39話 ユージンは、70階層のボスと出会う

◇天頂の塔・61階層◇


 俺は迷宮ダンジョン昇降機エレベーターで、樹海領域にやってきた。

 

 大きく息を吸う。

 空気が湿っている。

 霧が深い。

 

 60階層以降も引き続き樹海領域だが、61階層からは視界が悪い。



……ブーン…………ブーン ……ブーン…………ブーン



 白い霧の向こうから、耳障りな羽音が聞こえる。

 おそらく殺し蜂キラービーの斥候たちが、見回りをしているのだろう。


「ギャッ!!」

 濁った悲鳴が聞こえた。

 気配を殺しながら、悲鳴の上がったほうに向かう。

 もしも他の探索者なら助けないと、と思ったが。


(運ばれているのは、ゴブリンか……)


 俺の隠れている上空を、ぐったりとしたゴブリンが殺し蜂キラービーたちに掴まれ、宙を浮いている。

 あのゴブリンはきっと殺し蜂の巣に持ち込まれ、女王蜂か幼虫たちの餌になるのだろう。


 天頂の塔の低層階では、初心者探索者にとってやっかいなゴブリンであるが、60階層においては蟲魔物たちの捕食対象だ。


 そして、それは探索者にとっても例外ではない。

 天頂の塔において100階層以下であれば、例え死んでも『復活の雫』で生き返ることができる。


 が、それは魔物に捕食されなかった場合だ。

 60階層あたりから出現し始める『殺し蜂』や『軍隊蟻』、そして70階層以上から出現する『蜘蛛女アラクネ』や『蛇女ラミア』。


 どの魔物も群れており、獰猛だ。

 そしていずれの魔物も食欲が旺盛で、狩った獲物を必ず巣に持ち帰る習性がある。

 


魔王エリーの助言を聞いて正解だったな)



 今の俺は単独ソロの探索者だ。

 それに攻撃手段に乏しい。

 余計な戦闘は回避しよう。


 幸いに霧によって視界は悪い。

 俺は気配を殺して、薄暗い樹海の中をゆっくりと進んだ。


 しばらく奥に進んだ頃だろうか。



「……!!」

「…………っ!」

「…………!!」


 遠くの方から声が聞こえた。

 ゴブリンやオークじゃない。

 人間の声だ。


 戦闘をしているのだろう。

 剣撃や魔法の爆発音が聞こえる。

 それに混じって、焦ったような人の声が聞こえた。


(魔物に襲われて苦戦している……?)


 俺は足音を立てないよう、しかし急いでそちらへ向かった。

 

「くそっ! こいつら、キリがねぇ!!」

軍隊蟻アーミーアントは、隊長を倒さないと永遠に襲ってくるわ! 軍隊蟻が死んだ時に仲間を呼び寄せる匂いを放つ体液が飛び散るから!」

「んなことは知ってる! 問題は隊長を倒すには、100匹以上の軍隊蟻を倒す必要があるってことだ!」


「駄目だ! また一人やられた! くそっ!」

「あんな怪しい奴に関わらなければ!」

「愚痴るのは後だ!! 誰か回復道具を!!」

 会話から危機的状況と判断した。


 いや、見ればわかる。

 馬よりもでかい軍隊蟻アーミーアントの成虫の群れに、探索者部隊が取り囲まれていた。


 探索者たちの腕には、赤地に黒剣の紋章。

 グレンフレア帝国の探索者だ。

 俺は迷わず、助けに入った。



「手伝います」

 俺はそう言うと、大量に血を流して倒れている探索者に回復魔法をかけた。


「……え?」

 失血で気を失っていた探索者が目を覚ます。


「他に怪我をしている人は!?」

「他は何とか動ける! し、しかし君は一体!?」

「リュケイオン魔法学園の生徒で、帝国出身者です」

「学生探索者か! 助力感謝する! しかし、この軍隊蟻の群れを何とかしないと……」

軍隊蟻アーミーアントの隊長を倒しましょう。そうすれば群れの統率が取れなくなって逃げられます」

 軍隊蟻に出くわした時の基本戦術として、カルロ先輩に教えてもらった。



「隊長蟻はあいつだ……、しかし仲間の軍隊蟻に守れていて手がだせんっ!」

 探索隊のリーダーらしき人が、悔しそうに一匹の軍隊蟻を指さした。

 群れの中に一回り身体が大きく、頭に角の生えている軍隊蟻が目に止まった。


(あいつか……)


 俺は腰の剣を引き抜く。

 ただし、堅い軍隊蟻の外殻はただの鉄の剣では刃が通らないだろう。

 やるしかないか……。



(契約により魔王エリーニュスの魔力を借り受ける……)



 ズズズ……、とただの鉄剣の刀身が闇よりも黒く染まる。


 ――魔法剣・闇刃。


(く……、やっぱり魔王エリー魔力マナはきついな……)


