航海第二十二日目 権利

(平成11年10月1日〔金〕曇り)

 第二の死を迎えた私を待ち受けていたのはダメ人間代表の角川師つのかわしだけではなかった。そこには溢れんばかりの人間が渦巻いているではないか。

 もしかして、私が天国を消滅させたせいなのか。きっとそうだ。私もすごいことをするなあ。


「ここは選ばれたダメ人間の世界だったのにな」


 角川師が言った。

 その通りだ。角川師の周りには、見るからにダメさを極めたような人たちばかりがいる。それに引き換え、ほかの連中は彼らに比べるとちゃんとした人ばかりだ。

 やはり、ダメ世界にはダメ人間が似合う。


 ここは一つ、ダメ人間トーナメントをして、この世界の居住者を間引いていこうということになった。


 さて、早速ダメ予選が始まった。

 最初は一見して変なおっさんが相手だ。ムカついたのでぶん殴った。おっさんは一発で倒れた。


 楽勝、楽勝。次の相手は誰だ。


 そう思った私の前に現れたのは、我が師・つのだった。

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