エピローグ

ルナと遥が出会って、もう何年もの月日が流れていた。


その間に、様々なことがあったのだが、一言で言えば2人は幸せな家庭を築けたと言える。


2人の間には5人の子供が出来て、4人の女の子と末っ子の男の子が1人。


それぞれが、遥とルナの才能を受け継いだようで、そして更に遥とルナというバカップルの夫婦を見て育ったことから、概ね普通の家庭をそれぞれ築けた中、末っ子の男の子……名前をルカと言うその子は、他国で婚約破棄されたご令嬢を拾うという、父親と同じ道を辿ったが……それはそれだろう。


「ここも、久しぶりだね」

「ええ……懐かしい」


子供達のために、魔の森の自宅へではなく、別邸で長年過ごしていた2人は、隠居も兼ねて2人で魔物の森の自宅へと戻っていた。


魔物狩りの仕事も、殆どは息子のルカに引き継いでいたが、父親同様……下手したらそれ以上に強い力を持っていて、その上で両親譲りの逞しさも兼ね備えていたので、何とかなっているようであった。


そのルカは、自信で別に家を建てて、同じように魔の森で暮らしているが、その隣には少しツンツンだけど、たまにデレるご令嬢も居るとか。


「向こうも悪くはないけど、やっぱりここが落ち着くよ」

「そうね……私と遥の想い出の家だものね」


歳を重ねて、少し渋くなった風体の遥と、その美しさを増しながら、隣に寄り添うルナ。


「子供たちも立派になった。後は孫の顔を楽しみにしながら……ルナとイチャイチャして過ごそうか」

「もう……私ももうじきおばあちゃんになっちゃうのにまだイチャイチャしてくれるの?」

「いくつになっても、愛する妻は愛でたいんだよ」

「そっか……じゃあ、それも悪くないかもね」


昔よりも、少し素直になってきているルナはそっと、遥に寄り添うとその肩にもたれかかる。


「ルナ」

「……なに?」

「好きだよ」

「……うん、私もだよ、遥」


昔と何ら変わらぬ……それ以上に、距離が近づいた2人。


きっと、これからも悪役令嬢であったルナは、異世界転移者である遥に溺愛され続けるのだろう。


例え、死が2人をわかつ時でも、それに抗って遥はルナと共にある――そんな、予感があるとある日の昼下がりであった。










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異世界転移して悪役令嬢を拾ったので、とりあえず溺愛します yui/サウスのサウス @yui84

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