第16話 災いイベント無事終了
まずは原因を考えないと、病気の人達が居る所に連れてってもらう。
「こちらで御座います」
体育館みたいな所だ、中には40人くらいの人達がいた。
「こちらが治療師のキャロルです」
「あ、アレツさんは中に入らないで下さい」
「しかし……」
マスクも手袋もしていない、元の世界では考えられない。
「原因を考えます、扉を閉めて下さい」
「リック、大丈夫なの?伝染病だったら大変よ。伝染病っていうのはね……」
「サキ、僕がズル持ちって、知っているでしょ」
「うん、解った。待ってる」
そう、俺は病気にならない。
「キャロルさん、患者の症状を教えて下さい」
「かしこまりました。嘔吐下痢、発疹、顔が黄色くなり、お腹が膨らむ者もいます。回復魔法で一旦は症状が回復するのですが、一週間程度でまたなってしまいます。薬も効きません」
「回復魔法で一旦は治る?」
そもそも回復魔法って何だ?体力回復や傷が治るって感じだろ、細胞活性と修復や再生と言う事だろうな。
癌なんか治りそうだな、元の世界では最高だ。おっと、脱線した、病原体を殺す方法を考え無いとダメか。
「実は、私もかかっているのです」
「どのくらいで?」
「一週間くらいです」
「最初の患者は、何か変わった事をしていません?」
「森の中で弱った渡り鳥を捕まえて食べたそうです」
それだ、間違いない。どうする、俺も一週間ここに居るか。感染経路が判らないとな、感染しないと思うが取り合えず患者の身体や肌に触れておく。
「では僕もここに暫くいます」
「それではリック様もご病気に」
「大丈夫ですよ」
一週間が過ぎ、俺の身体に異変が起きた。気持ち悪い、吐き気がする、ジンマ疹も出てきた。
しかし、直ぐにジンマ疹も退いて行く、自動回復や自動再生のお陰だ。
接触で感染した?でもおかしい、俺は病気にならないはず?ただ、リリアナ様が"病気"をどう解釈したかで変わって来るがな。
他の患者の症状もどっかで見た事がある、何だったか?
テレビで見たんだよな……ミステリー物だ……俺があの時、リリアナ様に言った"病気"とはウィルスや細菌でなる物のつもりだった。
それ以外って何だ?もちろん毒でも無い……。
原因不明の病気の話し、地方の田舎で起こった話しだ。…………、思い出した寄生虫だ。
そうそう、寄生虫。ただ俺に医学の知識は無い、どうやって駆除する?
まてよ、虫と言うからにはティム出来るのではないのか?
自分に試してみるか。俺の中に居るであろう虫に話しかけてみる、腹がムズムズするので服を剥いで見ると20mm程度の寄生虫がポロポロと落ちて来た。皮膚を破って出て来たか。
「リック様、これは?」
「これがこの病気の原因です」
「サキ、そこに居るかい?」
「居るわよ、リック。どうしたの?」
「ガラスの容器を用意して欲しいんだ」
「分かったわ」
それから俺は、患者全員の寄生虫をティムしガラスの容器に入れた。見てると気持ち悪いが、取っておく事にする、どこかで使い道が有るだろう。
「リック様」「リック、もう無茶しないでよ」
「分かった、ごめんよ」
「リック様、感服致しました」
「たまたまですよ」
「人の為に自分を犠牲にする事は、簡単な事では有りません」
そんなに、カッコいいものじゃ無いのだけれど。
「リック様、ありがとう御座います」
人々がひざまずいて、俺に感謝し手を併せる。参ったな。
「皆、聞いてくれ。このお方こそ次期国王に成られるリック様である、この国の救世主になるお方だ」
「リック様、万歳!」「リック国王、万歳!」
アレツさん、。あ~、めまいがして来た。
「セフィーヌ、お風呂に入って、少し寝たいのだけど」
「はい、直ぐに用意致します」
ーー
「あ~、さっぱりした」
「リック様、お疲れ様でした」
むふふ、久々のセフィーヌの膝枕と下から見上げるオッパイ。
ツンツンしちゃおうか、ほれ。
「あん、リック様、今はダメです。外でサキとミリカが待っています」
「直ぐ終わるから」
「直ぐ終わるのは嫌なので、後で」
「うう、蛇の生殺し」
「リック、さんざん心配させたのだから、少しは説明しなさいよ」
「そうだね、原因は寄生虫だったよ」
「寄生虫か」
「サキは知っているのね」
「ま、まあね」
「渡り鳥が食べた物に、入っていたんだろうね」
「どんな虫?」
「見たい?」
「うっ、そう言われると、嫌な予感がするわね」
「そ、そうですね。私は止めておきます」
見て気持ちのいい物では無いので、正解だね。これで、取り合えずは災いイベントはクリア出来た様だ。
それからは、俺の戴冠式の準備が進められて行き、その間にいろんな人達を紹介された。
上に立つ人達はなかなか優秀な人が多く、中でも騎士団長のダンテスさんとセキバ将軍はなかなかの人物だ。
バンタムさんには及ばないが、2人ともかなり腕が立つ。
領地も広く無いので、貴族も少なく、変な奴がいなくて良かった。
「リック、これからどうするつもり?」
「最初にやる事は他国からの侵略に備えたいな」
「そうね、私もそう思う」
「今までは何も無かったのですが?」
「これからは、そうは行かないかもよ」
「そうですね。いろんな国が有りました」
「具体的にはどうするつもり?」
「昨日、思いついたのは、こんな感じ」
・各、作業の為に資金を作る
・後ろの海までの脱出経路を建築とダンジョン探し
・農地を広げる
・防壁と罠の建設
・人材の確保
「ふ~ん、で、どうやってお金を稼ぐ気?」
「そこが難しい。あまり目立つと、この国が目を付けられてしまう」
「狙われちゃう訳か」
「だから力を付けないと」
「セフィーヌ、この国の人達はどういう人達なの?歴史はどんな感じ」
「もともとは、山と森に住んでいた、色々な種族と海を渡って来た人達が、自然と集まって出来た集落が始まりです」
「だったら、"我が一族が"みたいな変なプライドは無いね」
「はい、そう言う排他的な所は無いです」
「それは良かった」
「そこ、重要な所なの?」
「ああ、争いの元になる」
「難しいのね」
「私は解るわ。獣人は、人族とは違う目で見られるもの」
「そう、簡単じゃ無いのさ、身分の差も有る。サキだって解るはずさ、そうだろう?」
「……そうだった」
人も増やさなければいけない、やる事は山積みだ。
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