 あまり時間はかけられそうにない。 

 俺は下段に構え、腰を落とした。


「お、おい! 少年。何をするつもりだ!」

 探索隊の一人が焦ったように声をかける。


「……隊長蟻を倒します。一瞬でいいので、蟻たちの注意を引き付けてもらえませんか?」

「む、無茶だ! あの群れに突っ込むつもりか!?」

「そうです。時間が無いので、行きますね」

「くっ……! 誰か少年の援護を!!」

 一瞬迷ったようだったが、リーダーが指示を出してくれた。


降り注ぐ火の矢レインオブファイアアロー!」

 探索隊の一人の魔法使いが、魔法を放った。

 数は多くないが、十数本の魔法の火の矢が軍隊蟻たちに降り注ぐ。

 一瞬、軍隊蟻の足が止まる。

 



 ――弐天円鳴流・空歩




 俺は一陣の風となり、軍隊蟻の群れに突っ込んだ。

 蟻たちは、互いの身体が触れ合うほど密集しており間を抜くのは不可能だ。


 俺は軍隊蟻の堅い外殻の上を駆け上り、それを蹴って奥の蟻の身体に飛び移る。

 それを繰り返して隊長蟻への距離をつめた。


「シャアアアアアア!!!」

 軍隊蟻たちも黙って見ているだけでなく、当然俺を攻撃してくる。

 蟻の武器は、鋭い牙を持った顎とナイフのような爪がある六本の足だ。


(結界魔法・風の鎧)


 強固な結界を張ってしまうと動きが鈍る。

 俺は軍隊蟻の攻撃を防ぐのでなく、避けるための結界を用いた。


「キシャアアアアアアア!!!」

 目の前の隊長蟻が、威嚇の雄叫びを上げる。

 他の軍隊蟻より一回り大きいやつが俺に襲いかかってきた。

 が、すでに俺は隊長蟻の間合いに入っている。



 ――弐天円鳴流・鬼太刀



 黒い刃を振り下ろす。


 音も手応えもなかった。

 

 柔らかいゼリーを斬るかのように、すとんと隊長蟻の首が地面に転がった。





 ◇





「いやぁー、助かった。助かった!!」

 隊長蟻を倒した後、軍隊蟻の群れは統制を失いパニックになった。

 

