手紙

それからの私は、イラストの他に油絵とセル画も描くようになった。

誠君がブラジルで頑張るのなら、私はここで頑張って3年後に成長して再会したいから。



数日後、優子から手紙が届いた。


“お元気ですか?

この返事は2人一緒に読んでね。


2人してわざわざこんな報告してくるなんて、仲良しなんだね。

っていうか、報告いらんだろ?なんて思ったよ。

私が知ってる2人ならきっとうまくいく!

それは保証するよ。

だから、絶対幸せになってね。

私もめちゃくちゃ幸せになる予定だからね。

じゃ、いつかまた3人で会えたらいいね。


      優子より”



やっぱり、優子は変わっていなかった。


_____私が知ってる2人なら…って書いてあるけど、今の私のことは優子はきっと知らないだろうな


誠君に助けてもらって、やっとなんとかここまで治ってきたけど、まだ全然、昔のようには戻ってないと思う。

これからは、1人で少しずつ昔のような自分を取り戻すつもりだ。


_____誠君が帰ってくる時には、もっと元気になって出迎えたい!





◇◇◇◇◇



誠君がブラジルへ行ってしまってから、二週間後。

最初のエアメールが届いた。

ポストにそれを見つけた時は、まるで誠君が帰ってきたかのようにうれしかった。


“ヒロへ。

やっと少し落ち着いてきたので、最初の手紙を書きます。

こちらは、すごいです!

何もかもが強烈で、人々のパワーのようなものを感じ取れます。

ヒロが一緒に来ていたらきっと、目を回してしまうかも?

先生の家の近くにアパートを借りることができました。

もう絵の勉強をしています。

これから、三年間、ヒロのことを思いながらしっかり勉強して一人前の画家になって帰るから、待っていて欲しい。


あー、なんだかもうホームシック、いやヒロシックかもしれない。

こんな弱気じゃダメだな、よし!

また、手紙を書きます。

ヒロも時間があったら書いてください。


      誠より”


よかった、無事に着いて元気そうだ。

そうだ、私も手紙を書こう。


“今日も誠君のことが好きです、明日はもっと好きになってます、だから3年後は大変なことになるくらい好きになってます”


公園から見えた海のイラストも入れた。

窓の外は、いつのまにか降り出した雪がうっすらと積もっていた。


_____あ、もうすぐクリスマスだ!お好み焼き屋さんのノート!


あの日、誠君は何を書いてたんだろう?

1人のクリスマスイブだけど、楽しみがある。


_____早くイブにならないかなぁ?


積もる雪を見ながら、また絵を描き始めた。





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