第17話 ダンジョン発見
いよいよ戴冠式の日がやって来た。城と言うよりは、貴族の大豪邸をちょっと厳つくした感じの、屋敷前に有る広場に、多くの人達が集まっている。
城内で式を終えたあと、人々に顔見せをしなければならないのだ。
王の息子に転生したので、こう言う事からは逃れられ無い運命なのかね。まぁ、自業自得の気はするが。
バルコニーに出て、手を挙げ人々に挨拶をする。
大歓声が上がる、いよいよ俺の第二の人生の始まりだ。
俺は大きな部屋を1つもらった。錬金術で色々試したり造る為の部屋だ。
取り合えずは、工事作業用と防備用のゴーレムを造る事にする。
証券会社でバリバリやっていた時は、上場されている会社の商品は結構念入りに調査、研究をした。
商品の良し悪しは株価に影響するからだ。今回は義手、義足の会社の技術を参考にして、これまでのダンジョンで手に入れた、魔石を関節にしてミスリルを骨に見立てて、50cm程度の骨組みの人形を造って見た。
「リック、何してるの?」
「サキか、丁度いい。この人形に、土魔法で硬くて丈夫な感じで関節は避けて肉付けしてくれないか」
「いいけど、何を造る気?」
「人の代わりに作業をするゴーレムさ」
「ゴーレム?ロボットみたいな物かしら」
「そう……それはどんなの?」
「人の代わりに働く機械よ」
「そう、それだ、そんな感じ」
「いいわ、やって見る」
ロボットをイメージしたみたいだ、角張った腕と足になった。関節はミスリル板でカバーをする。
関節部分の魔石には単に動くだけの魔法陣を書き、頭には固定の作業内容と指示通りに動く命令呪文を組み、関節部分に指示を出す様にする。
防備用のゴーレムは、今の段階では俺の虫が到着するまでの時間を稼ぐ事が目的なので同じ者でいい、いずれは俺が留守の時でも国を護れる様にしたい。
取り合えず出来た"者"を動かして見る。まだ動きは、ぎこちないが、今は十分だろう。
「動いた。凄い」
「動く様に造ったんだから、動くさ」
「ぶぅ、そう言う意味じゃ無い。可愛くないわね」
重いので歩いて外に出てもらう。裏の森で64体まで複製して5mまで大きくする。なかなか壮観だ。
山を抜け海まで秘密の脱出通路を作る、船も必要だな、大型のタンカー見たいのでいいかな。
「サキ、ミリカを呼んで来て。ダンジョン探しをしながら作業をするから」
「OK」
ーー
「リック様、私を除け者にするのは酷いです」
「いや、セフィーヌは王女様だから」
「3人はみんな一緒です。解りましたね」
「は、はい」
セフィーヌがこんなに怒るのは珍しい。
土木作業はゴーレムに任せて、俺達はダンジョンを探し回った。
絶対に有るはずだ。この地しか考えられないが、もうすぐ夕方だ、また明日だな。みんなを呼ぶか。
「リ、リック、像が、魔物の像が有ったわよ」
ミリカが慌ててやって来た。
「有ったの?」
「ああ、あっち」
「分かった、みんなを集めよう」
ーー
「ホントですね、像が12個有ります」
クレイジーブルとフォレストタイガーかな、ドラゴン、ブラックバイパーにグレートウルフ、ワイルドボア……これって、ひょっとしたら……。
「リック、これよね」
「間違いない」
「入るの?」
「今日はもう遅い、明日にしよう」
「了解」
城に戻って食事を済ませ、風呂に入る。娘達3人で順番を決めたらしく、今日はセフィーヌの日らしい。
45才、バツ1、娘1人の大人のテクニックとリリアナ様の加護の力で、セフィーヌを撃沈させた後、ベッドでゆっくり考える。
あれはどう考えても干支だよな。サキは気が付いただろうか。いや、若いから無理だろうな。
明日、入れば何か解るかも、そうと決めたら落ち着いた。
撃沈しているセフィーヌと、もう一回だ。むふふ。
「今日は、ワクワクするわ」
「そうね、どんな感じかな」
「楽しみですね」
ゴーレムに指示を与え、俺達はダンジョンに直ぐ向かった。
小さめの入口から中に入る直ぐに行き止まりになった。
「もう終わり?」
「まさか、ほら、あれ」
「転移の魔法陣?」
「たぶん。でもこれなら魔法陣を管理すれば、魔物のスタンピードの心配は無いね」
「そうですね、良かったです」
「では行ってみるか。僕から入る」
魔法陣に乗る、目の前の景色が一瞬で切り替わった。
普通のダンジョンだ、明かりを付けなくてもそこそこ見える、戦う事は十分に出きる。
みんなもやって来た。
「他のダンジョンと変わらないわね」
「ホントね」
「進んで見よう」
「はい」
出て来る魔物も他のダンジョンと変わらない、下の階に行くに連れて魔物のレベルが上がっていく。
違うとすればドロップ品か、他のダンジョンに比べて4段階くらい上位の物が出る、"コイツ倒してこれが出るか"って感じだ。冒険者なら余裕で食って行ける。
初日なので深追いはせず、地下8階で戻る事にする。ダンジョンだけにかまっては要られない。
ここでも転移の巻物は使えた、地下1階の魔法陣の所に戻って来た。
ゴーレムもいい仕事をしている。手を少し加えれば、かなり良いものが出来そうだ。
魔物の像の謎は当分先の話し見たいだ、仕方あるまい。
「ダンジョンの入口には、僕達しか入れない様にするよ」
「そうですね、それがいいと思います」
「賛成」
昨日作って置いた魔道具を設置する、これで解除用魔道具を持ってないと弾き飛ばされる。
後はどうやって金を稼ぐか、だな。売り方が問題になる。
売る物は決ある。ナメクジ見たいな虫魔物、グリンクスのネバネバを利用した化粧製品にする。素材を知ったら誰も買わないので極秘だ。
「セフィーヌ、奴隷を買いたいのだが、どうしたらいい?」
「奴隷ですか?どうするのです」
「商人になってもらって、物を売って欲しいんだ。契約すれば信用も出来るし」
「そうですか、でしたらヴァナ帝国の北に有る、ザッハトスカ王国の奴隷市場が有名です」
「何を売るのよ?」
「もう、みんなが使っている物だよ」
「え~、何だろうな」
「使って効き目が有るんじゃない?スベスベ、ツヤツヤ、しっとり」
「あっ、シャンプーとボディソープにクリームね」
「若い女性からお年寄りまで、男性にも売れると思うんだ」
「確かにこれなら売れるわね、効果抜群よ。私の尻尾なんてツヤツヤでピカピカ、しっとりだもの。獣人の国では絶対よ」
「ナイスねリック」
「分かりました、それでは明日出発しましょう」
「虫に乗って行くよ」
「はい」
「今回はサキとミリカはこの国を頼む」
「う~ん、仕方が無いか、留守にする訳にいかないもんね」
「うん、助かる」
どんな出会いが有るか楽しみだ。
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