 もっとも時間が経つと、群れの中から新たな隊長蟻が現れる習性があるため俺たちは素早く群れから逃げ出した。

 現在は、迷宮昇降機の付近まで戻ってきている。


 エリーの魔力を借りた後遺症で、身体が重い。

 今日の探索はこれ以上は無理そうだった。


「あらためてお礼を言わせてくれ。私は帝国軍所属の探索隊のリーダーをやっているエドワードだ。さっきは助かった。今は手持ちが無いが後ほど礼金を払わせてもらうよ」

「俺はリュケイオン魔法学園二年のユージンです。父は帝国軍に所属しています」

 俺は隊長の人が差し出した手を握った。


 なにもおかしくないやりとり……のはずだが、隊長の顔がこわばった。


「ユージン……?」

「リーダー、もしかしてこの子、例の……」

「なあ君。名字を教えてくれないか」

「ユージン……サンタフィールドです」

「「「!?」」」

 俺の言葉に、全員が反応する。


帝の剣インペリアルソードのご子息……」

「神獣ケルベロスを単独撃破したという……」

「道理で強いはずだ……」

 あっという間に色々なことがバレた。

 まぁ、南の大陸では珍しい名字なので仕方がないが。


「失礼いたしました! ユージン殿の御父上とは、先の『大魔獣』討伐計画でご一緒したこともあります! 共に帝国の危機に立ち向かえたのは我々の誇りであります!」

 口調ががらりと変わり、俺に対して敬礼された。


「ちょ、ちょっと待ってください。父は確かに帝国軍の高官ですが、俺は士官学校も中退したので今は一般人で学生です。普通に話してください」

 十歳以上は年上に見える彼らから、敬礼をされたままでは話しづらくて仕方ない。


「しかし……」

 納得していないようだったが、俺はなんとか隊長の人に普通に話してもらうようお願いした。



「ところで、さっきは危なかったですね。61階層って群れの数はそこまで多くないと聞いてますが」

 俺はさっきの軍隊蟻との戦いについて尋ねた。


 カルロ先輩にも聞いたが、61階層から蟲魔物たちは出現し始めるがそれはあくまで単体での出現が多い。

 100匹を超えるような群れに遭遇するのは、稀なはずだ。


「ああ……、そうなんだ。実はあの軍隊蟻は妙な奴にけしかけられて……」

 探索隊のリーダーが説明してくれた。


 なんでも61階層を探索していると『帝国』『連邦』『同盟』のどの紋章もつけていない、灰色のローブで顔を隠した探索者がうろうろしていたらしい。


 勿論、学園の生徒でもなかったそうだ。

 リュケイオン魔法学園の生徒の探索服には、校章がついているため一目でわかる。


 通常、同じ所属の探索者なら挨拶程度はするし、違う所属なら余計なトラブルを避けるため近づかない。

 南の大陸において『帝国』『連邦』『同盟』どこにも所属していない者は珍しい。

 外の大陸からやってきた冒険者か、もしくは……。


「最近、迷宮組合ユニオンから天頂の塔に『蛇の教団』が出入りしていると通達されてな」

「見つけたら報告するように組合からは言われているの」

「だから、念のためと思って声をかけてみたんだが……」

 その怪しい探索者に呼びかけた所、何も言わずに走り去ったらしい。

 追いかけるか迷っていた所、魔物の群れが突然襲ってきたということだった。

 

「おそらく魔物たちへの『呼び寄せの笛』を使われたのだと思う」

「確かに微かに魔力の混じった笛の音が聞こえたわ。でも、どうしてそんなことを……」

「さあな、だが見つかってはまずいことをしていたんだろう」

「そう言えば、俺も以前……」

 俺は以前蛇の教団の印を型どった銀細工のネックレスを拾った話をした。

 ちなみに、その銀細工は組合に提出してある。


「蛇の教団か……」

「魔王信仰の連中、何を考えているのかしら」

「そりゃ魔王の復活だろう」

「勘弁してほしいぜ」

「とにかく今日は切り上げだ。次の探索は十分な準備をしなければ」

 隊長さんが、パンパンと手を叩きながら言った。


「ところでユージン殿は、どうして61階層をわざわざ単独で?」

 探索隊の一人に、不思議そうに尋ねられた。


「仲間は二人いるんですが、今は別の用事がありまして」

「確かカルディア聖国の聖女筆頭候補と、異世界からやってきた炎の神人族でしたね」

「なぜ、そこまで……?」

 把握されてる!?


「はははっ! 今の帝国軍では、ご子息の噂でもちきりですよ」

「今のユージン殿であれば、すぐに士官候補生へと戻れるのではないですか?」

「おいおい、ユージン殿は500階層の伝説に挑まれてるんだぞ。61階層くらいで満足するはずないだろう」

「いや、俺は……」

 残念ながら士官候補に戻るのは、不可能だ。


 エリーの話だと、彼女の魔力が借りられるのはあくまで天頂の塔の近くでないといけないらしい。

 もちろん、スミレを帝国に連れて行くこともできない。

 結局、俺は一人では戦えない剣士のままだ。


「ところでお父上からは何か連絡は無いのですか? 神獣を倒した時にでも」

「いえ、うちの親父は放任ですから」

「流石は帝の剣様ですな。神獣を倒したくらいでは満足するなと」

「ははっ……」

 俺は苦笑した。


 確かに、帝国軍で噂になっているくらいなら一報をくれてもいいと思う。

 が、うちの親父は「しばらく学園でのんびり過ごして見聞を広めろ」と言ったっきり何も連絡してきていない。

 昨年は帝国に戻らなかった。


(次の母さんの命日にでも顔を出すか……)


 そんなことを思った。


 それから俺と帝国の探索隊のみんなで、迷宮昇降機を使い地上へと戻った。


 魔王の魔力を使ったせいで身体は重かったが「是非お礼に夕食を奢らせて欲しい!」と言われ、彼らの行きつけの酒場で夕食をとることになった。


 そこで最近の帝国や、帝国軍の近況を聞くことができた。

 と言っても俺が帝国を離れてまだ一年とちょっと。

 そこまで大きな変化はなかった。


 皇帝陛下は、南の大陸統一を目指しているため軍拡路線であるが、神聖同盟や蒼海連邦もそれに対抗して軍を増強しているのは、いつもの通りだ。

 

 南の大陸特有の『大魔獣』と呼ばれる天災級の魔物の発生が頻発しており、各国はその対応に追われているとか。

  

 また『伝説の大魔王の復活』という噂もあるため、当面は大きな戦争は起きそうにない。

 

 最後に『次代の皇帝争い』については、現役の皇帝がまだ精力的なためそこまで激化していないが、徐々に候補は絞られているらしい。


 ……その候補先に、幼馴染の名前は残っていた。



「では、今日はありがとう、ユージン殿!」 

「困った事があったらいつでも呼んでね!」

「俺たちのほうが助けられたんだぞ?」

「いえ、今日は楽しかったです。皆さんも次回の探索は、気をつけてください」



「一つだけ……、余計なお世話と思って聞いていただきたいのですが」

「何でしょう?」

 隊長の人が真剣な顔で言った。


「単独での探索は控えませんか? 特に怪しい連中が最終迷宮内をうろついているような現状です。才能ある探索者は単独や少数精鋭を好みますが、一度のミスで命を落とすことが多い。ゆめゆめお気をつけを」

