第13話 走れ、荷馬車。そして新情報ゲット!

 3日経ってしまったので、村人から荷馬車を買って城に急いで戻る、馬には悪いが休憩は無しだ。


ーー


「3日経ったが、坊主は戻ってこんな」

「お前達は見捨てられたのだ」


「ふん、リックはそんな奴じゃない」

「そうよ」


「その通りです」


「もうすぐ日が暮れる、諦めろ」


「看守長殿。女王様より、娘どもを連れて広場に来る様に、との事です」


「分かった。ほれ、終わりだ」


「リック……」

「とっとと歩け」



「お~い、みんな元気」


「リック、遅い」

「悪い、あいつの居る所が遠くてさ」


「あの野郎」

「リック様」「リック」


「セフィーヌ、ミリカ、心配かけたね」



「みんな揃った様ですね。では説明して下さい」


「はい、女王様。お前達、話してもらうぞ。お前からだ、解っているよね?言わないと、あそこが無くなるよ」


「くぅ、魔道具を盗んだのは俺だ、デボネンに依頼されたのだ」


「はい、次、デボネン君」

「うう、私はアジン公爵の指示で動きました」


「何と!至急アジン公爵を捕らえよ」

「はっ」


「すまなかったな、リック。許してほしい」


潔よいですね、クリスティン。


「いえ、お役に立てて良かったです」


「背後に居るものが判ったのは大きい手柄と言ってよい。…………リック、これを貰ってほしい」


王家の紋章が入った短刀だ。何かの役には立つか、貰っておこう。


「ありがとう御座います。では、僕達はこれで失礼致します」


「ちょ、ちょっと待て、蟻を出す約束だぞ」

「あ、ごめん。忘れてた」


「酷い小僧だ」


ビール瓶くらいの容器を床に置いて蟻達を呼び戻す。


5人の男達が一斉に泣き出す。


「グギャォ」「うぐぅ」「ひぃ」「あぅう」


男達は七転八倒して泣き叫ぶ。俺は理由を知っているが、他の人達は理由が解らないので、唖然としている。


1人は気絶した様だ。男達から出て来た小さい蟻達が、綺麗に隊列を組んで瓶の中に入って行く。


「リック、今度は何をやったの?」

「うん、ちょっとね」


「サキ、怖いから聞かない方がいいかもよ」

「うん、想像したく無いしな」


最後の1匹が入った所で蓋を閉め、アイテムBOXに入れた。


「今度こそ失礼致します」


「な、何か有ったらその短刀を持って、訪ねて来なさい」


「はい、ありがとう御座います」




「ホント、酷い目にあったわ」

「お風呂に入りたいです、リック様」


「よし、奮発して大きな宿に泊まって、美味しい物を食べよう」


「やったね」


「リック様。酷い目に合いましたが、クリスティン女王様と繋がりが出来て良かったですね」


「そうかな?」

「ええ。将来、絶対にお役に立つと思います」


俺には、あまり関係が無いと思うがな。


その日は、貴族が泊まる様な立派な宿に泊まった、みんなご満悦だ。


結局、この国のダンジョンは全て違った。西に行くルートに戻り、ワラヴォルト王国に行く。


「セフィーヌ、今度の国は?」


「綺麗な湖と壮大な滝が有る国ですね。この国の湖と滝を皆、一度は観に行きたいと言いますね」


ヴェニス見たいな観光地か。


「ダンジョンは1つ、滝の側に有るみたいよ」

「観光も出来て、丁度良いわね」


滝の有る街に着いたのは夜なので、宿を直ぐに見つけに行った、観光地なら混むに違いない。


「おやまあ、あんた達、ツイてるねえ。4人部屋なら今さっき空いた所さ。どうする?」


「お願いします」


「あんた達も、赤いクリスタルに願いをかけに来たのかい?」


「何ですか、それ?」


「あら、知らないのかい?ダンジョンの地下31階に有るクリスタルが赤いと、願いが叶うと言う話さ」


「何それ、凄くロマンチックにゃ。リック、行って見たいわ」


「そうか、じゃあ、少し稼ぎますか」

「きゃっ、嬉しい」


「私は、戦いは得意ではありませんが」


「大丈夫よ、私とミリカでカバーするわ」

「そうよ、セフィーヌ」


「ありがとう、サキさん、ミリカさん」

「もう呼び捨てでいいわよ」


「分かりました、サキ、ミリカ」


確かにセフィーヌは属性は光属性で、簡単な回復魔法しか使えないし攻撃魔法は覚えてない、小さな国って言ってたから、魔法の家庭教師も居なかったのかも。


しかし、たまに予言見たいな事を言うのは、巫女のスキルがあるからか?ユニークスキルも面白そうだ。


イストリアガラの滝と言うそうだ。ナイアガラの滝の5倍は有りそうだ、まさに壮観の一言だ。ダンジョンは滝の横から1kmの所に入口が有り、魔物の像は無かった。



ダンジョンの攻略は久しぶりだ、定番のゴブリンに始まって、オーク、ハイオーク、グレートウルフ、ゴブリンメイジ、リザードマンと階が下がるにつれて魔物の種類と頭数が増えていく。


サキとミリカで何の問題も無く進んで行く、俺は広範囲で周りの状況を把握しているので、何が有っても対応出来る。


地下20階を越えた辺りから、水生の魔物が多く出て来る、滝が関係しているのかな。


「集団でこの先に何かいるから気をつけて」

「OK」


「うわっ、トードリアンだ」

「気持ち悪いです」


あのヌメヌメとギョロ目は俺もゾッとする。


「いいわ、私が全部まとめて燃やしちゃうわ。ファイアーボルテックス!」


高温の炎の渦に巻き込まれてトードリアンは焼かれていく。う~ん、いい匂いかも、カエルの焼き鳥は美味かったもんな。


「リック、私は食べないわよ」


「そうかな、きっと美味しいよ。でも、塩が無いから止めとくか」



冗談を言いながら進んで行くと地下31階のクリスタルの有る場所に着いた。


「あそこじゃない、赤く光ってるわ」

「ラッキーね。あ、ツイてるって意味よ」


みんなで正面に行ってみる。クリスタルに赤い丸が2つ光ってる。


「綺麗ですね」

「お願い事しなきゃ」


「リックの子供を、たくさん産めます様に」


ミリカは怖いお願い事だな。


しかし、この形?何か、こう、観られている様な気に、ん~む、これ、魔物の目じゃない?


『あら、良く判ったわね。気が付いたの貴方で2人目よ』


「だ、誰です?」


『このダンジョンのマスターの水龍よ。前に、ここに居たら面白い噂が流れたので、みんなが喜ぶならと思って、ダンジョン運営のおまけで、たまにここにいるの』


「そうですか。2人目って、もう1人は誰です?」


『1000年前の勇者さんね。貴方も勇者、見たいな者かしら?何しているの』


「入口に12の魔物の像が有る、ダンジョンを探しています」


『そのダンジョンなら、西の果ての山に、有るって勇者さんが言ってたわ』


「えっ、本当ですか。勇者様は?」


『1000年前に元の世界に帰ったわ。あ、そろそろ行かなくっちゃ、じゃあね』


「はい、ありがとう御座います」


えらいこっちゃ。


「あ、消えちゃった」

「残念ですね」


『リック、何と話してたのよ?』

『後で話すよ』


ーー



「え~、あれ水龍の目だったの」


「うん、どうやらダンジョンは、西の果ての山に有るらしい」


「じゃ、寄り道せずに、セフィーヌの国に行けばいいのね」


「そう言う事」


いい情報が手に入った。水龍様、ありがとう。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る