第20話 【現実世界】編集長からの電話

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   ○下手エリア、フェイドアウト、漫画家エリア、フェイドイン。


矢田「先生、私、もう突っ込む言葉が見つかりません。如月と同じく理解できてません」

やよ「ごめん、期待に応えられなくて」

楓 「いやぁ、すっごい流れになってきましたね。まさか気の良い友達代表のたまちゃんがたま子レッドだったとは。セオリーはぐちゃぐちゃポイです」

矢田「いろんな疑問は後からまとめて言わせていただきますが、取り急ぎ一ついいですか? ヒーローが本名につけるっておかしいですよ。自分から正体明かしてどうす   るんですか!?」

やよ「正々堂々ってことからしらね」

矢田「いいですか? 百万歩譲って、騙された男に復讐するっていう物語までは許せます。でも、戦隊モノっていうのはあまりに行き過ぎです。遠慮せずにはっきり言わせていただきます。(咳払)わけがわかりません! なんですか、たま子レッドって! 久しぶりに登場した平均的な友達キャラのたま子さんがなんで復讐を手助けするブラックヒーローなんですか!?」

楓 「私はいいと思うけどな」

矢田「楓さん、さっきから、そればっか言ってますけど、具体的な理由なんて言わないじゃないですか。わかるように説明してください」

楓 「説明とか出来るものじゃありませんよ。面白いものは面白い、それだけで十分じゃありませんか。漫画っていうは、理屈ばっかりで作ってダメだと思います」

矢田「本当にこれが面白いですか? いったいこっからどうなるんですか? 如月がヒーロー戦隊に入るっていう流れですよね? 恋のヒロインだったのに本当のヒーローになってどうするんですか? それと、これまでのレッドとかのヒーローがやられ   て、いなくなったってなんですか? 五人中四人のヒーローがやられちゃうなんて聞いたことないですよ。逆にすごい気になるじゃないですか!?」

やよ「きっと厳しい戦いだったんだろうね」

矢田「ヒーローがそんなに死ぬなんて辛すぎますよ!」

楓 「なんだかんだ言って、矢田さんもこの話、気に入ってませんか?」

矢田「はぁ!?」

楓 「えっと、えっと、如月はやっぱりピンクですかね? 如月ピンクっ!」

やよ「どうかな」


   ●携帯電話の音、カットイン。


矢田「あ、編集長だ」

やよ「わ、督促かな」

矢田「でしょうね」

楓 「げげ、無視しちゃいましょうよ」

矢田「無理ですよ。出るまで絶対鳴らし続けます。そういう人なんです」

やよ「矢田ちゃん、ごめん。うまくごまかして」

矢田「もぅ、仕方ないなぁ」


   ●携帯電話の音、カットアウト。

   いきなり怒鳴られている様子。


矢田「編集長、いきなりそんなに怒鳴らなくても……えっと安心してください。もう少しっていうか……あとちょっとというか……ただいま絶好調っていうか……えへへ……はい……はい……はい……いえいえ、そんな。こんな時間にいいですよ……はい……はい……わかりました」


   電話を切る矢田。


やよ「何だって?」

矢田「えっと、今から来るそうです、ここに」

やよ「え? 本当に?」

矢田「本当です。こうなったら、少しでも描き進めてください。編集長が来たときにページがある程度あれば、納得してくれると思います」

やよ「わ、わかった」


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