第17話 【漫画世界】瞬と如月、荘子、星美

17 冬の公園

 

   ○漫画家エリア、フェイドアウト、上手エリア、フェイドイン。


   瞬、如月。

   瞬にお金の入った封筒を渡す如月。


瞬 「すまない」

如月「いいの、まだ先は長いから頑張らなくちゃね」

瞬 「そうだな」

如月「早く借金を返し終えて、二人で暮らしましょう」

瞬 「……あぁ」

如月「どうしたの? 元気ないけど」

瞬 「そんなことないさ」

如月「アイドル活動、苦労してる?」

瞬 「アイドル活動? あ、あぁ、大丈夫。来年にはデビュー出来るだろうって」

如月「すごい!」

瞬 「……」

如月「早く瞬さんのテレビで活躍するところ見てみたい。あ、でも、こんなこと言ってプレッシャーかけちゃダメね。瞬さんなら絶対に大丈夫。それまでは、瞬さんの分まで私が頑張って借金少しずつでも返すから任せておいて」


   荘子、登場。


荘子「その必要はありませんよ」

如月「荘子さん、どうしてここに?」

荘子「あなたを助けるために来ました」

如月「助ける?」

荘子「ええ、でも、そのためには、如月さんに辛いことを伝えなくてはなりません」

瞬 「あんた、誰だ?」

荘子「私は如月さんの店のオーナーです」

瞬 「如月の?」

如月「荘子さん、辛いことっていうのは?」

荘子「そこにいる海道さんはあなたを騙してるんです」

如月「突然、何を言うんですか!?」

荘子「そうですよね、海道瞬さん」

瞬 「……」

荘子「あなたの所属しているっていう芸能事務所に問い合わせましたが、海道瞬なんて男、所属していないという回答でした」

如月「そ、それは、きっと芸名を使ってるとか……」

荘子「いえ、海道さんの所属しているっていう芸能事務所にはちょっとした『つて』がありましてね、芸名本名関係なく調べてもらいました」


   ●シリアスな音楽、フェイドイン。


如月「瞬さん、どういうこと? 何かの間違いよね?」

荘子「ここからはもっとショッキングな話です」

如月「ショッキング?」

荘子「お父さんの借金という話も嘘です」

如月「えっ!?」

荘子「事実です」

如月「そ、そんなわけありませんよ。目の前で、妹さんもを見たこともあるんですよ。お腹空いていて……バタって……」

荘子「ぐるなんですよ。二人であなたを騙していたんだ」

如月「う、嘘よっ! そんなわけあるわけないじゃない!」

荘子「信じたくない気持ちはわかります。ただ、これが現実なんです」

瞬 「……」

如月「何で黙ってるんですか!? 全て嘘だと言ってください」

瞬 「……」


   星美、登場。


星美「あ、ばれちゃったみたいね」

如月「星美ちゃん!」

星美「あまりにお金が遅いから、様子を見に来たらこの様」

如月「どういうこと!?」

星美「どういうこと? さっきから、そこのおせっかいが説明してくれた通りよ」

如月「そんなはずない。嘘ですよね、瞬さん」

瞬 「……すまない」

如月「すまない? すまないってどういうこと!?」

荘子「さぁ、行こう。こんな奴らとは縁を切って、これからは自分の人生を歩むんだ」

如月「嫌ーっ!」


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