「わかりました」

 忠告を聞き、俺はうなずいた


 こうして探索隊の人たちと別れ、俺は寮へと戻った。


 久しぶりに故郷の話で盛り上がれたのは、楽しかった。


 おかげで幼馴染との夢を見てしまった。




 ◇数日後◇




「……ゆ、ユージンくん。魔物って本当に私たちに気づいてないの?」

 俺と手を繋いだスミレが、きょろきょろと不思議そうに迷宮内を見回している。


 現在は52階層。

 先日、カルロ先輩とやってきた続きだ。

 俺にとっては三度目なので、勝手知ったる階層となる。


「ああ、結界魔法・身隠しで俺たちの姿は風景の一部と化してるから。スミレの魔力が高いから魔物に気づかれるのが心配だったけど平気みたいだな」

 俺は答えた。


 ここしばらく単独で探索をしていたが、スミレの魔法の授業が一区切りしたらしいので、俺はスミレを誘って天頂の塔へやってきていた。


 現在の俺の記録は『65階層』。

 スミレは『52階層』となっており、差が開いている。

 それを無くしておこうと考えた。


 無駄な戦いは避け、着実に上階を目指す。



 ちなみに、次の60階層の階層主は前回より小型になった『樹人王トレントキング』だった。


 スミレが最近マスターした火の王級魔法・不死鳥とかいう強力な魔法で焼き払われていた。

 前回の俺の苦労は一体……。



 そして、現在の俺たちは65階層を静かに進んでいる。



「……ひ、ひぃぃぃ」

 スミレが小声で悲鳴を上げている。



 ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……ブン……



 樹海の上空を、殺し蜂キラービーたちが忙しなく飛び回っている。


「ピギー!!!」

 時たま、殺し蜂に囚われた哀れな魔物の断末魔が聞こえる。

 さっきの悲鳴は、オークのものだろう。



 カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ……。



 奇妙な足音は、軍隊蟻たちのものだ。

 こちらも運悪く遭遇したゴブリン数匹が、咥えられている。

 過酷な弱肉強食の世界だ。


「…………」

 スミレは青ざめて、目をそらしている。


「スミレ、大丈夫か?」

「だ、大丈……夫」

 健気に頷く。

 あまり良くはなさそうだ。

 俺は気を紛らすために、話題を振った。


樹人王トレントキングを倒した魔法、すごかったな。火魔法は、蟲魔物にも有効だからいざとなったら頼むよ」

「う、うん……。でも、確か蟲魔物って火魔法に寄ってきちゃうんだよね?」

「そうだった、かも」

「その時は、全部焼き尽くすよ!」

 悲壮な顔で決意された。


 もっとも俺たちが魔物に気づかれることはなかった。

 殺し蜂や軍隊蟻は戦闘力は高いが、知能の高い魔物ではない。

 習性や動きを理解して、適切に避けれていけば戦闘になることはなかった。



 ………………………………

 …………………………

 ……………………

 ………………

 …………

 ……



「なんか……あっさり69階層に着いちゃったね」

 スミレが拍子抜けしたような顔になっている。


「ああ、だけどこの上は階層主だ。戦いは避けられない」

「サラちゃんは……来ないんだよね?」

「声はかけたんだけどな」

 サラの記録は『89階層』。

 なので、70階層には来ることができるのだが……。



「わ、私、蟲の魔物がどうしても苦手で……」


 サラは非常に申し訳なさそうに謝られた。

 なので、却って足を引っ張ってしまうからと参加は見送った。

 それに、サラにはまだ生徒会の仕事が残っている。



 俺たちの目の前には、70階層へと上がる階段がある。



「どうするスミレ? 階層主の顔を見ておくか?」

「う、うん……、そうだね」

 乗り気ではなさそうだが、泣き言は言わなかった。


 俺たちはゆっくりと70階層へと足を踏み入れた。



 ババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 

 70階層を訪れた俺たちを迎えたのは、爆音だった。

 

 一拍遅れてそれが『殺し蜂』たちの、羽音だと理解する。


「…………っ!」

 隣のスミレが、小さく息を飲む音が聞こえた。

 そして、見回した景色を見て俺も一瞬、呼吸が止まった。

 

 はいるであろう『殺し蜂』たちが、70階層へ侵入した俺たちを見つめていた。


 そして、その中でもひときわ目立つ黄金に輝く美しい女性の姿を型どった魔物。

 

 その女形の魔物が、冷酷な瞳でこちらを見下ろしている。


「殺し蜂の女王蜂か……」


 数万匹の『殺し蜂』を従える女王蜂。  


 それが現在の70階層の階層主ボスだった。

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