第18話 【現実世界】漫画のセオリー

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   ●シリアスな音楽、フェイドアウト。

   ○上手エリア、フェイドアウト、漫画家エリア、フェイドイン。


矢田「……驚きで言葉になりません」

楓 「私もです。たぶん如月以上に驚きました」

やよ「私もよ。びっくりしたわよね。なに、この展開?」

矢田「先生は自分で描いてるんでしょ!?」

やよ「筆の力ね。すいすいすいって」

矢田「冗談はやめてください」

やよ「本当だってば。のってくると、頭で考えるより、手が先に動いたりするんだから。私もやっぱりプロね」

矢田「だからって、瞬が如月を騙していたなんて!?」

やよ「やっぱりまずい?」

矢田「まずいですよ! 純愛ラブストーリーは完全に崩壊しちゃいましたよ。二人とも主人公なんですよ!」

やよ「うぅん」

矢田「星美と組んで騙していたなんて酷すぎます。如月、かわいそう過ぎます! うぅ……」


   泣く矢田。


やよ「感情移入してくれてありがとう」

楓 「私はありだと思います」

矢田「また!?」

楓 「いやぁ、この展開の早さは先生の作品の真骨頂だし、きっと読者も矢田さんみたいに感情移入して驚いてくれると思います」

矢田「漫画にはセオリーっていうのがあるんです。その枠の中で作っていかなくちゃいけないんです」

楓 「そういうのをぶち破ってこその、鳳やよいの最新作ですよ! セオリー? そんなもんはぐちゃぐちゃに丸めてポイですよ。新しい世界を生むってそういうことですよ!」

矢田「そ、それはそうだけど……」

楓 「もじもじしない! 矢田っ! お前の欲しいのはそこら辺に転がってる平凡な原稿なのか!? 違うだろ! お前の欲しいのは十年いや百年に一本の傑作じゃないのか!?」

矢田「は……はい……」

楓 「先生、こっからの展開は思いついてるんですか?」

やよ「どうかな、私よりも、この手に聞いてみてくれる?」


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