図会にももちろん紹介されている護国寺ですが、たいてい大げさに書かれている境内の図のスケールが、実際の体感スケールとそれほど変わらないというのも珍しいものです。


 ……私の感覚が江戸名所図会に慣らされてしまっただけかもしれませんが。


 図会の右下に描かれた仁王門、本日は鬼灯売りの屋台を始め、食べ物の屋台がいくつか出ており、お祭りの雰囲気でした。境内に入れば骨董屋の露店が連なり、冷やかしながら本堂へ近づいていくことになるのです。


 朝7時から始まっていた骨董市ですが、私が到着したのは昼前でした。だいぶ気温が高くなっていましたがまだなんとか。ガラスの器など眺めて「……ん、これは昭和初期」などと目利きをしながら歩いているうちに、ふと目に付いた品がありました。


 それが波千鳥の意匠が施された刀の鍔。

 ……( ゚ω゚)


 ……買うよね。


 いやあ、「風浪」書いている時から探してはいたんスよ、千鳥意匠の鍔が現存したのかどうか、存在したとしたらどんな風に模様が入っていたのか。


 結局資料を探しきれずに時間切れで、作中に描いたのは青海波紋の鍔となりました。洒落にならんのが以降、主人公二人の持つ刀の鍔の模様が決まってしまったということで。


 けど、あるじゃんなあ!


 鍔の模様を書き直すとしたら「風浪」からという労力を思うと、古物商の店主に代金を払いながらも眩暈に襲われましたが、こちらのお品、よく見るとなんかおかしい。


 鍔の真ん中に開いたあな、この形が本来なら有り得ない形なのです。


 日本刀の断面は、刃の部分が薄く峰の部分が厚い構造となっています。

 したがってこの刃の根元を支えるために開けられた鍔の孔は、上が狭く下が広くなった細長い台形となります。上下非対称なんですな。


 この孔のことを、なかご孔といいます。


 ところが手に入れたブツに開けられた孔は上下対称。

 どうやら刀の鍔を模した文鎮として作られた物のようなのです。


 それならばそれで!

 お買い得価格にも納得だ!


 で、家に帰ってからこの鍔型文鎮に紐を通して、今後は私の机の上で本来の役割を果たしてもらおうと思っているところです。


 扇風機の風で飛ぶんですよね、書類が( ゚ω゚)

 この文鎮、風情があって、なかなか良いものです。


 文鎮一つ手に入れてうきうきと、護国寺本堂の中も今日は解放されていたのでご本尊にお参りしてきました。


 本堂の中ではこれまで訪れた羽黒山や阿夫利神社と同等の歴史の重みをひしひしと感じてきました。すごいっすよ。迫力ありました。元禄からの遺物というのがまた凄みがあって、天井絵や絵馬ももちろん、須弥壇脇の脇侍の観音像もそろい踏みです。


 羽黒山では山から降ろされ捨てられ傷ついた仏像が有志の手によって買い戻され、けれど神社となった本殿には戻れずに別の場所に保管されている様子を見てきました。


 けれどここ護国寺では、仏像ががっつり守られていたことが、多くの仏像の木肌から落ちていない金箔の様子から察することができました。もしかしたら一時的に退避はしたのかもしれません。でも、羽黒山のような目に見える迫害は生じなかったのではないでしょうか。


 護国寺ぐらい権力と結びついていると、流石に廃仏毀釈の影響は少なかったのかもしれません。


 明治維新の初年から行われたことから、明治新政府の命題であったことが窺われる神仏分離政策。そこに至る流れ、その後のこの国の宗教の在り方の移り変わりを、これからの千鳥シリーズで描いていけたらと思っています。

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『海鷹の翼』取材の記録 葛西 秋 @gonnozui0123

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