第25話 トロイデン王国は滅亡す
紹介するよ。この人が、トロイデンの王になってくれる、キョウゴクさんだ。
「宜しくな。で、今度の戦いに、我々も出るのかな?」
「いいえ。奴らは王都に兵士1万を残し、6万をここへ向かわせています。僕が対応しますから、その後、キョウゴクさんが王都に行って降伏の勧告をして下さい」
「内容は?」
「全て、お委せ致します。王族、貴族の処分、国名の変更など、キョウゴクさんが決めて下さい。国王に成るのですから」
「お、おう、分かった」
「その後に、この国と同盟を結んでもらいます」
「成る程、それは良いな」
「あ、1つ忘れてました。戦いの途中で、演説をしてもらうかも」
「演説?」
ーー
「ねぇ、リック。キョウゴクさんて、勇者でしょ?」
「やっぱり、判る」
「判るわよ。しかも、私と同じ国よ」
「へぇ、そうなの」
「知ってたくせに」
「だから、信用が出来るんだよ」
「そうね」
明日は、トロイデンとの戦いだ。さすがにサキを昇天させるのは、不謹慎か……。少しなら……。先っちょだけ……
6万の兵士達が、綺麗に列を成し進んで来る。
君達には恨みは無いが、バカな上司を持ったと思って諦めてくれ。
アニメの中のセリフが、頭に浮かぶ。
「悲しいけど、これ戦争なのよね」 俺の好きなセリフの1つだ。
先ずは火虫、ボルケノンで攻撃してみる。魔法部隊が、対魔方シールドを張った様だ、兵士達に当たる前にかき消される。
成る程、一応は考えている。このまま、ごり押しでやれば敵の魔力切れて勝てそうだが、他の国に対しても恐怖心を植え付けたい。
異世界Gのジャバネを、アイテムBOXから100頭ほど出して、物理・魔法に対する補助魔法をかけ、体長6mにして6万の兵士達に向かわせる。
飛んでくる巨大なGを見て、魔法部隊は顔をひきつらせながら、ありとあらゆる魔法を放つ。
当然、そんな魔法は効くわけも無く、全て弾かれる。
強力な魔法に必要な、詠唱する時間を与えなければ良いのだ。
ジャバネによる、捕食と言う殺戮が始まった。
「お主のスキルはエグいな」
「そうですか?僕は、平和に暮らしたいだけなんですが」
兵士の数が半分くらいになったので、あのバカなダレイラ将軍を捜して見る。いた、見つけた。ジャバネには、"喰べるな"と一応は、言っておいた。
「リック、どこに行くのよ」
「ちょっと、キョウゴクさんに、演説をしてもらうのさ。行きましょう、キョウゴクさん」
「おう」
俺が近づくと、ジャバネは捕食を止め、空中でホバリング始めた、俺は手を上げジャバネ達を地に降ろす。
草原に静けさが戻った。
「やあ、将軍、元気?」
「こ、小僧……」
「このまま行けば、6万の兵士は全滅だ。この前の僕達に対する非礼を、お前が腹を切って死んで詫びるなら、残りの兵士の命は助けてやろう」
「ふざけるな!何で貴族のこの私が、平民や賤民の兵士どもの為に、死なねばならんのだ」
「だそうだ、聞いたか?兵士諸君。キョウゴクさん、後は、宜しくお願いします」
「聞け、お前達。この戦に負け、トロイデン王国は滅亡する。俺が必ず、こんな下らない貴族が居ない国を創ってやる。俺に協力しようと思う者は、武器を棄て投降せよ!」
「ほ、本当に、そんな国を創ってくれるのか?」
「ああ、約束する」
「分かった、俺はやる」 「俺もだ」
「おおー」
「な、バカな、貴様ら、最期まで戦え。戦わねば、この私が、殺して……」
うざい、黙れ。[ドスッ!]
「げふっ」
トコトン馬鹿だね、この人は。こんなの喰ったら、ジャバネでも、お腹こわすんじゃないの。
「セフィーヌ、サキ、ミリカ。この人達が暮らす、施設を造る。準備をして」
「はい、直ぐに」
「キースは虫達を使って、食糧と資材を運んでくれ」
「はい、リック様」
「見事だな、リック国王」
「よして下さいよ、キョウゴクさん。大勢の犠牲が有りました」
「この世界では、仕方の無い事だ。それでも半分は、助かったのだ。これは大きい」
落ち着いた所で、キョウゴクさんと部下の人達を、トロイデン王国の王都に送ってあげた。
兵が1万残っていようが、物ともしないだろう。テレストラ王国だって、バンタムさんが居たから手を出さなかっただけで、バンタムさんが居なければ、とっくに制圧しているはずだ。
キョウゴクさんは、某、国立大出で、建設会社の社長だったそうだ。親分肌の所がある、とは思っていた。部下の人達が慕っているのも、そのおかげだろう。
王族は全て、特別な区画を造り幽閉となった。貴族に関しては、悪い噂、評判を聞きいて調べた上、その通りなら、お取り潰しにして部下を配置、その他は、各領地に部下をお目付け役にして置き、時間をかけて現代の日本の制度にして行くそうだ。
国名は、マホロバ王国に決まった。今日は、ジョウモ王国とマホロバ王国による同盟の調印式が行われる。
「マッサ王国には気をつけて下さい」
「解った」
滞りなく式典は終わり、3万の兵を連れてキョウゴクさん達は、国へ戻って行った。
「行っちゃったわね」
「なんか、気が抜けた」
「リック様、この施設はどうします?」
「うん、改造をして、前線基地にしようと思う」
「カッコいい響きね」
「サキは、そう言うのが好きそうだね」
「うん、色んな仕掛けを造るの。楽しくない」
意外と子供っぽいな。いや、かわいいと言うべきか。
「じや、サキに任せるから、考えてごらん」
「ホント、OK」
ん、この国の存在がバレて、この先は面倒な事が多そうだけど、初戦突破でキョウゴクさんと同盟国になれたし言う事無しだ。
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