第12話身勝手なヤツでごめんね…

私は憎悪しているヤツと同じことをしてしまった。

なんで、なんで……あんなことしてしまったんだろ、あのひとに対して。


嫌悪しているアイツに成り下がってしまった。彼に……克貴に合わせる顔がないのに、資格を剥奪されているのに……


抱かれたいと、彼の温もりを欲している私は——醜い女性オンナだ。



彼と別れた後、何人かに告白されそのまま交際するが誰とも長続きはしなかった。一ヶ月も経たずして別れた者もいる。

いつからか、周囲に不名誉なレッテルを貼られた。それは、自業自得で仕方なかった。

私の周囲には誰も寄り付かなくなった。独りとなった。

私には、お似合いだと受け入れた。


彼ほどに優しく包み込んでくれる異性あいてとは交際出来なかった。彼の優しさには、温もりには誰も勝らなかった。


身勝手な私の傍で寄り添ってくれた存在かれを、身勝手な理由で突き離し別れた。

惜しいことをした。ほんとに、惜しいことをしてしまった。


彼に沙耶華と呼ばれる度、身体が幸福感で満たされた。指を絡めたくなった、キスをしたくなった、身体を重ねたくなった、抱きしめたくなった、抱きしめられたくなった。


それなのに、それなのにっ……交際してどのくらい経ったか、彼の表情に陰が射すことが増えていった。

以前までは、そんなことはなかった。

愛想を尽かされたのか……不安が募り始めた、私の存在が重荷へと変わったのか、気になりだした。


彼が胸中に秘めた想いには触れられないままに別れた。


柳葉克貴に再会できたら、と祈ってしまう私だった。


あのとき見かけた小動物みたいな女子が……克貴が心変わりした想い人なのだろうか。


今頃、克貴はあの女子と手を繋ぎ合ってるのかな……あの女子と笑い合ってるのか……


身勝手な私の傍にいてくれてありがとう……克貴。


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