FIN
国王が代わった。
新しい国王はエディあらため、エドワード王。
父親から息子へ権力が移ったとはいえ、革命。他国から狙われやすい時期でもあったけれど、ほぼ国民の総意であり、エドワード王事前に他国へ手紙を送っていたらしく、速やかに戴冠式が行われ、エドワードが王になった。
私はバイデルの地下書庫へ侵入するような大胆さを持っていたのに、今はエディのことが心配で心配で仕方なかった。
ある日、そんなエディから呼ばれた。
「拝謁します。エドワード王」
私が深く頭を下げて顔を上げると、エディははにかみながら、
「いつも、みたいにエディでいいよ。マリー」
と告げた。
「いいえ、そういうわけにもいきません。今までのご無礼を・・・」
私が再び詫びようとすると、距離を詰めたエディが肩に手を添え、
「僕の方こそ、君を騙して危険な目に会わせてしまい申し訳なかった」
と微笑んだ。
王になったせいだろうか。
エディは見た目はほとんど変わらないのだけれど、悲しみを乗り越え、王として逞しくなったように感じた。
「キミのおかげで、この国の不正は取り除かれた。改めてお礼が言いたい。本当にありがとう」
「いえ、私はエディ・・・・・・エドワード王の活躍をお手伝いしただけです。滅相もございません」
そういうと、とても悲しい顔をエディがしていて、まだ前国王のことを気にしているのか心配になって、手が勝手にエディの頬に触れていた。
「あっ、これは・・・」
私が再び謝ろうとしたとき、私はエディに抱き寄せられた。初めはびっくりしたけれど、エディの胸の中に入って、私は嬉しくて身体を預けた。すると、エディは私の頭に手を添えてそっと撫でながら、
「僕はマリーのことが大好きだ」
「私もよ、エディ」
私がエディと呼ぶと、彼の顔を見なくても彼が喜んだのが分かった。
「今、この国はみんなのおかげで平和の形をしているけれど、まだ不穏な輩は後を絶たない。それに、父親を排除することを良く思っていない国や、この国から奴隷を買っていた国が攻めてくる可能性だってある。だから、すぐにキミを幸せにするとはいえない・・・・・・けれど、君とならこれは困難ではないし、その先には幸せを一緒に築けると僕は信じている」
「ええ。あなたとなら、きっと」
私たちは、自然と惹かれ合い、婚約も結婚式も待てずに、誓いのキスをその場でした。
FIN
・・・・・・と、言って幸せに終わりたかったけれど、妹のクリスティーヌのその後を少し話します。
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