第17話
雨上がりの大広場。
いつもよりは人はいないけれど、それでも城に近い広場は人通りは今日も多い。
「みんなっ、聞いてくれっ」
エディが大声を出すと、民衆がエディを見つめる。
「誰だっ、あいつは?」
体格のいい強面おじさんが腕を組みながら訝しげにエディを見る。
「バカっ、あの方は、エドワード王子だぞっ」
強面おじさんの細身で小柄な男がその強面おじさんを注意すると、強面おじさんは慌てふためき、大きい身体を小さくした。
「王子だって・・・」
「知らなかったの? 私は知ってるわよ」
エドワード王子を知っている人と、知らない人は同じくらい・・・というか知っている人の方が多かった。私は生娘・・・箱入り娘・・・・・・というわけではないけれど、少数派で、王子が多少変装していたとはいえ、商人たちが知っているのに貴族として王子を知ないというのは少し恥ずかしかった。そんな風に私が恥ずかしがっている間に民衆はエディの元へと集まって来た。
私はエディに指示された通り、人が集まったところで民衆に混じった。みんなと同じ場所からエディを見ているせいか、私と二人の時には見せなかった凛々しい顔。エディが王子だからこんなに人がいるのか・・・・・・それとも、王子に生まれるようなエディには人を惹きつける魅力があるのだろうか。多くの人がぞろぞろ集まり、人が人を呼んだ。
エディの話す内容を多くの人に知って欲しいという意味ではありがたいことなのだけれど、私は人が多ければ多いほど、エディの敵になりうる人も潜む確率が高くて怖かった。私は周りを見て、目つきが悪そうな人がいないか気にしながら、何もないことを祈りながらそわそわしていた。
「皆に、告発したい者がいる。一人はこの男、バイデルっ。この男は我らが同朋を他国に奴隷と売り払い・・・・・・」
エディの演説は続き、ある者は驚き、ある者は怒り、ある者は目を背けた。
「そして最後に・・・・・・わが父・・・・・・」
エディ・・・・・・いいや、エドワード王子のその言葉でこの国の歴史は変わった。
国民はエドワード王子に付いた。そして、現国王とエドワード王子の対立に代わるかと思われたけれど、ガイアスさんが付いたのも大きかったのか、大きな対立にならず、現国王が関わった事件もあり、兵士もほとんどがエドワード王子に付いたり、指揮が低かったのも大きいと思われる。無血とはいかなかったが、死傷者はわずかだった。
でも、私はずーっと、エディの身を心配していた。
こんなに誰かの想うのは・・・初めてだった。
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